この記事はここがポイント
- 古河電工株価が8月4日に11%超急伸、AI需要への期待
- 8月6日の第1四半期決算発表が焦点、今期も大幅増益計画
- AI向け光ファイバー・放熱に強み、安定した既存事業も特徴
4日の東京株式市場は小幅に反発しました。
前日の米国市場でアルファベットやマイクロソフトなどの主要ハイテク株が買われた流れを引き継ぎ、国内市場でもキオクシアホールディングスをはじめとする半導体関連銘柄に買いが先行。
ただ、日経平均株価が一時マイナス圏に沈む場面もあるなど、全体としては明確な方向感を欠く展開となりました。
そうしたなかで異彩を放ったのが、電線・光ファイバー大手の古河電気工業(5801)です。同社の株価は前日比11%を超える急騰となり、3,500円台後半まで一気に買い進められました。
いわゆる「電線御三家」は揃って買われたものの、古河電工の上昇率は突出しており、同社固有の強気な思惑が働いたとみられます。
古河電工といえば、7月1日に1株→10株という大規模な株式分割を実施しており、分割後の株価動向にも注目が集まっていました。
2025年末(大納会)の終値は分割遡及後で1,001円でしたが、そこから半年に満たない期間で上場来高値6,241円(5月27日)まで駆け上がり、年初来ではおよそ6.2倍という突出した伸びを記録、市場の耳目を集めました。
もっとも、高値形成後は利益確定の売りが優勢となり、特に分割後は株価が伸び悩む場面が目立つようになっていました。
1Q決算前に前期のおさらい
古河電工が5月12日に発表した2026年3月期通期の決算では、売上高が1兆3,075億円(前期比8.8%増)、営業利益が638億円(同35.8%増)でした。
データセンター関連製品の需要拡大や自動車部品事業の好調、生産性改善などを背景に、全セグメントで増収増益となりました。
同社はこの5月12日の発表にあわせて、2027年3月期の業績見通しとして営業利益950億円(前期比48.8%増)という計画も示していました。
前期に続いて大幅な増益を見込む内容で、発表当日から翌日にかけて株価がストップ高を交えて急伸した経緯があります。
これに対してこれから発表されるのは、この通期計画の進捗を確認する材料となる2027年3月期第1四半期の決算です。
8月6日には、この第1四半期決算の発表が予定されています。
今回の急騰は、5月に示された高い成長計画が8月6日の内容でどこまで裏付けられるかへの期待が、土台の一つになっている可能性があります。
なぜ古河電工なのか AIデータセンター向け製品への強み
古河電工が投資家の関心を集めている背景には、同社が長年手がけてきた光ファイバー・光デバイス事業があります。生成AIの普及に伴い、データセンターの新設・増設が世界的に進むなか、通信インフラの中核を担う光ファイバーケーブルや関連部材の需要が拡大しており、同社はこの分野で世界的にも高い競争力を持つとされています。
加えて、データセンターの高発熱化に対応する水冷モジュールなど放熱・冷却製品の供給力強化も進めており、光通信インフラと放熱ソリューションの両面からAI関連需要を取り込める点が、同社の強みとして注目されています。自動車部品(ワイヤーハーネスなど)や電力ケーブルといった既存事業も安定的に稼いでいるため、AI関連の需要が一時的に鈍化した場合でも他事業で補える分散型の事業構成になっている点も特徴です。
もっとも、4日の急騰について明確な手掛かりはなく、こうした中長期的なテーマへの期待が買いを集めている一因になっているとみられる、というのが現時点での市場の受け止め方でした。
同社は引け後、生成AI普及に伴うデータセンタ市場の拡大に対応するため、光ファイバおよびローラブルリボンケーブルの生産能力増強を発表しました。投資総額は約1,000億円を見込み、米国、ブラジル、日本、インドの4カ国で実施します。2028年度下期から順次量産を開始し、2025年度末比で約2倍の製造能力となる見込み。直近の業績への影響は軽微としており、稼働後は中長期的な売上増加に寄与する見通しです。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
