2024年に開始した新NISAをきっかけに、積立投資を始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。
「オルカン」と「S&P500」は積立投資の定番ともいえるファンドですが、それぞれ投資先やリスクの取り方が異なります。
筆者は証券会社に勤務していた頃、株式や投資信託の提案を通じて、「選択肢が多すぎて、自分に合うものが分からない」と頭を抱えるお客様を数多くサポートしてきました。
大切なお金の投資先ですから、あれこれと悩んでしまうのは当然のことです。
本記事では、「オルカン」と「S&P500」の商品概要や2026年7月時点の運用実績を比較したうえで、新NISAで「月3万・5万・10万」を積立投資した場合のシミュレーション結果を紹介します。
これから積立投資を始める人は、ぜひ参考にしてください。
「オルカン」と「S&P500」とは?まずは基本を整理
NISAの積立投資でよく候補に挙がるのが、「オルカン」と「S&P500」です。
どちらもインデックスファンドとして高い人気がありますが、投資対象や値動きの特徴は大きく異なります。
なかには「名前は聞いたことがあるものの、違いまではよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。
まずは、それぞれがどのような市場に投資する商品なのか、基本的な特徴から整理していきましょう。
オルカン(全世界株式)の特徴
「オルカン(オールカントリーの略)」は、全世界の株式に分散投資するファンドを指します。
日本、米国、欧州に加え、新興国も含めた数千銘柄に分散投資されており、1本で世界経済全体の成長を取り込める点が特徴といえます。
ただし、三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の月次レポートによると、組入上位国・地域はアメリカが63.0%を占めており、2位の日本(5.1%)以下を大きく引き離しています。
また、組入上位10銘柄のうち、6位の台湾企業(台湾セミコンダクター)を除く9銘柄は、NVIDIA、Apple、Microsoftなど米国の巨大IT企業で占められています。
つまり、名目上は世界中に分散されているものの、実質的には米国、なかでも一部の大型IT企業の値動きに大きく左右されやすい構造になっている点は理解しておく必要があります。
それでも、世界経済の構造変化に応じてファンド内の構成比率が調整されるため、「どの国が今後成長するか」を個人で判断する必要がない点は、長期の資産形成において引き続きメリットといえるでしょう。
S&P500の特徴
S&P500は、米国を代表する約500社で構成される株価指数です。
アップルやマイクロソフト、エヌビディアなど、世界的な影響力を持つ企業が多く含まれており、米国経済の成長をダイレクトに反映する点が特徴です。
過去の運用実績を見ると、S&P500は長期的に高いリターンを上げてきました。特にIT企業を中心とした成長が株価を押し上げており、「資産を大きく増やしたい」と考える投資家から高い支持を集めています。
一方で注意したいのは、投資先が米国に集中している点です。米国経済が好調な局面では大きな成果が期待できますが、景気後退や株式市場の調整局面では、資産の変動幅が大きくなる可能性もあります。
成長性の高さと引き換えに、値動きの大きさを受け入れられるかどうかが、選択のポイントになるでしょう。
なお、前述のとおり、オルカンも実質的には米国比率が63.0%と高いため、「オルカンなら米国集中リスクを避けられる」という考え方も、必ずしも正確ではない点には注意が必要です。
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証券会社出身。約8年間にわたり株式や投資信託、生命保険の販売に従事。現在はフリーライター兼個人投資家として活動中。FP2級や一種外務員の知識と自身の投資実務を活かし、マーケット動向を注視した金融記事を精力的に執筆している。
