世代間でどう変わる?社会保障の「給付と負担」のリアル
今回の改正には、「日常的な負担は少し増える部分」と「いざという時の手厚い保障」が同居しています。こうした制度の背景には、日本の社会保障全体が抱える「給付と負担のバランス」という大きなテーマがあります。
ライフサイクルで変わる支え合いのカタチ
ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ
私たちの生活において、社会保障からの「もらえるお金やサービス(給付)」と「納めるお金(負担)」は、年齢によって大きく変化します。
- 子育て期・教育期(0〜20歳頃): 学校教育や医療費助成など、手厚い給付を受け取ります。
- 現役世代(20〜60代前半): 雇用保険や育児休業給付などを受ける一方で、年金や医療保険の「保険料」や「税金」など、社会を支える負担が中心となります。
- 高齢世代(65歳以上): 現役引退により負担が減る一方で、老齢年金や医療、介護に関する給付額が大きく増加します。
今は「負担」が中心に感じる現役世代の方も、かつては手厚い支援を受け、将来的には給付を受ける側へと回ります。世代を超えた「支え合い」が、この制度の根幹です。
増加する国民負担率と私たちの未来
国民負担率(租税負担、社会保障負担)の推移
しかし、高齢化に伴う社会保障給付費の増加は、国民全体の負担増に直結しています。1970年度には24.3%だった「国民負担率(収入に対する税金と社会保険料の割合)」は、2026年度には45.7%に達する見込みです。なかでも社会保障負担の割合の伸びは著しく、同じ期間で5.4%から17.6%へと大きく膨らんでいます。
将来の世代に過度な負担(財政赤字のツケ)を残さないためにも、私たち一人ひとりが制度の目的を理解し、お互いを思いやりながら制度のあり方を見守っていく必要があります。
まとめにかえて
今回の医療保険制度改革では、薬代や医療費の負担の見直しが行われる一方で、高額療養費制度の充実や出産支援の強化など、私たちの暮らしを支える仕組みも拡充されます。こうした社会保障制度は、現役世代が負担しながら子どもや高齢者を支え、将来は自らも給付を受ける「世代間の支え合い」によって成り立っています。
FPとしてお伝えしたいのは、制度改正の内容を正しく理解し、公的医療保険でどこまで保障されるのかを知ったうえで、必要な備えを考えることです。社会保障の仕組みを味方につけながら、家計と健康の両面から将来への備えを進めていきましょう。
参考資料
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
