この記事はここがポイント
- 株価が昨秋から6割上昇、2026年3月期ROE9.7%で業界平均超の水準。
- 2027年3月期1Qは売上+14.0%・営業利益+24.6%達成、多角化ポートフォリオが牽引。
- 会計恩恵後の利益持続と資本効率改善継続が、今後の課題。
総合電機と聞くと、幅広い事業を抱えるぶん一つひとつの稼ぐ力は薄まる、というイメージが今もついて回る。多角化はディスカウント要因として株価に響く、という理屈だ。
だが三菱電機(6503)の直近を眺めると、その一般的な見方からは少しずつ外れているのかもしれない。株価は昨秋から水準を切り上げ、資本効率も静かに改善してきた。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
昨秋から水準を切り上げた株価が映すもの
株価は2025年9月末に3,800円台だった。そこから昨秋以降、水準をはっきりと切り上げていく。
2026年に入ると一段高となり、2026年5月末には6,500円台をつけた。昨秋以降の月末終値では、最も高い水準である。
その後はやや上げ幅を吐き出し、6,000円前後での高止まりが続いた。2026年8月時点の終値も6,000円台にある。
1年足らずで6割近い上昇であり、値動きとしては大きい部類に入る。背景には地合いの追い風もあったとみられる。日本株全体が水準を切り上げるなか、大型の総合電機にも資金が向かった可能性がある。
2027年3月期1Qの増収増益はどこから来たのか
まず直近の数字を押さえたい。2027年3月期1Qの売上収益(IFRS)は1兆4,971億円で、前年同期比+14.0%となった。
営業利益は1,395億円で+24.6%、親会社株主に帰属する当期利益は1,098億円で+20.8%。税引前利益も1,570億円と+26.6%で、増収増益で着地している。
利益の伸びには、会計上の追い風も含まれる。会社の説明によると、有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法へ変更し、これにより営業利益と税引前利益がそれぞれ90億円押し上げられた。
会社は、事業構成の変動で価格水準の維持や安定的な設備稼働が見込まれるため、定額法が経済的実態をより適切に反映すると判断したとしている。
もっとも、方法変更による押し上げを除いても、営業利益は二桁の増益を保つ。実力ベースの伸びも確かにある。持分法による投資利益が144億円と前年の95億円から膨らんだことも、利益を底上げした。
1Qの当期利益は、通期予想の2割強に相当する。会社の通期予想は、売上収益6兆2,700億円(+6.4%)、当期利益4,950億円(+21.4%)。増益基調を見込む姿勢が、期初から示されている。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
