経営効率の比較と投資判断のポイント
企業の「資本に対する収益の効率性」を表す指標として、自己資本当期純利益率(短信ベースのROE相当)を算出すると、次のような結果になります。
- 三井住友FG:10.4%
- みずほFG:11.4%
効率性の観点では、足元の業績回復が追い風となり、みずほFGが三井住友FGを上回る結果となりました。
今回の利上げに伴う金融環境の「織り込み」が一服した現在、中長期的な投資の視点からは、両社の特徴に応じて次のような判断基準が挙げられます。
株主還元の継続性と、分散された収益基盤を重視するなら「三井住友FG」
決済やリテール分野を含めたバランスの良い事業構成(ポートフォリオ)を有し、累進的配当に裏付けられた資本政策の安定性は、ディフェンシブな大型配当株としての強みと言えます。
収益構造の変革と、これからの成長余力に注目するなら「みずほFG」
構造改革を経て収益水準が一段と高まった現在、市場からの見方はかつての「低PBR銘柄」という位置づけから、高い総還元性向(50%以上目安)を掲げる「収益成長株」への評価へと変化しています。今後の増配や自己株買いを通じたEPS(1株当たり利益)の拡大に期待を寄せる投資家にとって、有力な選択肢になり得ます。
今回の利上げが想定通りに通過し、市場の関心が今後の利上げペースへと移るなか、改めて各行の「本質的な稼ぐ力」を見極める局面へと移行していくとみられます。
おわりに
日銀による追加利上げという大きな転換期を迎え、メガバンク各社は新たな成長局面へと入りました。以前の「割安株」という見方から、高い資本効率と手厚い株主還元を両立させる「収益成長株」へと市場の評価は大きく様変わりしています。
今回はメガバンクの中でも独自の戦略を展開する三井住友FGと、構造改革を通じて大幅な利益成長を達成したみずほFGの二社に焦点を当て、比較・検証を行いました。
三井住友FGは堅固な非金利ビジネスと累進的配当による安定感を示している一方、みずほFGは構造改革に伴う効率化と業績の伸長によって、過去の見方を覆す成長の勢いを見せています。利上げが本格化する現在、両社の戦略の差異は投資家にとって重要な比較検討の材料となるでしょう。
なお、金融政策や市場環境は常に変化するものであり、株価の動向にも予測できない要素が含まれます。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任において、最新の開示資料などの情報を自ら収集・精査したうえで行っていただくようお願いいたします。
※免責事項
- この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
- 本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害や損失についても、一切の責任を負いかねます。投資に関する最終的な判断は、最新の決算資料や市場動向をご自身で確認し、自己責任で行うようお願いします。
- 株主優待の内容や適用条件は変更されることがありますので、必ず企業の公式サイトで最新情報をご確認ください。
参考
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
