【預貯金把握の背景】2026年始動!なぜ国は利用者の資産状況を確認するのか?
介護保険制度において利用者の預貯金など資産状況の把握が進められている背景には、全世代型社会保障の構築に向け、所得だけでなく資産も総合的に勘案した「能力に応じた公平な負担」を求める国の方針があります。現在、介護保険の施設サービスで所得が一定基準以下の方の食費・居住費を補助する「補足給付」において、先行して利用者の預貯金額等を確認する実務が行われています。
補足給付について
さらに国(社会保障審議会・介護保険部会)では、サービスを「2割負担」とする対象者の拡大を検討中であり、その際の負担緩和措置として「所得が基準を超えていても預貯金が一定額未満であれば1割負担に据え置く」という新しい仕組みの導入も併せて議論されています。しかし、こうした所得と資産の双方を見る公平なルールを広く浸透させるには、自治体が金融機関へ1件ずつ書面等で照会している現行のアナログな手続きが、双方の大きな事務負担になっているという大きな課題がありました。
そこで政府は、マイナンバーの活用検討やデジタル庁を中心とした預貯金照会のオンライン化を進め、正確性を担保しながら手続きを大幅に効率化・省力化する環境づくりに乗り出しています。2026年5月27日に開催された厚生労働省の検討会は、まさにこの事務負担軽減に向けた、実務レベルの具体的なデジタルインフラ作りを話し合い始めた場と言えます。
まとめにかえて
今回は、厚生労働省の新たな検討会の内容をもとに、介護保険の預貯金把握の動きや制度の基本について解説しました。
「預貯金の把握」と聞くと少し身構えてしまいますが、これは制度を長持ちさせ、本当に困っている人へ支援を届けるための大切な話し合いです。生保業界やFPとしての実務経験から皆様にお伝えしたいのは、「制度の変更を嘆くのではなく、ルールを正しく知って対策を打つことが最大の防御になる」ということです。保険料の上昇や負担割合の増加は、家計にダイレクトに響きます。
高齢化が進む日本において、介護保険の負担や給付のバランスが見直されるのは避けられない流れです。だからこそ、私たちは「ひとごと」ではなく、自分や家族の将来に関わる「自分事」として捉える必要があります。
- 現役世代のうちから、最新の制度変更のニュースにアンテナを張る
- 公的介護保険の仕組みを正しく理解してマネープランを立てる
- 家族で老後の暮らしや介護費用について話し合ってみる
これからの安心な暮らしを守るために、今後の国の議論の行方に引き続き注目しつつ、できる備えから始めていきましょう。
参考資料
ほけんの窓口グループ出身。FP2級、生命・損害保険募集人資格。多数のライフプランニングや保険EC事業立ち上げを経験。現在は最適な保険の選び方を伝えるべく、コンテンツ制作や専門記事の執筆業務を行う。
元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。

介護保険における資産要件の厳格化は、持続可能な社会保障制度を維持するために今後さらに議論が加速していく分野です。記事にある通り、制度の変更を「自分事」として捉え、公的保険でカバーしきれない部分をどのように備えるか早めに計画を立てることが重要になります。
まずはご自身の資産状況と今後の年金収入を把握し、必要に応じて専門家に相談しながらライフプランを見直してみましょう。