この記事はここがポイント
- 個人向け国債(変動10年)の8月募集分の初回適用利率は年1.87%になる見通し
- 財務省の10年利付国債入札結果から基準金利の複利利回りは2.83%に決定
- 前月7月募集分の年1.80%から0.07%上昇し変動10年の投資妙味は増加
4日、財務省において「10年利付国債」の入札が行われました。
日米の政府が協調して為替介入を行ったことで、日本銀行による早期の利上げ観測が高まっています。
こうした見方があるなかでの入札であったことから、債券市場の注目が集まっていました。
発表された入札結果を受けて、個人向け国債(変動10年)の基準金利となる複利利回りは2.83%に決定。
これに決められた計算式を当てはめると、次回発行分(8月募集分)の初回適用利率は、1.87%になる見通しとなりました。
金利が大きく変動する市場環境のなか、個人向け国債では受け取る利息がどう変わるのか、速報で解説します。
そもそもなぜ「見通し」がわかるの? 利率の算出方法
個人向け国債(変動10年)の利率は、「プロ向けの発行金利」をベースにするという厳格なルールがあります。
具体的には、以下の計算式で算出されます。
基準金利(※)×0.66 = 個人向け国債(変動10年)の適用利率
(※)基準金利:10年固定利付国債の入札における平均落札価格を基に計算される複利利回り。
本日行われた入札で、取引基準となる金利(複利利回り)が2.83%に決定しました。
これに「0.66」を掛け合わせる(小数点以下第3位を四捨五入)ことで、私たちが手にする利率が年1.87%になる見通しとなったのです。
前月(7月)の金利と比べるとどうなった?
債券投資で大切なのは、「金利のトレンド(方向性)」を読むことです。
債券では、先行した銘柄と水準を比較して投資妙味を判断することが重視されます。
前回の入札結果と今回の利率を比較してみましょう。
前月(7月2日入札)
算出の起点になる基準金利は「2.73%」 。
これに基づく個人向け国債(変動10年)の利率は年1.80%でした(2.73%×0.66=1.8018%≒1.80%)。
今月(8月4日入札)
算出の起点になる基準金利は2.83%。
2.83%×0.66=1.8678%≒1.87%
1.8678%の小数点第3位を四捨五入すると1.87%
このため8月募集分の利率の見通しは年1.87%となります。
前月に比べて利率は、0.07%上昇する見込みです。
日本の長期金利の上昇トレンドが、個人投資家の受取利息にもしっかりと還元される形です。
「変動10年」の強みは、すでに保有している国債の利率も、半年ごとの利払いタイミングに合わせて最新の金利水準へと見直されていく点にあります(※購入時期によって利率改定のタイミングは異なります)。
これからの債券投資スタンスのヒントに
今回の入札結果を受けて、個人向け国債(変動10年)は引き続き、個人投資家にとって「安全資産の主役」として投資妙味が増しています。
国債の金利が動くと、今後募集される「社債(企業が発行する債券)」や「地方債(自治体が発行する債券)」の利率にも波及していきます。
国債金利が「上がった」ということは、これから登場する社債なども、より高い利率でお目見えする可能性が高まっているということです。
正式な発行条件は、5日に財務省から発表される予定です。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
