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厚生年金「月15万円以上」ほぼ半数!「10万円未満」と「20万円以上」の分かれ道とは?年金の繰下げ率は「4.2%」へ増加傾向!

年金の《繰上げ・繰下げ》シニア世代の決断とは?

執筆者徳田 椋ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者
20:55

【繰上げ受給】最短60歳でもらえるが、年金額は「最大24%」の一生減額に!

繰上げ受給の減額イメージ

繰上げ受給の減額イメージ
出所:日本年金機構「年金の繰上げ受給」をもとにLIMO編集部作成2/5
【グラフで分かる】繰上げ受給の減額イメージ

老齢年金は原則65歳から受け取りが始まりますが、60歳から64歳の間に前倒しで受給することも可能です。これが「繰上げ受給」です。

早く年金を受け取れる点は魅力ですが、その代わりに受給額は減額され、その状態が生涯にわたって続きます。減額率は繰上げた期間に応じて決まり、1か月あたり0.4%ずつ減少します。

減額率の計算ルール

減額率は、繰り上げた月数に応じて以下の数式で算出されます。

  • 減額率(最大24%) = 0.4% × 繰り上げた月数

※昭和37年4月1日以前生まれの方は、減額率が「0.5%(最大30%)」と現行より高く設定されています。

※一度請求すると取り消しができず、減額された金額が一生続きます。

最短の60歳0か月で請求した場合: 年金額は24%減となります。一度手続きを行うと取り消しはできないため、慎重な判断が求められる制度です。

【繰下げ受給】最長75歳まで遅らせると「最大84%」増額!ただし税・社会保険料も増える?

繰下げ受給の増額イメージ

繰下げ受給の増額イメージ
出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成3/5
【グラフで分かる】繰下げ受給の増額イメージ

一方で、年金の受給開始を65歳より後に遅らせることで、受給額を増やすことができるのが「繰下げ受給」です。

繰下げた期間に応じて年金額は増加し、1か月ごとに0.7%ずつ上乗せされます。最大で75歳まで遅らせることができ、その場合の増額率は84%に達します。

増額率の計算ルール

増額率は、65歳になった月(誕生日の前日が含まれる月)から受給開始までの月数で決まります。

  • 増額率(最大84%) = 0.7% × 繰り下げた月数

最長の75歳まで遅らせた場合: 年金額は84%増となります。

※昭和27年4月1日以前生まれの方は、繰下げ上限が70歳までのため、最大増額率は42%です。

※待機期間中の生活費をどう確保するかが、この制度を活用する上での鍵となります。

ただし、受給開始までの生活費を自分で確保する必要があるほか、受給額が増えることで税金や社会保険料の負担が増える可能性もあります。また、受給前に亡くなった場合、増額分は受け取れない点にも注意が必要です。

繰下げ率は「4.2%」へ増加傾向!年金の《繰上げ・繰下げ》シニア世代の決断とは?

実際に繰上げや繰下げを選択している人はどの程度いるのでしょうか。令和6年度末現在では、繰上げ率は1.2%、繰下げ率は1.9%となっており、繰下げの利用が繰上げを上回っています。

厚生年金保険(第1号) (老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

厚生年金保険(第1号) (老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移
厚生年金保険(第1号) (老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

特に近年は、繰下げを選ぶ人が徐々に増加しており、年金額を増やして受け取るという考え方が広がっていることがわかります。長く働く高齢者が増えていることも、その背景の一つと考えられます。

70歳時点で進む繰下げ選択の広がり

70歳時点での状況を見ると、繰下げ受給の割合はさらに高まっています。

厚生年金保険(第1号) (老齢厚生年金) 70 歳の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

厚生年金保険(第1号) (老齢厚生年金) 70 歳の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

令和6年度では4.2%に達しており、以前と比べて増加傾向がはっきりと見られます。制度改正によって繰下げ可能な年齢が拡大されたことも、この流れを後押ししています。

一方で、繰上げ受給の割合は依然として低く、早期受給よりも「増やして受け取る」ことを重視する人が増えているといえるでしょう。

現場の肌感覚でも、「65歳以降も自分のペースで働きながら、年金は繰り下げて手取りを増やしたい」と考えるシニア世代の方々はここ数年で増加していると感じます。

ただし、繰下げは「長生きリスク」への強力な備えになる一方で、手元の現金(貯蓄)が枯渇しては元も子もありません。周りがやっているからではなく、「自身の健康状態」と「手元資金」のバランスを見た最適解を見つけることが重要ですね。

まとめにかえて

今回は最新のデータから見る厚生年金の受給額の現実と、繰上げ・繰下げ受給の仕組みについて解説しました。

FAとして多くの方の資産運用サポートをしていると、公的年金という「生きている限り続くベース収入」がいかに老後の精神的支柱になるかを痛感します。

しかし、昨今の物価上昇を考慮すると、年金だけを頼りにゆとりのある老後を描くのは非常に難しい時代に入りました。だからこそ、長引くインフレへの対策として、新NISAなどを活用した資産寿命を延ばす「自助努力」が欠かせません。

繰上げ・繰下げ受給にはそれぞれメリット・デメリットがあり、後から変更することはできません。2026年も後半戦に入ったこのタイミングで、まずはご自身の「ねんきん定期便」を確認し、豊かなセカンドライフに向けた具体的なライフプランを思い描いてみてはいかがでしょうか。

村岸 理美
監修者村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

年金制度は複雑に見えますが、老後の生活基盤となる最も重要な制度です。繰上げや繰下げは一度選択すると取り消しができないため、目先の受給額だけでなく、税金や社会保険料を含めた「手取り額」の生涯キャッシュフローをシミュレーションすることが重要になります。

制度の仕組みを正しく理解し、ご自身の健康状態や就労状況に合わせた最適な受け取り方を選択してくださいね。

参考資料

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徳田 椋ファイナンシャルアドバイザー/一種外務員資格/FP2級
村岸 理美LIMO&ファイナンス編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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