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【年金】夫婦で月「23万7279円」のはずが、手取りに「2万円超」の差が出ることも。何が引かれる?

執筆者 太田 彩子 LIMO&ファイナンス編集部記者
18:00
【年金】夫婦で月「23万7279円」のはずが、手取りに「2万円超」の差が出ることも。何が引かれる?

現役を引退したシニア世帯にとって、次回の年金支給日である「8月14日(金)」に振り込まれる年金は、家計を支える大事な収入ではないでしょうか。

2ヶ月分が一度に振り込まれるため、まとまった金額になることも多いです。

とはいえ、年金は額面どおりの金額がそのまま手元に届くわけではなく、税金や社会保険料が天引きされる仕組みになっています。

現役時代の給与天引きと同じように、年金からも引かれるお金。この記事では、年金の額面と手取りに差が生まれる理由と、年金から天引きされる「5つの項目」について、順を追って整理していきます。

【2026年度】標準夫婦の年金額は月額「23万7279円」に。手取りはどれくらい?

公的年金の額は毎年度、賃金や物価の動向に合わせて改定されます。

2026年度(令和8年度)は、前年度比で国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられました。

2026年度の年金額の例

2026年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO&ファイナンス編集部作成

ただし、どの夫婦世帯も同じ金額が支給されるわけではありません。

年金額は加入歴等によって一人ひとり大きく異なる

満額の老齢基礎年金を受け取る人の場合、1人あたりの月額の年金は「7万608円」です。

夫が標準的な報酬で40年間就業した会社員と専業主婦のモデル世帯であれば、夫婦2人分の厚生年金(国民年金を含む)は「23万7279円」となります。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円) ※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

天引額と手取り額も個人によって異なる

さらに、上記の金額はあくまで「額面」です。多くの人は、ここから税金や社会保険料が天引きされるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。

お住まいの地域や扶養状況によって天引きされる額は変わりますが、年金の手取りは「額面の85〜90%程度」に収まるケースが多いといわれます。

夫婦世帯の年金額「23万7279円」をこの水準に当てはめると、毎月の手取りはおおむね「20万〜21万3000円程度」になる計算です。

もし額面が同じ「23万7279円」であっても、手取り額まで同じとは限りません。

このように、年金額を考える上では「額面」も「手取り額」も個人の状況によって異なることを押さえておきましょう。

次章からは、「額面の決まり方」と「天引きされるお金」について深堀りしていきます。

【年金額】もらえる額はどうやって決まる?

実際に受給できる年金額は、それぞれの加入実績によって決まります。

まず国民年金(老齢基礎年金)ですが、こちらは「20歳から60歳までの間に保険料を納付した月数」によって決まります。40年間欠かさず納めれば満額がもらえますし、未納や免除があればその分が減額される仕組みです。

また老齢厚生年金の受給額は、現役時代の報酬(給与や賞与)と年金加入期間で計算されます。報酬比例部分は、次の計算式の合計で決まります。

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

なお、老齢年金ではなく遺族年金や障害年金が受け取れるケースもあります。

【年金】差し引かれる税金・社会保険料とは?

続いて、年金から天引きされる税金や社会保険料に注目しましょう。

年金から差し引かれる可能性があるお金は、次の5種類です。それぞれの項目には天引きの要件が設けられており、すべての受給者が対象となるわけではない点には注意が必要です。

  • 所得税と復興特別所得税
  • 住民税と森林環境税
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 介護保険料

※国民健康保険料と後期高齢者医療保険料は、どちらか一方のみが天引きされる仕組みになっており、両方が同時に引かれることはありません。

一つずつ中身を確認していきます。

【天引き項目1】所得税と復興特別所得税

所得税は、個人の所得に対して課される国税です。

年金額から公的年金等控除や基礎控除、配偶者控除などの所得控除を差し引いた「課税所得」に、所定の税率をかけて算出されます。

あわせて、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの所得には、復興特別所得税も上乗せで徴収される仕組みです。

公的年金等に係る雑所得の速算表

公的年金等に係る雑所得の速算表

出所:国税庁「高齢者と税(年金と税)」

たとえば、年金から各種控除を差し引いた「課税所得」が194万9000円以下のケースなら、所得税率は復興特別所得税を含めて5.105%となります。

所得が一定以下の場合はそもそも課税されないので、天引きされない人も少なくありません。

【天引き項目2】住民税と森林環境税

住民税は、その年の1月1日時点で住んでいる自治体に納める地方税です。

前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得の多寡にかかわらず一定額が課される「均等割」を合算して決まります。

これに加えて、2024年10月以降は地球温暖化対策の財源となる「森林環境税」も、個人住民税と一緒に年金から天引きされる仕組みになりました。

こちらも所得が一定以下であれば課税されないので、天引きされないこともあります。また、課税はされても「普通徴収」の対象となり、天引きされないケースもあります。

【天引き項目3】介護保険料

65歳を迎えると介護保険の第1号被保険者となり、介護保険料を単独で納めることになります(64歳までは健康保険料に上乗せされる)。

税金とは異なり、どれだけ所得が少なくても保険料がかからないことはありません。

保険料の額は、お住まいの自治体や本人の所得によって変わります。国の標準基準では、介護保険料の段階は現在「13段階」となっています。しかし、各市区町村は地域の実情に合わせて、この段階を独自に細分化することが認められています。

たとえば東京都江戸川区では、所得に応じて19段階の基準が設定されており、該当する段階の保険料を納める方式がとられています。

なお、介護保険料は要介護認定を受けているかどうかにかかわらず、生涯にわたって納付を続けることになる点も押さえておきましょう。

【天引き項目4】国民健康保険料

国民健康保険に加入している年金受給者の場合、その保険料も年金から天引きされる対象になります。

国民健康保険料は「医療分」「支援分」「介護分」の3つで構成されており、所得に応じた「所得割」と、加入人数に応じた「均等割」を合算して算出される仕組みです。

※自治体によっては、平等割や資産割などを採用しているところもあります。

先ほど触れたとおり、65歳以上になると介護保険料は別建てに切り替わるため、国民健康保険料の内訳からは介護分が外れます。

なお、稀なケースとして「自分自身は後期高齢者医療制度に加入し、家族の国保の擬制世帯主にもなる」という場合、両方の保険料支払い義務は発生しますが、年金から天引きされるのは「自分の後期高齢者医療保険料」のみです。

所得割の料率や均等割の金額は、お住まいの自治体によって設定が異なります。

【天引き項目5】後期高齢者医療保険料

原則として75歳に到達すると、すべての人が後期高齢者医療制度に加入する仕組みになっています。

この制度の保険料も、一定の要件を満たすと年金からの天引き対象に変わります。

保険料は所得に応じて負担する「所得割」と、加入者全員が一律で負担する「均等割」の合計で算出され、金額は都道府県ごとに異なります。

6月支給の年金までは、前年度と同額の保険料が天引きされることが一般的です(8月から本徴収)。

まとめにかえて

2026年度の年金額は、国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%それぞれ引き上げられました。

ただし、年金からは税金や社会保険料が天引きされるため、額面どおりの金額が手元に届くわけではありません。

差し引かれる主な項目は、所得税・復興特別所得税、住民税・森林環境税、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の5つです。

報道などで「今年の年金は引上げ」「年金の平均額は約15万円」などを見かけることも多いですが、年金額も実際の手取り額も、個別のケースによって大きく変わります。

ご自身の年金から何がどれだけ引かれているのかをあらためて確認し、これからの老後資金の見通しを整えてみてはいかがでしょうか。

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