この記事はここがポイント
- 2026年度夫婦モデル年金月23万7279円は額面。税・社会保険料控除後手取りは20万~21万3000円
- 年金からは所得税、住民税、介護保険料、健康保険料等が特別徴収で天引きされる
- 年金振込通知書(毎年6月頃送付)で年金額・控除額の内訳を確認しよう
2026年度は公的年金額が引き上げられ、標準的な夫婦のモデル年金は月23万7279円となりました。
この金額を見ると、「モデルケースに該当する夫婦は、毎月23万円以上受け取れる」と考える方もいるかもしれませんが、実際に振り込まれる金額は額面どおりではありません。
筆者は銀行員時代、年金の入金があった直後にお客様から「年金額が上がったと聞いたのに、通帳の金額が思ったより増えていない」というご相談を受けることが度々ありました。
実際には、額面の年金額から税金や社会保険料が天引きされているケースがほとんどで、この仕組みを知らずに戸惑われる方が多い印象を持っています。
公的年金からは、一定の条件を満たすと所得税や住民税、介護保険料、健康保険料などが天引きされるため、手取り額は少なくなります。
年金生活では、毎月受け取る金額が家計に直結するため、「いくらもらえるか」だけでなく、「実際にいくら手元に残るのか」を把握することが大切です。
本記事では、2026年度の年金額をもとに標準的な夫婦の手取り額の目安を紹介するとともに、公的年金から天引きされる5つのお金と、毎年届く「年金振込通知書」で確認したいポイントについて解説します。
2026年度の標準的な夫婦の年金額は月23万円超。ただし手取りは減る
2026年度は、公的年金額が前年度から引き上げられ、老齢基礎年金(国民年金)は前年度比1.9%、老齢厚生年金(報酬比例部分)は同2.0%の増額となりました。
厚生労働省が公表している2026年度の年金額の目安は、次のとおりです。
令和8年度の年金額の例
- 国民年金※1:7万608円(1人分)
- 厚生年金※2:23万7279円(夫婦2人分) ※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。 ※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
注意点として、厚生年金の23万7279円はあくまでも「額面の金額」です。
実際には、税金や社会保険料などが年金から天引きされるため、振り込まれる金額はこれより少なくなります。
モデルケースの23万7279円という数字はあくまで額面であり、そこから税金や社会保険料が天引きされます。ニュースなどで取り上げられる「年金額改定」の数字は額面ベースであることが多いため、この認識のズレは非常に起こりやすいものだと感じています。
標準的な夫婦の年金「23万円」の手取りはいくら?
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見てみましょう。
「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支
65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の収入
- 収入合計:25万4395円
- うち社会保障給付(主に年金):22万8614円
65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月の支出
- 消費支出:26万3979円
- 非消費支出:3万2850円
支出合計29万6829円
この世帯の場合、ひと月の収入は25万4395円、その約9割の22万8614円を公的年金などの社会保障給付が占めます。
一方で支出の合計は29万6829円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万2850円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が26万3979円でした。
このケースでは、実収入の約10%が税金や社会保険料などの非消費支出となっています。
もちろん、実際の天引き額は居住地や所得、扶養の有無などによって異なりますが、標準的な夫婦のモデル年金(月23万7279円)に当てはめると、手取り額はおおむね20万〜21万3000円程度になると考えられます。
「年金は23万円もある」と思っていても、実際に自由に使えるお金はそれより少なくなる点は知っておきたいポイントです。
では、公的年金からは具体的にどのようなお金が差し引かれているのでしょうか。
次章では、年金から天引きされるお金について見ていきます。
夫婦世帯の場合、片方が扶養に入っているかどうかで国民健康保険料や介護保険料の算定基準が変わってきます。夫が厚生年金、妻が国民年金のみというモデルケースの世帯構成では、妻が夫の被扶養者として扱われるケースが多く、この場合は単身世帯とは天引きの構造が異なります。記事の試算はあくまで目安ですが、実際の手取り額はご自身の自治体の保険料率や扶養状況によって変わってくる点は、念頭に置いておいていただきたいと思います。
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三菱UFJ銀行出身。資産運用コンサルティングに従事し、全国表彰を多数受賞。現在は「LIMO」編集部で金融ライターとして年金・資産運用など金融分野の記事を精力的に企画・執筆・監修している。
