この記事はここがポイント
- キオクシア(285A)は生成AI特需で株価高騰、1株→3株分割を決定
- 新NISAと東証要請で株式分割が多発、三陽商会・三越伊勢丹は優待も拡充
- 株式分割は買いやすくするも、材料出尽くし、資金流出、業績不足で株価軟調化要因
新NISAの普及を追い風に、個人投資家が買いやすい株価水準を意識した株式分割の動きが、この夏の決算発表シーズンでも目立っています。
東京証券取引所は上場企業に対し、投資単位を50万円未満に抑えるよう継続的な見直しを求めており、この方針に沿う形で分割に踏み切る企業が相次いでいる格好です。
なかでも注目を集めているのが、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(285A)です。
2026年6月25日の定時株主総会で分割の検討を表明していた同社は、7月31日の取締役会で正式に1株を3株に分割する方針を決定しました。
直近の決算ラッシュで株式分割を発表した主な銘柄
7月以降、8月13日までに株式分割を発表した主な銘柄は以下の通りです。
- アイビスホールディングス(9334):1→2 2026年7月15日発表
- 三陽商会(8011):1→3 2026年7月27日発表
- 伯東(7433):1→3 2026年7月29日発表
- キオクシアホールディングス(285A):1→3 2026年7月31日発表
- 東計電算(4746):1→4 2026年8月3日発表
- 三洋化成工業(4471):1→4 2026年8月5日発表
- 丸全昭和運輸(9068):1→2 2026年8月10日発表
- アカツキ(3932):1→3 2026年8月12日発表
- 三越伊勢丹ホールディングス(3099):1→2 2026年8月13日発表
このうち、三陽商会と三越伊勢丹ホールディングスは、分割と同時に株主優待の拡充も発表している点が特徴的です。この2社については後述します。
キオクシア、生成AI特需による業績急拡大が株価を押し上げ、分割の引き金に
キオクシアが分割に踏み切った背景には、生成AI向けデータセンター需要の急拡大による業績の急変化があります。7月31日発表の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)決算では、売上収益・営業利益・純利益がいずれも前年同期から大幅に伸び、記録的な決算となりました。
この業績拡大を映して株価も急伸し、2026年6月22日には年初来高値となる11万2,700円をつけました。単元株数100株のまま換算すると、最低投資金額は1,127万円に達する水準です。東京証券取引所が上場企業に求める投資単位の目安は50万円未満であり、キオクシアの株価はこれを20倍以上も上回っていたことになります。株価上昇によって個人投資家が手を出しにくい水準まで投資単位が膨らんだことが、7月31日の取締役会で1株を3株に分割する方針を決定した直接の引き金になったとみられます。
株式分割の概要は以下の通りです。
- 分割比率:1株を3株に分割
- 基準日:2026年9月30日
- 効力発生日:2026年10月1日
同時に、上限8,000億円・3,000万株の自己株式取得も決議しています。
もっとも足元は、6月22日の年初来高値からは半値以下の水準まで調整しており、東証の目安(50万円未満)に近づくのは10月1日の分割効力発生を待つことになります。
また、分割を発表した企業のなかには、三陽商会や三越伊勢丹ホールディングスのように株主優待の拡充を同時に打ち出す動きも出てきています。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
