2026年度(令和8年度)の年金額は、4年連続で引き上げられました。とはいえ改定率は国民年金(基礎年金)が+1.9%、厚生年金が+2.0%で、物価の伸びである3.2%には追いついていません。年金が増えても暮らしが楽になったと実感しにくいなか、老後の家計を支えるもう一つの柱が貯蓄です。
70歳代になると、夫婦で暮らす世帯もあれば、ひとり暮らしの世帯もあります。世帯ごとに平均的な貯蓄の状況はどう違うのでしょうか。
今回は、70歳代の平均貯蓄額と中央値を二人以上世帯・単身世帯に分けて比較したうえで、老後が「不安な人」と「安心な人」をおける違いについても考えていきましょう。
【70歳代の平均貯蓄額】二人以上世帯と単身世帯はいくらか
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、70歳代の金融資産保有額は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
70歳代(二人以上世帯)の貯蓄額(平均・中央値)
70歳代の貯蓄円グラフ
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成
- 70歳代二人以上世帯:平均2416万円/中央値1178万円
70歳代(単身世帯・おひとりさま)の貯蓄額(平均・中央値)
70歳代の貯蓄円グラフ
出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成
- 70歳代単身世帯:平均1489万円/中央値500万円
二人以上世帯は平均2416万円・中央値1178万円、単身世帯は平均1489万円・中央値500万円。二人以上世帯のほうが平均・中央値ともに高くなっています。いずれも平均が中央値を上回るかたちとなりました。
「貯蓄ゼロ」の世帯は、二人以上世帯で10.9%、単身世帯で20.4%でひとり暮らしのほうが高めです。一方で2000万円以上ある世帯は二人以上世帯で37.5%、単身世帯で25.4%と、こちらは二人以上世帯のほうが多くなっています。同じ70歳代でも、世帯のかたちによって貯蓄の状況が異なるようすがうかがえます。
「老後が不安な人」と「安心な人」の違いは?
同じくらいの年金や貯蓄でも、老後を「不安」に感じる人と「安心」に思える人がいます。その差は金額そのものより、お金との向き合い方にあらわれます。安心して過ごせている人に共通する主な3つのポイントをみていきましょう。
老後にいくら必要か、現在いくらあるかを把握しているか
老後が安心な人は、毎月の生活費と年金収入、そして手元の貯蓄をおおまかにでもつかんでいます。「毎月いくら足りないか」が見えていると、貯蓄をどのくらいのペースで使えるかも見通せます。逆に、漠然と「足りないかもしれない」と思っているだけだと、不安だけがふくらみがちです。
貯蓄を取り崩す計画があるか
現役時代は「貯める」ことが中心でしたが、年金生活では「上手に使う(取り崩す)」ことが大切になります。安心な人は、どの口座から・いつ・どのくらい使うか、おおまかな計画を持っています。生活費の補填用と、医療・介護などの備え用に分けておくと、取り崩しすぎを防ぎやすくなるでしょう。
変化に合わせて見直しているか
物価の上昇や健康状態、家族の状況、ライフスタイルなどは年月とともに変わります。安心な人は、こうした変化があったときに都度家計を見直しています。一度立てた計画を「決めっぱなし」にせず、年に一度でも収支を確認し、都度見直す習慣が安心につながるでしょう。
まとめにかえて
70歳代の貯蓄は、二人以上世帯で平均2416万円・中央値1178万円、単身世帯で平均1489万円・中央値500万円。世帯のかたちによって差があり、貯蓄ゼロ世帯もあれば2000万円以上という世帯もありました。年金が物価の伸びに追いつかないなかでは、貯蓄をどう活かすかがいっそう重要になります。
老後の安心は、貯蓄額の大きさだけで決まるものではありません。必要額を把握し、取り崩しの計画を持ち、変化に合わせて見直す―この3つを、できることから一歩ずつ進めたいですね。
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野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。

野村證券株式会社出身。FP2級・証券外務員一種を保有。国内外株式、投資信託、債券、保険商品まで幅広い資産運用に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集長として記事も執筆。
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