この記事はここがポイント
- 円安局面での売却判断と新規投資判断は、それぞれ異なる軸で考えるべきポイント。
- NISAの積立は、為替のタイミングを気にしすぎず、淡々と続けるべき投資戦略。
- 物価高が続く中で現金比率が高い状態は、資産の実質的な価値が目減りするリスク。
1ドル=163円台という39年ぶりの歴史的な円安水準に到達し、164円目前で推移するなど、為替相場の動きに注目が集まっています。
このような局面では、「今からNISAでオルカンやS&P500を始めても大丈夫なのか」と、投資のタイミングに迷う場面が増えます。すでに外貨建ての資産を持っている場合はなおさらで、「売るべきか」「新しく買っていいのか」を同じ物差しで考えてよいのか分からなくなるものです。
今回は、NISAで積立をしながら外貨建て債券や保険も保有している40代の実例をもとに、歴史的な円安局面における投資判断の考え方と注意点を解説します。
「貯金していても増えない」と分かっていても、1ドル163円台という歴史的な数字を目の前にすると、いざ動くにあたって「どのくらい」「何を」買えばいいのか、途端に迷ってしまいますよね。 円安という響きだけで足がすくむのも当然です。焦らなくて大丈夫、判断の軸を一つずつ整理していきましょう。
【お悩み】円安局面で、売却と新規投資のどちらを優先すべきか判断がつかない
NISAでオルカンやTOPIXを積み立てながら、外貨建ての債券や保険も保有している40代の会社員。円安が進行するにつれて、新たな投資判断に迷うようになっていました。
「貯金していても増えないのであれば運用に回したいが、具体的にどのくらい増やしていいのか、何を買ったらいいのかが分からない」という戸惑いが根底にあります。 さらに、すでに保有している外貨建て商品を売却すべきなのか、それとも今から新たに投資を始めても大丈夫なのか、判断がなおさら難しく感じられていました。
「円安の今、売却は良いが、新たな投資は為替の動向を見極めたい」と、売るタイミングと買うタイミングを同じ物差しで考えてよいのか迷う場面もありました。
物価高が続く中で現金比率が高いことにも不安を感じており、資産の目減りを防ぐために運用比率を上げたい気持ちはあるものの、円安という一見不利に見えるタイミングで動き出してよいのか、踏み切れずにいたのです。
積立額を増やすべきか、ドル建て資産を増やすべきか。あるいは「投資信託以外の選択肢、たとえば債券などはまとまった高額な資金が必要だろう」という思い込みもあり、判断材料がそろわないまま時間だけが過ぎていく感覚もありました。
【チェックポイント】同じ悩みを持つ人が確認すべき4つのこと
円安局面での投資判断は、為替の水準だけを見ていても答えが出ません。
まずは以下の4つのポイントを自分自身で整理してみましょう。
- 保有中の外貨建て資産に「含み益」があるかどうか:すでに外貨建ての債券や保険を持っている場合、現在の為替水準で売却したときに利益が出る状態かどうかを確認します。含み益の有無は、売却するかどうかを判断する材料になります。
- 積立投資と一括投資、どちらの話をしているかの切り分け:NISAでの毎月の積立額を増やす判断と、まとまった資金を一括で投じる判断は、性質が異なります。今悩んでいるのがどちらの話なのかを、まず自分の中で区別します。
- 現金比率と物価上昇のバランス:資産全体のうち現金がどのくらいの割合を占めているか、そしてその現金が物価上昇によってどれくらい実質的に目減りしているかを確認します。
- 商品や制度について「知らないまま」にしていないか:成長投資枠の使い方や、債券・投資信託の購入単位など、思い込みで「自分には無理」「高額だ」と決めつけている情報がないか、一度確認してみます。
これらのチェックポイントを踏まえた上で、実際にどのような考え方や注意点にたどり着いたのか詳しく解説します。
ファイナンシャルアドバイザー。一種外務員資格及びAFP。SMBC日興証券出身。証券会社でのリテール営業の経験を活かし、現在はIFAとして老後資金の準備や相続相談などを得意とした個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。
