【具体例】夫30歳(会社員)・妻30歳・子2歳の場合のシミュレーション
- 夫の厚生年金加入期間:8年間(平均月収35万円)
- 妻の老後の年金:基礎年金満額を年額90万円、自身の厚生年金を月額7万円(年額84万円)と仮定
※ご注意事項:このシミュレーションは、制度改正による変化を具体的にイメージしていただくためのモデルケースであり、任意の数字を用いた概算です。実際の受給額は加入期間や収入によって個々人で異なります。 また、今回の見直しは生活への影響の大きさに配慮し、現在の受給者や40代以上の方を守りつつ、20年以上という長い時間をかけて段階的に進められる設計となっています。
遺族厚生年金の改正でどう変わる?《シミュレーション》
現行制度
妻30歳〜46歳(子2歳〜18歳年度末)
年額:約148万円(月額:約12.3万円)
- 遺族基礎:約105万円
- 遺族厚生:約43.2万円
妻47歳〜64歳
約104.4万円(月額:約8.7万円)
- 遺族基礎:なし
- 遺族厚生:約43.2万円
- 中高齢加算:約61.2万円
妻65歳以降(老後)
年額:約174万円
- 基礎年金:約90万円
- 厚生年金:約84万円
※妻自身の年金(基礎+厚生)のみ(夫の遺族厚生年金は消滅)
見直し後
2028年4月以降 適用後のイメージ ※女性は20年かけて段階的に実施予定です。
妻30歳〜46歳(子2歳〜18歳年度末)
年額:約151.7万円(月額:約12.6万円)
- 遺族基礎:約108万円(※子の加算が年額約23.5万円→約28.2万円に増額)
- 遺族厚生:約43.2万円
現行制度より子の加算額がアップし、さらに手厚くなります。
妻47歳〜51歳
- 年額:約56.2万円(月額:約4.7万円)
5年間の有期給付 ※有期給付加算により現行の約1.3倍に増額(43.2万円×1.3倍≒56.2万円)。加えて、中高齢寡婦加算は施行後25年かけて段階的に縮小されるため、移行期間中は縮小された額が上乗せで支給されます。
妻52歳〜64歳
- 年額:原則0円(※収入が一定水準以下の場合は「継続給付」として支給が継続)
5年間の有期給付終了後は原則ストップ。ただし、単身で年収約122万円以下など低収入の場合や、障害状態にある場合は継続給付として引き続き受給できます。
妻65歳以降(老後)
年額:年額 約183.2万円
- 基礎年金:約90万円
- 厚生年金:約84万円
- 死亡時分割:約9.2万円
死亡時分割で妻の年金に夫の分を上乗せ
死亡時分割は、現行の「離婚分割」の仕組みをベースにしています。
子どもが18歳までもらえる遺族厚生年金には「若くして亡くなったから、25年間加入していたとみなして計算してあげる」という救済措置(みなし25年)がありますが、老後の年金に上乗せされる「死亡時分割」には、このみなし措置は適用されず、原則として「実際の婚姻期間(=加入期間の8年)」の記録が2分割されます。
今回のケース(平均月収35万円・加入8年)で、実際の記録を計算して2分割すると以下のようになります。
- 夫の実際の8年間の年金記録:年額 約18.4万円
- 妻に分割(1/2)して上乗せされる額:年額 約9.2万円(月額 約7600円)
遺族厚生年金の改正により、どのような違いが生じるかイメージできましたか?
子どもが18歳になるまでは新旧どちらも同じですが、子どもが巣立った後が激変してしまいます。現行制度なら65歳まで月約8.9万円が支給され続けましたが、見直し後は5年間限定の支給となり、その後65歳までは「0円」になります。
一方で、老後は夫の分を自分の年金に「上乗せ(合算)」できるようになるため、共働きでキャリアを積んできた人ほど老後が手厚くなる仕組みです。
ただし、若くしてパートナーを亡くした場合、老後に上乗せ(死亡時分割)される額は、婚姻期間(加入期間)が短いために月額数千円程度にとどまる可能性が高くなります。
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PROFILE
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。社内表彰歴多数。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。現在は、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、および専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて、企画・執筆・編集・監修を幅広く担当している。
金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、NISAや投資信託をはじめとするファイナンス領域を主軸に、その土台となる年金制度や社会保障、住宅ローン、相続まで横断的に分かりやすく解説。
