この記事はここがポイント
- 医療保険改正で市販薬同成分処方薬は令和9年3月4分の1自己負担上乗せ
- 高額療養費制度に年間上限新設、令和8年8月長期治療負担軽減
- 後期高齢者医療制度、金融所得も医療費負担反映、2026年国民負担率45.7%増
令和8年(2026年)5月29日、私たちの暮らしと健康を守る公的医療保険制度を持続可能なものにするため、「健康保険法等の一部を改正する法律案」が成立しました。
筆者は長年、生命保険会社に勤務し、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として家計相談をお受けしていますが、「病気や出産に備えて、どのくらい民間保険に入ればいいの?」というご質問を多くいただきます。実は、民間の医療保険を検討する前に大前提となるのが、私たちがすでに加入している「公的医療保険制度」の保障内容を正しく知ることです。
今回の法改正によって、医療費の負担や給付の仕組みが大きく見直されます。私たち一人ひとりの暮らしに直結する「5つの改正ポイント」と、現在の社会保障のリアル、そして今すぐできる家計の見直し術をわかりやすく解説します。
令和8年成立!医療保険制度「5つの改正ポイント」
医療保険制度に対する信頼や納得感を高め、将来にわたり持続していくために、今年(2026年)5月に法改正が行われました。これにより、医療費の負担や給付の仕組みが大きく見直されます。
今回の医療保険制度改革のポイント
一部の薬代が変更に(市販薬で代用できるお薬など):公布後1年以内・令和9年3月1日施行を想定
薬局などでも買える「市販薬(OTC医薬品)」と同じ成分の薬を病院で処方してもらった場合、お薬代の4分の1が別途自己負担として上乗せされることになります。ただし、全額自己負担になるわけではなく、子どもやがん患者の方など、慢性的な配慮が必要な方には特例措置(負担増の対象外など)が検討されているのでご安心ください。
高額療養費制度に「年間上限」が新設:令和8年8月1日から順次施行
ひと月の医療費が高額になった際に上限額を超えた分が戻ってくる「高額療養費制度」に見直しが入り、新たに「年間の上限額」が設けられます。これによって、長期間の治療が必要になった方も、上限額に達した後はその年の窓口負担が不要になるため、大きな安心につながります。
後期高齢者医療制度における「金融所得」の反映:公布後5年以内
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度において、これまでの収入に加え、上場株式の配当などの「金融所得」も医療費の負担割合(1〜3割)の判定に反映されます。ただし、税務署へ提出される書類のデータを活用するため、個人で新たな手続きなどの事務負担が増えることはありません。
出産費用の「現物給付化」とサービス費用の見える化:公布後2年以内
これまで産院の窓口で一時的に立て替えが必要になることもあった出産費用ですが、標準的な費用を医療保険から病院へ直接支払う仕組み(現物給付化)が導入され、すべての妊婦さんへ定額の給付が行われます。また、産院ごとのサービス内容や費用が公開(見える化)されるため、希望に合ったお産を選びやすくなります。
国民健康保険の子どもの保険料が「高校生年代まで」軽減:令和9年4月1日実施予定
自営業やフリーランスの方が多く加入する国民健康保険において、子どもにかかる保険料(均等割)の半額軽減措置が「高校生年代まで」対象拡大されます。子育て世帯の経済的負担を減らす嬉しいサポートです。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
