みずほFGが準備する2つの個人向け劣後債:10NC5とブレット型
今回みずほFGが予定している新しい劣後債には、特徴の異なる2つの券種(タイプ)が用意されています。
第35回:10NC5(期限前償還条項付・リセット型金利)
10年満期ですが、発行体の都合により5年後に前倒しで満期を迎える可能性があるタイプです。
当初5年間は固定金利、その後は国債金利に連動して金利が見直されます。
債券の書類上は「10年」と書かれていますが、市場やプロ投資家の間では、この10NC5は「実質5年の債券」として扱われるのが一般的です。
なぜなら、発行体である銀行にとって、世界のメガバンクが守るべき安全基準である「バーゼルⅢ」のルール上、Tier2資本(劣後債)は「満期までの残存期間が5年未満」になった時点から、毎年20%ずつ段階的に自己資本への算入額が減価(アモタイゼーション)されるためです。
銀行側としては、自己資本としての効率(資本効率)が悪くなった古い劣後債を5年で一度返し、新しいものに借り換えた方が都合が良いため、通常は5年が経った最初のタイミングで前倒し償還(コール)するのが市場の“お約束(慣行)”になっています。
そのため、投資家も「5年でお金が戻ってくる」前提でプランを立てることが基本になります。
第34回:10年債(期限前償還条項無し・固定金利)
途中で前倒し償還される特約がなく、10年間の満期まで一貫して最初に決まった金利が支払われ続けるタイプです
プロが呼ぶ「ブレット型」とは?
債券市場では、このように途中で繰り上げ償還されるリスクがなく、満期時に元本が一括して弾丸(Bullet)のように償還される債券のことを「ブレット型」と呼びます。
今回の募集要項案(仮条件)と「格付け」をチェック
それでは、提示されている具体的な条件と、安全性の目安となる「格付け(予備格付け)」を見ていきましょう。
各社債の発行要項案は以下の通りです。
みずほFG個人向け劣後債の発行要項案
第34回債・第35回債「共通」の条件
- 特約:実質破綻時免除特約および劣後特約付
- 最低投資金額: 100万円
- 申込期間: 2026年7月2日~7月16日(一部証券会社での販売は7月3日~)
- 払込期日: 2026年7月17日
- 利払日: 毎年1月17日、7月17日
- 予備格付: AA-(R&I) / AA-(JCR)
- 発行総額: 未定
第34回 無担保社債(固定・ブレット型)
- 年限:10年
- 償還期限(満期):2036年7月17日
- 利率(仮条件):3.050~3.650%
- この銘柄が買える証券会社(引受会社):みずほ証券/岡三証券/楽天証券/東海東京証券/野村証券
第35回 期限前償還条項付無担保社債(10NC5)
- 年限:10年(※ただし、発行体の都合で5年後に前倒しで全額返済される可能性があります)
- 償還期限(満期):2036年7月17日(※5年後に早期償還の可能性あり)
- 利率(仮条件)①当初5年間:2.300~2.900%
- 利率(仮条件)②6年目以降:5年後(早期償還が見送られた場合)の利率決定日における「5年国債金利」に、2026年7月2日の条件決定日に確定する上乗せ幅(仮条件:0.350~0.950%)を足した利率にリセットされ、その後満期までの5年間は再び固定されます(毎年コロコロと金利が変わる変動金利ではない点に注意が必要です)
- この銘柄が買える証券会社(引受会社): みずほ証券/大和証券/東海東京証券/岡三証券/野村証券/楽天証券
第34回(固定金利・ブレット型)は、満期10年で年3.050~3.650%の仮条件が提示されています。
一方、第35回(10NC5・リセット型)は、当初5年間の金利の仮条件が年2.300~2.900%となっており、6年目以降に適用される上乗せ金利は5年国債金利+ 0.350~0.950%の間で設定される予定です。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
