「80歳代の70%以上が通院」シニア世代の「健康と医療」の実態
厚生労働省が発表した「2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況」から、現在の日本人の有訴者や通院者の実態が明らかになっています。
※「有訴者(ゆうそしゃ)」とは、世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけが等で自覚症状のある者のことを指します。
女性や高齢層で高まる「有訴者率」
人口千人当たりの有訴者率は、総数で255.7となっており、男女別では男性233.2、女性276.7と、女性の方が高い傾向にあります。
また、男女ともに年齢が高くなるにつれて有訴者率が上昇していることがわかります。
性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)
性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)
《男性のトップ5》
1位「腰痛」
2位「頻尿(尿の出る回数が多い)」
3位「肩こり」
4位「せきやたんが出る」
5位「鼻がつまる・鼻汁が出る」
《女性のトップ5》
1位「腰痛」
2位「肩こり」
3位「手足の関節が痛む」
4位「体がだるい」
5位「目のかすみ」です。
年齢とともに急増する「通院者率」
人口千人当たりの通院者率は、総数409.2、男性398.1、女性419.7です。年齢が上がるほど通院者率も高くなり、特に80歳以上では700を超えています。
性別にみた通院者率の上位5傷病(複数回答)
《男性のトップ5》
1位「高血圧症」
2位「糖尿病」
3位「脂質異常症(高コレステロール血症等)」
4位「歯の病気」
5位「眼の病気」
《女性のトップ5》
1位「高血圧症」
2位「脂質異常症(高コレステロール血症等)」
3位「眼の病気」
4位「歯の病気」
5位「腰痛症」
年齢を重ねるにつれて生活習慣病等で通院するリスクが高まり、それに伴い家計における医療費の割合も大きくなっていきます。年金の増額分だけで将来の医療費増加をカバーできるのか、家計全体のバランスを見渡すことが重要です。
充実したセカンドライフを守る「3つの備え」
日本郵便でのリテール営業時代、私は投資信託や生命保険の商品分析を通じ、多くのお客さまが抱える「老後資金と健康への不安」に直接向き合ってきました。
今回の年金増額は確かにポジティブな要素ですが、基礎控除の引き上げに伴う税金の変動や、80代の7割以上が通院するという現実を踏まえると、「公的年金だけで一生涯安心」とは言い切れません。
大切なのは、現状のデータを正しく理解し、足りない部分を自助努力で補強することです。
- 公的保障の把握: まずは「ねんきん定期便」などで、ご自身の受給見込み額を正確に把握する。
- 資産寿命の延伸: インフレ対策として、新NISAなどを活用し「お金にも働いてもらう」仕組みを作る。
- 医療リスクへの備え: 高血圧や糖尿病など、シニア期特有の通院・入院リスクに対応できるよう、現在の医療保険の内容(保障期間や日額)が適切か見直す。
豊富な金融商品の中からご自身に合ったものを選ぶのは難しいかもしれませんが、まずは「現状を知る」ことが第一歩です。ぜひこの機会に、ご家庭の資産と保険のバランスを再確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

年金が増額される一方で、物価高や加齢に伴う医療費負担などにより、実質的な生活のゆとりを感じにくいのがシニア世代のリアルな現状です。記事にもある通り、まずは「ねんきん定期便」でご自身の受給額を把握し、健康なうちから将来の通院・介護リスクを織り込んだマネープランを立てることが重要になります。
漠然とした不安を一人で抱え込まず、必要であれば専門家の力も借りながら、ご家庭に合った「資産と保険の最適化」を早めに進めていきましょう。