この記事はここがポイント
- 三菱商事27年3月期1Qは、市況回復で当期利益が前年比47.0%増の2,985億円に急回復。
- 資源と非資源事業がバランス良く稼ぎ、業績の振れをならす分散構造。
- 23年3月期ピーク後減少も10期連続増配を継続、27年3月期には利益回復を予想。
総合商社と聞くと、資源価格の浮き沈みで業績が大きく振れる会社、という印象を持つ人は多いだろう。三菱商事(8058)もその代表格だ。ただ、直近の決算とセグメントの中身を並べると、そのイメージだけでは捉えきれない厚みが見えてくる。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
市況回復が押し上げた1Qの大幅増益
三菱商事の2027年3月期第1四半期は、収益(IFRS)が5兆1,810億円と前年同期比+22.8%で着地した。本業の稼ぐ力を示す売上総利益は4,972億円と前年同期の3,685億円から大きく伸び、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,985億円と+47.0%の急回復となった。
伸びの主因はどこにあるのか。会社の説明によれば、収益と売上総利益の増加はいずれも市況の上昇によるものだという。加えて、資源関連の投資先からの受取配当金が増えたことで金融収益がおよそ350億円上乗せされ、持分法による投資損益も1,509億円と高水準を維持した。
さらに、千代田化工建設を持分法適用会社としたことに伴う再評価益や、三菱食品の訴訟和解金の受領といった一過性の利益も乗った。市況という追い風に、こうした個別要因が重なった四半期だったと読み取れる。
資源が牽引し、非資源も稼ぐ分散構造
利益の中身をセグメント別に見ると、この会社の分散の効き方がわかる。第1四半期に最も稼いだのは金属資源で、当期利益はおよそ866億円にのぼった。資源価格の上昇を捉えた格好で、エネルギー・電力を扱う事業も700億円超の利益を出している。
もっとも、稼ぎ頭は資源だけではない。食品産業がおよそ362億円、モビリティが312億円、社会インフラが296億円と、資源以外の事業もそれぞれ数百億円規模の利益を積み上げた。生活関連や都市開発を担う事業も着実に稼いでいる。
資源価格次第で業績が振られるという商社のイメージと、実際のセグメントの並びには少なからぬ隔たりがある。資源が全体を牽引する一方で、非資源の事業群が利益の裾野を支える。この2つの姿は同時に成立しており、それが業績の振れをある程度ならす方向に働いていると考えられる。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
