この記事はここがポイント
- カゴメ2026年12月期上期営業利益14.5%減、通期事業利益予想は40億円減の190億円。
- 株価は2025年9月末以降1割弱下落、稼ぐ力の水準見直しが背景。
- 国内価格改定後の数量減と販促費増、国際一次加工の価格下落が主な減益要因。
食品メーカーと聞くと、景気に左右されにくい堅い商売という印象が先に立つ。値上げが通れば利益も付いてくる、と考える人も多いだろう。だがカゴメ(2811)の直近の数字を並べると、その筋書きどおりには進んでいない。株価も2025年9月末以降、じわりと水準を切り下げてきた。何が効いているのか。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
上値が重いまま推移した株価。2025年9月末以降に描いた下向きの弧
2025年9月末の終値は2,800円台後半だった。そこから10月末にかけて2,600円台まで下押しし、以後はしばらく狭いレンジでの推移が続いた。
年明けにいったん持ち直し、2026年2月末には2,900円に迫る水準まで戻している。だが、そこが折り返し点になった。
春以降は再び水準を切り下げ、5月末には2,500円台まで下げた。7月末は2,600円台、2026年8月時点の終値も2,600円台にとどまる。起点となる2025年9月末と比べると、1割弱の下落だ。
派手な急落があったわけではなく、上値が少しずつ削られていく値動きである。この形の株価は、単発の材料よりも、稼ぐ力の水準そのものが見直されている姿を映していることが多い。
増収なのに減益。2026年12月期上期を分けたもの
2026年12月期上期の売上収益(IFRS)は1,437億円で、前年同期比+3.7%となった。一方、営業利益は90億円で▲14.5%、親会社の所有者に帰属する中間利益は46億円で▲24.2%と、増収と減益が同居している。
会社が経常的な事業の実力を測る指標として用いる事業利益も、84億円で▲18.6%だった。
利益はなぜ縮んだのか。会社によると、国内加工食品事業では主要原材料である農産物の高値が続いたため一部製品の出荷価格を改定したが、改定後の販売数量が減少し、広告宣伝費や販売促進費の増加も重なって減収減益となった。値上げが数量を削り、その穴を埋めるための販促がさらに利益を削る、という順番である。
加えて会社は、通期の事業利益予想を230億円から190億円へ40億円引き下げた。中東情勢の悪化でグループ全体に約28億円の事業利益影響を見込むこと、下期に包材関連費用や原材料費、エネルギーコストが上昇する見通しであること、飲料の一部商品で価格改定後の数量回復が想定を下回っていることが理由に挙がっている。
売上収益予想は3,100億円のまま据え置かれている。売上は保てるが利益は保てない。修正の中身は、そう読める。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
