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【利回り3%超も】みずほFGが2本立ての個人向け劣後債を準備、前回債から利率大幅アップの「仮条件」をローンチ前にチェック

執筆者 高原 祥子 LIMO&ファイナンス編集部記者
14:00
【利回り3%超も】みずほFGが2本立ての個人向け劣後債を準備、前回債から利率大幅アップの「仮条件」をローンチ前にチェック

日銀が政策金利を約30年ぶりの水準となる1%に引き上げるなど、日本の金利環境が大きな転換期を迎えるなか、個人投資家の間で「債券投資」への注目が一段と高まっています。

こうした環境下で、メガバンクの一角であるみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が、個人投資家向けに新たな「劣後債(れつごさい)」の発行を準備していることが明らかになりました。条件決定は7月2日の予定です。

提示された仮条件を見ると、足元の金利上昇の影響がくっきりと表れています。

今回は、みずほFGが提示した新たな社債の仮条件の内容や、投資する前に必ず知っておくべき劣後債のリスク、そして直近で話題となったソフトバンクグループ債との違いを分かりやすく解説します。

そもそも「劣後債」とは?普通社債との違い

具体的な条件を見る前に、まずは今回登場した「劣後債(劣後特約付社債)」という仕組みについて簡単におさらいしておきましょう。

劣後債とは、一言で言えば「普通の社債よりも、リスクを引き受ける分、高い利回りが期待できる債券」のことです。

投資家にとっては普通の社債よりもリスクが高い商品となるため、その見返りとして高い金利(利率)が設定されるのが特徴です。

投資する前に必ず押さえる!劣後債の3つのリスクと注意点

高い利回りは魅力的ですが、裏側にある「リスク」を正しく理解しておくことが債券投資では最も大切です。

劣後債を検討する際は、以下の3つの注意点を必ず頭に入れておきましょう。

万が一のときの「弁済順位が低い」

発行体(みずほFG)が破産などの法的倒産手続きを行った場合、元本や利息が投資家に返済される順位(弁済順位)が、普通の社債や一般の借入金よりも後回し(劣後)になります。

つまり、普通の社債を保有している人たちにお金が返ってきた後、それでも資産が残っていれば返してもらえる、という仕組みです。

メガバンクならではの「実質破綻時免除特約(ベイルイン)」

金融機関が発行する劣後債には、非常に重要な特約がついています。

同債では、仮に発行体であるみずほFGの自己資本比率が著しく低下し、金融庁などから「このままでは実質破綻する」と認定された場合、この劣後債の元本や利息を支払う義務が永久に免除(カット)されるリスクがあります。

国が税金(公的資金)を投入して銀行を救う前に、まずは劣後債の投資家に身代わり(損失)になってもらうというルールです。

途中で満期が変わる?「期限前償還条項」の仕組み

今回準備されている券種の一つ(第35回債)には、5年後に発行体の都合で前倒し償還できる特約(10NC5)がついています。

国際的な銀行の規制上、5年が経った最初のタイミングで前倒し償還されるのが市場の“既定路線(慣例)”となっており、プロの間では「実質5年債」として扱われます。

投資家としては「5年で返ってくるのが基本スケジュール」と捉えつつも、世の中の金利状況によってはその予定が後ろにズレ込む可能性(コールスキップ)があるという、変則的な満期の仕組みを理解しておく必要があります。

みずほFGが準備する2つの個人向け劣後債:10NC5とブレット型

今回みずほFGが予定している新しい劣後債には、特徴の異なる2つの券種(タイプ)が用意されています。

第35回:10NC5(期限前償還条項付・リセット型金利)

10年満期ですが、発行体の都合により5年後に前倒しで満期を迎える可能性があるタイプです。

当初5年間は固定金利、その後は国債金利に連動して金利が見直されます。

債券の書類上は「10年」と書かれていますが、市場やプロ投資家の間では、この10NC5は「実質5年の債券」として扱われるのが一般的です。

なぜなら、発行体である銀行にとって、世界のメガバンクが守るべき安全基準である「バーゼルIII」のルール上、Tier2資本(劣後債)は「満期までの残存期間が5年未満」になった時点から、毎年20%ずつ段階的に自己資本への算入額が減価(アモルタイゼーション)されるためです。

銀行側としては、自己資本としての効率(資本効率)が悪くなった古い劣後債を5年で一度返し、新しいものに借り換えた方が都合が良いため、通常は5年が経った最初のタイミングで前倒し償還(コール)するのが市場の“お約束(慣行)”になっています。

そのため、投資家も「5年でお金が戻ってくる」前提でプランを立てることが基本になります。 

第34回:10年債(期限前償還条項無し・固定金利)

途中で前倒し償還される特約がなく、10年間の満期まで一貫して最初に決まった金利が支払われ続けるタイプです

プロが呼ぶ「ブレット型」とは?

