市場の評価と株価パフォーマンスの背景
両者の株価パフォーマンスをみていきましょう。
三井住友FG:計画的な利益還元によって市場からの信頼をより強固に
三井住友FGは、投資家から終始ブレのない高い評価を受け続けています。その原動力となっているのが、非常に明快な資本の配分方針です。状況に応じた機敏な自社株買いの実施や、新たな投資家層を呼び込むための株式分割など、節目ごとの目標に沿った還元策が、市場の予測を裏切らない成果を出し続けています。
ここ1年の値動きを振り返ると、中東情勢の緊迫化といった外部環境の変化によって一時的に下落する場面もありましたが、その後はしっかりと買い戻され、下値を切り上げています。6月18日には6,733円をつけて上場来高値を更新。抜群の「稼ぐ力」を背景に、株価は順調に右肩上がりをキープしています。
三井住友FGの年間チャート
みずほFG:業績の向上が導いた「マーケットによる再評価」
みずほFGも近年の業績拡大に伴い、市場からの評価を大幅に高めています。以前の超低金利環境においては、同社の「稼ぐ力」について本来の実力通りに見られていなかった側面もありましたが、金利環境の正常化によって直接的に利益へ結びつく仕組みが確立されたことで、株価動向の好転に寄与しています。
過去1年間の値動きを振り返ると、3月に見られた調整局面を乗り越えて力強く反発し、現時点ではマーケットの先行き期待を反映しつつ、一段上の価格帯で推移しています。他行と同様に、収益のブレの少なさや配当利回りの高さを重視する投資家からの資金流入が継続しています。
みずほFGの年間チャート
一時的なブレは見られるものの、中長期的スパンで俯瞰すれば、利上げに伴う貸出利回りの改善と、それによる収益基盤の強化が本格化しています。両社の経営環境は構造改革を通過したことで、一段上のフェーズへと定着しつつあると考えるのが妥当でしょう。
とはいえ両社にとどまらず、銀行セクター全体において割安状態の見直しが進んでいます。
この動きの背景としては、主に2つの要素が挙げられます。
一つは金利上昇という強力なプラス要因です。日銀によるマイナス金利解除から利上げへの舵切りという金融政策の転換を契機に、預貸利ざやの改善(本業における収益性の向上)が鮮明となりました。これはメガバンクのみならず、地方銀行をも巻き込んだセクター全体の利益をストレートに底上げする要素となっています。
二つ目は東証による「PBR1倍割れ」是正要請です。長期間にわたり「万年割安株」の象徴であった銀行株に対し、東証が資本効率の向上を厳しく促した結果、各行が足並みを揃えて自社株買いや増配といった積極的な株主還元策へと舵を切っています。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
