執筆者三石 由佳2級FP技能士
17:00

現役世代のジレンマ「お金は貯めたい、でも支出も多い」

老後生活資産は現役世代からの積み重ねが必要となりますが、現役世代は何かとお金が必要となり、貯蓄まで気を回せないと感じる人も多いのではないでしょうか。

世代ごとの貯蓄と負債の比率を見てみましょう。

年齢階級が高くなるほど、貯蓄額が増加傾向

年齢階級が高くなるほど、貯蓄額が増加傾向
出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書(全体版)」2/2
年齢階級が高くなるほど、貯蓄額が増加傾向

29歳以下

  • 貯蓄額:650万円
  • 負債額:1,250万円
  • 年間収入:729万円
  • 持家率:41.4%

30〜39歳

  • 貯蓄額:898万円
  • 負債額:1,838万円
  • 年間収入:734万円
  • 持家率:70.7%

40〜49歳

  • 貯蓄額:1,314万円
  • 負債額:1,445万円
  • 年間収入:835万円
  • 持家率:81.9%

50〜59歳

  • 貯蓄額:1,798万円
  • 負債額:729万円
  • 年間収入:878万円
  • 持家率:85.5%

60〜69歳

  • 貯蓄額:2,659万円
  • 負債額:270万円
  • 年間収入:612万円
  • 持家率:93.3%

70歳以上

  • 貯蓄額:2,441万円
  • 負債額:56万円
  • 年間収入:427万円
  • 持家率:95.5%

30代や40代は、貯蓄よりも負債の方が圧倒的に多く、実質的なマイナス状態にあります。住宅ローンや子どもの教育費などが重なり、まさに「人生で一番お金が出ていく時期」と言えます。

将来に向けたお金を取り分けることが難しいと感じるのも当然です。

このような時期はどのように資産設計を考えていけばよいのでしょうか。

「引き出せるお金」と「引き出せないお金」を強制的に分ける

そこで重要になるのが、資産の「切り分け」です。

例えばNISAや預貯金はいつでも引き出せるため、教育費や車の購入など「現役時代に使うお金(流動性の高い資産)」の準備に適しているでしょう。

しかし「いつでも引き出せる」からこそ、老後を迎える前に使ってしまうリスクも伴います。

そこで、iDeCoの最大のデメリットと言われる「原則60歳まで引き出せない」ルールを逆手にとって考えてみるのです。簡単に手を出せないお金として明確に切り分けることで、スムーズに資産設計を進めることができるのです。

もちろんすべての資産をiDeCoに入れてしまうのは、いざという時に引き出せず危険です。しかし、流動性の高い資産ばかりでも、取り崩しやすさが将来の足を引っ張る可能性もあります。

そのため、流動性の低い資産としてiDeCoをあえて持つ、ということです。

流動性の異なる資産を組み合わせて持つことが、現役世代から老後資産設計をするうえで欠かせない考え方だと言えます。

iDeCo(イデコ)とはどんな制度?

ここでiDeCo(個人型確定拠出年金)の基本ルールを整理しておきましょう。iDeCoは、公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして準備する私的年金制度です。

  • すべて自分で決める:企業型とは異なり加入は任意です。申込から毎月の掛金額、運用先までご自身で管理します。
  • 運用成果が将来の年金に:積み立てた掛金と運用で得た利益の合計額が、将来の給付金となります。
  • 60歳まで引き出し不可:老後資金の確保を大前提としているため、原則として60歳を迎えるまでは資産を引き出すことができません。

まとめ

iDeCoは制約が多く、わかりにくいと感じてなかなか踏み出せない人も多いと聞きます。

ですが、その制約を逆手にとって「将来の資産設計のためにうまく活かす」と考えることができれば、これほど有用な制度はありません。

ぜひ、ご自身の資産設計を検討するきっかけにしてみてください。

参考資料

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三石 由佳2級FP技能士株式会社モニクルリサーチ

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