債券市場では、このように途中で繰り上げ償還されるリスクがなく、満期時に元本が一括して弾丸(Bullet)のように償還される債券のことを「ブレット型」と呼びます。

今回の募集要項案(仮条件)と「格付け」をチェック

それでは、提示されている具体的な条件と、安全性の目安となる「格付け(予備格付け)」を見ていきましょう。

各社債の発行要項案は以下の通りです。

みずほFG個人向け劣後債の発行要項案

みずほFG個人向け劣後債の発行要項案
出所:提出書類より筆者作成

第34回債・第35回債「共通」の条件

  • 特約:実質破綻時免除特約および劣後特約付
  • 最低投資金額: 100万円
  • 申込期間: 2026年7月2日~7月16日(一部証券会社での販売は7月3日~)
  • 払込期日: 2026年7月17日
  • 利払日: 毎年1月17日、7月17日
  • 予備格付: AA-(R&I) / AA-(JCR)
  • 発行総額: 未定

第34回 無担保社債(固定・ブレット型)

  • 年限:10年
  • 償還期限(満期):2036年7月17日
  • 利率(仮条件):3.050~3.650%
  • この銘柄が買える証券会社(引受会社):みずほ証券/岡三証券/楽天証券/東海東京証券/野村証券

第35回 期限前償還条項付無担保社債(10NC5)

  • 年限:10年(※ただし、発行体の都合で5年後に前倒しで全額返済される可能性があります)
  • 償還期限(満期):2036年7月17日(※5年後に早期償還の可能性あり)
  • 利率(仮条件)①当初5年間:2.300~2.900%
  • 利率(仮条件)②6年目以降:5年後(早期償還が見送られた場合)の利率決定日における「5年国債金利」に、2026年7月2日の条件決定日に確定する上乗せ幅(仮条件:0.350~0.950%)を足した利率にリセットされ、その後満期までの5年間は再び固定されます(毎年コロコロと金利が変わる変動金利ではない点に注意が必要です)
  • この銘柄が買える証券会社(引受会社): みずほ証券/大和証券/東海東京証券/岡三証券/野村証券/楽天証券 

第34回(固定金利・ブレット型)は、満期10年で年3.050~3.650%の仮条件が提示されています。

 一方、第35回(10NC5・リセット型)は、当初5年間の金利の仮条件が年2.300~2.900%となっており、6年目以降に適用される上乗せ金利は5年国債金利+ 0.350~0.950%の間で設定される予定です。

【徹底比較】ベース金利の急上昇で前回債(昨年10月)から大幅アップ!

今回の仮条件が前回債対比でこれほど高い水準になっている背景には、日本の国債金利(ベース金利)の劇的な上昇があります。

みずほFGが前回(2025年10月16日)に個人向けとして発行した「第32回債」「第33回債」の実績と、同じタイプ同士でベース金利を含めて徹底比較してみましょう。

10年ブレット型(前回 第32回債 vs 今回 第34回債)

ベース金利(10年国債金利)の比較: 前回ローンチ時(2025年10月中旬)はおよそ 1.6%台半ばだったのに対し、現在(2026年6月下旬)は 2.6%台後半まで大幅に上昇しています。

劣後債の利率の比較

  • 前回(第32回):2.347%
  • 今回(第34回):3.050~3.650%(仮条件)

ベースとなる10年長期金利が約1ポイント前後も切り上がったことを受け、今回の第34回債は仮条件の「下限(3.050%)」であっても前回実績を大きく上回っています。

上限の3.650%近辺で決まれば、前回より1.2〜1.3ポイントも高い利回りを10年間ロックできることになります。

10NC5型(前回 第33回債 vs 今回 第35回債)

ベース金利(5年国債金利)の比較: 前回ローンチ時(2025年10月中旬)はおよそ 1.2%前後だったのに対し、現在(2026年6月下旬)は1.9%程度 へと大きく切り上がっています。

劣後債の当初5年間の利率の比較

  • 前回(第33回):1.820%
  • 今回(第35回):2.300~2.900%(仮条件)

中期的な指標となる5年国債金利も約0.7ポイント程度上昇したため、当初5年間の固定金利水準が大幅に引き上げられました。前回債の1.820%に対し、今回の仮条件の上限は2.900%に設定されており、金利のある世界へ戻った恩恵を強く実感できる設計になっています。

【深掘り】「SBG債」となぜこれほど利率がちがうのか?

