この記事はここがポイント
- 利息の差: 100万円を10年運用した場合の手取り利息は、地方債(年3.027%)が約24.1万円、国債(初年1.80%想定)が約14.3万円で、差額は9万7,800円
- 共同債の強み: 複数自治体が連帯債務を負う安全性の高い仕組みで、年3%超の高利回りを10年間確実に固定できる
- 個人向け国債の強み: 今後の追加利上げに応じて受け取る利息が増える柔軟性と、1年経過後は元本割れせずに解約できる安心感がある
日本経済が「金利のある世界」へと本格的に移行するなか、資産運用のポートフォリオにおいて債券の存在感が日増しに高まっています。
株式市場が神経質な展開を見せる局面では、以下のような理由から債券への関心が強まります。
- 確実性の高さ: 満期まで保有すれば、あらかじめ決まった利息を確実に受け取れる
- 資産の安定性: 株式のように大きな価格変動に振り回されない
なかでも個人の関心を集めているのが、2026年7月募集において、一部の銘柄では利率が3%の大台に乗った地方債と、金利上昇局面の定番商品である個人向け国債(変動10年)の比較です。
「高利回りを今すぐ確定させるか」それとも「今後のさらなる利上げに期待するか」——。
100万円を運用した際の具体的な試算とともに、それぞれの特性を紐解きます。
今回の比較対象:安全性を高めた「共同債」とは?
シミュレーションに入る前に、今回地方債のサンプルとして取り上げる「共同債」の仕組みを確認しておきましょう。
個人投資家にも広く販売されているこの債券には、安全性を高める工夫が施されています。
地方債は共同債のほかにも、各都道県や市が発行するものがありますが、毎月安定的に個人向けの販売があるという観点から、共同債をサンプルに選んでいます。
共同債(共同発行市場公募地方債)の特徴
- 共同発行の目的:複数自治体が発行コストの削減と資金の安定調達を狙い、地方財政法に基づき2003年から共同で発行
- 強固な支払い体制:資金調達の有無にかかわらず、参加するすべての自治体が「連帯債務」を負う仕組み
- 専用ファンドの設置:災害などの緊急時にも支払いが遅滞しないよう保証ファンドを配備
- 定期的な発行:毎月発行されており、個人投資家にとっても信頼性の高い投資対象
条件比較
共同債(10年)と、国が発行する個人向け国債(変動10年)のスペックを比較します。
個人向け国債(第196回 変動10年)
- 発行体: 日本国
- 金利タイプ: 変動金利(半年ごとに実勢金利に応じて利率が見直される)
- 適用利率: 年1.80%(※初回6カ月間の適用利率)
- 利払い: 年2回(10年間で合計20回)
共同発行市場公募地方債(第280回 10年)
- 発行体: 複数の地方公共団体(都道府県・指定都市など)
- 金利タイプ: 固定金利(満期まで10年間ずっと同じ利率が適用される)
- 適用利率: 年3.027%(※満期まで変わらない)
- 利払い: 年2回(10年間で合計20回)
国債と地方債の比較一覧
出所:各資料より筆者作成1/1
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
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高原 祥子
