①家族を支える2つの加算!「加給年金」と「振替加算」
「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入した人が65歳になったとき、所定の要件を満たす65歳未満の配偶者や子どもがいる場合に支給されます。配偶者の加給年金額は42万3700円(2026年度)、支給期間は本人が65歳になってから配偶者が65歳になるまでです。
配偶者が65歳になると加給年金は支給停止となり、配偶者の基礎年金に「振替加算」が加算されます。加算額は配偶者の生年月日によって異なります。また、1966年4月2日以降生まれの人は振替加算の対象外です。
加給年金と振替加算
一般的に、加給年金や振替加算は年金請求時に同時請求しますが、家族状況を正確に申告しないと請求が漏れる可能性があります。また、年金請求後に厚生年金加入期間が20年に達した場合、別途請求が必要になることもあるので、注意が必要です。
②所得基準がある3種類の「年金生活者支援給付金」
「年金生活者支援給付金」は、所得が一定額以下の年金受給者を支援するための制度です。
老齢・障害・遺族の各基礎年金受給者で所得要件を満たす人に支給されます。支給額(月額)は次の通りです。
- 老齢基礎年金受給者:保険料納付状況によって異なる(基礎年金満額なら5620円)
- 障害基礎年金受給者(障害等級1級):7025円
- 障害基礎年金受給者(障害等級2級):5620円
- 遺族基礎年金受給者:5620円
基礎年金を請求する際に一緒に手続きをすることもありますが、あとから所得要件を満たしたタイミングで新たに受給権が発生するケースもあります。その場合、ご自身で気づかないと請求漏れになってしまう可能性があるため、要件に当てはまるか時々確認してみると安心です。
③働く世代も対象になりえる「障害年金」
「障害年金」は、病気やケガで日常生活やお仕事に支障が出る状態になったときに受け取れる給付です。「障害年金」という言葉自体は知っていても、ご自身が対象になることに気づかず、請求をされていない方が意外と多くいらっしゃいます。
たとえば、知的障害や発達障害、うつ病などの精神疾患で長年お悩みの方の中には、請求が遅れたことで、過去に受け取れたかもしれない年金が時効により受け取れなくなってしまったというご相談を受けることも少なくありません。
障害者手帳をお持ちの方だけでなく、人工透析をしている方、人工関節や人工弁を入れている方、がんなどの重いご病気で要介護状態にある方なども、受給できる可能性があります。お仕事をされている方でも対象になるケースがありますので、「もしかして」と思ったら、まずはお近くの年金事務所などに相談してみることをおすすめします。
④ご遺族が受け取れる最後の年金「未支給年金」
「未支給年金」は、年金を受け取っていた方が亡くなられたとき、まだ受け取っていなかった分の年金を生計を同じくしていたご遺族が請求できる制度です。年金は後払いの仕組みになっているため、亡くなられた月までの分を受け取れることがあります。
ご遺族が制度を知らないと、そのまま請求されずに終わってしまうことも考えられます。同居しているご家族なら「生計同一」と判断されやすいですが、別居していても定期的に仕送りをしたり、日用品を届けたりしていれば、生計同一と見なされる可能性があります。
⑤国民年金独自の2つの遺族給付!「寡婦年金」と「死亡一時金」
「寡婦年金」と「死亡一時金」は、自営業の方など国民年金の第1号被保険者が亡くなられたときに支給される、国民年金独自の給付制度です。主に遺族基礎年金を受けられないご遺族が対象となります。
寡婦年金
第1号被保険者として保険料を10年以上納めた夫が、年金を受け取らずに亡くなった場合、婚姻期間が10年以上ある妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されます。
死亡一時金
第1号被保険者として36ヶ月以上保険料を納めた方が年金を受けずに亡くなったとき、ご遺族に対して納付月数に応じて12万〜32万円が支給されます。
両方の要件を満たす場合は、ご自身の状況に合わせてどちらか一方を選択することになります。遺族年金に比べると少し認知度が低いためか、制度を知らずに請求から漏れてしまうケースも見受けられます。
おわりに
公的年金には、おなじみの老齢年金以外にも、生活を支えてくれるさまざまな給付制度が用意されています。
年金事務員として実務に携わっていると、「もっと早く知っていれば…」と肩を落とされる相談者様に胸を痛めることも少なくありません。これらの給付金は待っているだけでは受け取れず、請求が遅れると時効で権利が消滅してしまうこともあります。
ご自身の生活を守るためにも、少しずつ年金への関心を深めていただき、もし「自分も対象かもしれない」と迷ったときには、お気軽に年金事務所や社会保険労務士などの専門家へご相談いただければと思います。