直近の個人向け劣後債市場を振り返ると、ソフトバンクグループ(SBG)が6月19日に発行した社債(当初利率5.12%)が大きな話題となりました(※すでに募集が終了しているため、現在は購入できません)。

期限前償還条項が付いているタイプの券種で比較すると「みずほFGの3%台に比べて、ソフトバンクグループの5%台の方が断然お得だったのでは?」と思うかもしれません。

しかし、実はこの2銘柄は単純比較できない「仕組みの違い」があるのです。ぜひこの違いを学んで、今後債券投資を検討する際に役立ててください。

利率差が生まれた理由は主に2つあります。

「年限(期間)」の違いによるプレミアム

みずほFGが「10年満期」であるのに対し、SBG債は「35年満期(35NC5)」という超長期の債券でした。

債券投資の大原則として、「期間が長いほど、将来の不確実性リスクが高くなるため、金利を高く上乗せしなければならない(期間プレミアム)」というルールがあります。

5%台という高金利は、35年という超長期でお金を拘束される可能性があるリスクの裏返しだったのです。

 信用度を示す「格付け」の差

債券の安全性の目安となる格付けにおいて、みずほFG債はAA-(R&I/JCR)という極めて高い信用度を得ているのに対し、SBG債はBBB+(JCR、投資適格の下限に近い水準)でした。

この債券としての4ノッチ(段階)もの信用リスクの差が、そのまま利率の差として反映されています。

知っておきたい「商品性(特約)」の違い:みずほFG債に潜む投資家への厳しさ

利回りだけを見ればSBG債が勝っているように見えますが、実は商品性(特約の内容)を細かく見ると、むしろ今回のみずほFG債の方が「投資家にとって不利(厳しい条件)」となっていることに気づきます。

 「ステップアップ条項」の有無

SBG債には、5年で前倒し償還(コール)しなかった場合、それ以降の金利が自動的に跳ね上がる「ステップアップ条項」という投資家への“飴”、発行体側にとっては“ムチ”がついていました。

これによって発行体側は金利負担を嫌うため、何が何でも5年で返そうとします。

一方、今回のみずほFG(10NC5)には、この金利が跳ね上がるペナルティがありません。

5年後に償還が見送られた(コールスキップされた)場合は、その時点の金利水準に合わせて「リセット」されるだけです。

銀行側にとってコールを見送る心理的ハードルが低いため、今後さらに日本の金利が上がっていった場合などに、この「予定通り5年で返ってこないリスク」は通常よりも高めに見積もっておく必要があります。

 「ベイルイン(実質破綻時免除)」の有無

前述の通り、みずほFGはメガバンクであるため、破綻の手前で元本が強制カットされる重い「ベイルイン特約」が付いています。

一方、SBGは一般の事業・投資会社であるため、このような金融システム維持を目的とした公的なベイルイン条項はありません(破綻時は通常の法的倒産手続きのなかで弁済順位が劣後する形になります)。

まとめ:ポートフォリオの「土台」として

安全性を重視して「10年(または実質5年)という手頃な期間で、信用度の高いメガバンクの堅実な利回りを確保する」のか、SBG債のように「リスクや超長期の拘束を引き受けて攻める」のか。

債券投資の本質は、常にこの「リスクと期間のバランス」にあります。

株式投資のような激しい値動きを避けつつ、定期的に確実な利息を受け取りたい個人投資家にとって、いまの日本の債券市場は「国債」「地方債」「社債」それぞれに選択肢がある非常に面白い局面を迎えています。

購入を検討する際は、必ず証券会社の「目論見書」をしっかりと読み、特約の内容に納得したうえで、ご自身の資産の一部として上手に組み入れてみてください。

参考

※免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の債券の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 募集要項の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください

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