投資信託で「安く買って高く売る」は可能か?  約定価格の仕組みを理解する
metamorworks/shutterstock.com
執筆者篠田 尚子ファンドアナリスト/CFP®
07:40
投資信託で「安く買って高く売る」は可能か?  約定価格の仕組みを理解する
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この記事はここがポイント

  • 投資信託の売買は、注文後に基準価額が決まるブラインド方式。
  • 国内ファンドの約定日は申込当日、海外ファンドは翌営業日の基準価額が適用。
  • NISAやiDeCo積立投資と相性が良く、長期投資では市場タイミングより仕組み理解が重要。

投資の基本は、「安いところで買って、高いところで売る」ことです。相場が大きく動く局面では、「基準価額が下がったタイミングを狙って、少しでも安く投資信託を買いたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

投資信託では、購入や解約を申し込んだ時点では、適用される基準価額はまだ決まっていません。注文の締め切り後に算出される基準価額(約定価格)で売買が成立します。この仕組みを「ブラインド方式」といいます。

「なぜ、注文時に価格が分からないのだろう」と不思議に思うかもしれません。

もし、公表されている基準価額を見て自由に売買できるとしたらどうでしょう。基準価額が上がりそうだと思えば買い注文が集中し、逆に下がりそうだと思えば解約注文が殺到するかもしれません。その結果、先に注文した人ほど有利になり、もともとファンドを保有している受益者に不利益が及ぶ可能性があります。

こうした不公平を防ぐため、投資信託では注文を受け付けた後に基準価額を決める仕組みが採用されています。つまり、「今見えている価格」で売買することはできない一方で、すべての投資家が公平な条件で取引できるようになっているのです。

国内ファンドと海外ファンドでは約定日が異なる

実は、この約定価格が決まるタイミング(約定日)は、投資対象が国内か海外かによって異なります。

一般的に、日本株など国内資産を中心に運用するファンドでは、申込当日に算出される基準価額が適用されます。一方、米国株など海外資産に投資するファンドでは、現地市場の終値や為替レートを反映して基準価額が算出されるため、通常は翌営業日の基準価額で約定します。例えば、前日の米国市場が大きく下落したのを見て朝一番に購入を申し込んでも、下落した価格で買えるとは限りません。注文を出した日の米国市場や為替の動きを反映した基準価額で約定するためです。

つまり、「昨日大きく下がったから今が買い時」と考えても、その価格で購入できるとは限らないのです。

約定価格が決まるタイミング

「1日1回」の仕組みにはメリットもある

このように、投資信託は株式やETFのようにリアルタイムで売買できないことから、不便に感じられることもあります。

しかし、この仕組みは必ずしもデメリットばかりではありません。基準価額が1日1回しか決まらないからこそ、毎月決まった日に一定額を買い付ける積立投資との相性は良いと言えます。さらに、相場が下落し、基準価額が安いときは多くの口数を自動的に購入できるため、短期的な値動きに一喜一憂することなく資産形成を続けやすいという面もあります。

タイミングよりも、まず仕組みを理解する

相場が大きく動くと、「今が買い時ではないか」「もう少し待った方がよいのではないか」と考えたくなるものです。もちろん、市場環境を踏まえて投資判断をすることは大切です。ただ、投資信託では価格の動きだけを追いかけても、思い通りのタイミングで売買できるとは限りません。

NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及によって投資信託はより身近な存在になりましたが、個々のファンドの特徴だけでなく、価格がどのような仕組みで決まるのかを理解しておくことも、長期投資では重要です。

タイミングを読むことよりも、まず仕組みを理解すること。それが、相場が大きく動く局面でも落ち着いて投資を続けるための第一歩であると言えるでしょう。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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