ウォーレン・バフェットに学ぶ10倍株の見つけ方
出所:モニクルリサーチ
執筆者泉田良輔LIMO&ファイナンス編集部 編集長
08:14
ウォーレン・バフェットに学ぶ10倍株の見つけ方
出所:モニクルリサーチ

この記事はここがポイント

  • ウォーレン・バフェットが将来計画より「継続的な利益実績」を重視する点。
  • ROE「12%前後」を継続的に達成する企業を、元機関投資家がスクリーニング目安とする点。
  • 負債がなく、借入に頼らず高いROEを実現しているかを重視する点。

株価が10倍になる銘柄——いわゆる「10倍株(テンバガー)」を、皆さんはどうやって探しているでしょうか。

これから伸びそうな産業を考え、その中で有望そうな会社を選ぶ。そんな順番を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

ただ、世界でもっとも有名な投資家であるウォーレン・バフェットのやり方を眺めていくと、少し違う景色が見えてきます。

買収基準に、条件が書いてある

バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>は、アニュアルレポートで買収先を選ぶ基準を公開しています。そのうちの二つを引いてみましょう。

  • 「継続的な利益の実績があること(将来の計画や『再生案件』にも興味はない)」
  • 「従業員数が少ないか負債がない一方でROEが高い事業収益を持つ会社」

10倍株を探すうえでの条件は、この二つにほとんど書かれていると私は考えています。一つずつ見ていきましょう。

「将来の計画には興味がない」と言い切る意味

まず目を引くのが、「将来の計画には興味がない」と言い切っている点です。

これから伸びる産業を当てにいくのではなく、すでに利益を出し続けてきた実績を見る。バフェットが重視しているのは、未来の絵ではなく過去の記録だということになります。

私も機関投資家として企業の業績予想をしてきましたが、マクロ環境も競争環境も時々刻々と変わります。それらを完全に織り込んで将来を当てるのは、正直なところ難しい。

一方で、過去の決算は変わりません。時間をかけて調べた分だけ、理解は深まります。

10倍株を探すときも、入り口は同じです。まずは過去10年分の決算を並べてみる。それだけで、候補はかなり絞り込めます。

ROEの水準と、時間の掛け算

もう一つの基準にある「負債がない一方でROEが高い」も、そのままの意味です。

ROE(株主資本利益率)は、株主のお金に対してどれだけ利益を上げたかを示します。ROEが10%なら、配当の影響を除けば、株主資本が1年で10%増える計算になります。指標そのものの定義や計算式は「ROEとは?」で整理しています。

ここに時間を掛け合わせると、景色が変わってきます。

日本では伊藤レポートが「最低限8%を上回るROE」を掲げましたが、ROE8%では株主資本が2倍になるまで約9年かかります。ROE12%なら6年で約2倍、10年で約3倍。ROE25%になると、3年で約2倍、10年では約9倍です。

同じ10年でも、水準しだいで3倍と9倍に分かれる。10倍株を探すときにROEを見るのは、こういう理由からです。

私自身がスクリーニングの目安にしているのは、ROEで12%前後です。伊藤レポートの8%を5割上回る水準で、これを継続的に達成している会社は、そう多くありません。水準の考え方は「ROEの目安は何%?」もあわせてご覧ください。

一度の赤字が、複利を止める

バフェットの伝記『スノーボール』には、「複利製造マシーン」という言葉が出てきます。利益が資本を増やし、増えた資本がまた利益を生む。雪だるまと同じ仕組みです。

ただ、この機械には弱点があります。一度でも最終赤字を出すと、積み上げた株主資本が減ってしまうのです。

仮にROE25%の会社が、3年に一度だけ最終赤字を出し、その年に株主資本が5%減るとしましょう。10年後の株主資本は、赤字がなければ約9倍のところ、4.1倍にとどまります。

減益は受け入れてよいが、赤字はいけない。「負債がない」という条件も、有事に生き残るための備えだと考えると、意味がつながってきます。

株主資本が10倍にならなくても、株価は10倍になる

ここで、こう思われた方もいるかもしれません。株主資本が3倍にしかならないなら、株価も10倍にはならないのではないか、と。

そうとも限りません。

株式市場は、利益を積み上げ続ける会社に対して、将来の積み上がりを先に織り込みにいきます。その結果、PERやPBRの評価が切り上がり、株主資本の拡大ペースを超えて株価が上昇することがあります。この三つの指標がどうつながっているかは「PBR=PER×ROEとは?」で解説しています。

バフェットの言葉を借りれば、こういうことになります。

「市場は、短期的には投票計です。長期的には重量計です」

短期の人気投票ではなく、積み上がった重さがいずれ効いてくる。10倍株とは、その重さが評価されるまで持ち続けた結果だ、ということになります。

元機関投資家イズミダの視点

こうして並べてみると、バフェットに学ぶ10倍株の探し方は、驚くほどシンプルです。

過去10年、赤字を出していないか。ROEは12%前後を継続できているか。借入に頼らずにそれを実現しているか。

どれも、決算書をさかのぼれば確認できることばかりです。将来を当てにいく作業は、一つも入っていません。

あとは、時間を味方につけるだけです。ここばかりは、どれだけ資金力のあるプロにも短縮できません。四半期ごとに成績を問われない個人投資家のほうが、この一点では有利だと私は考えています。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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泉田良輔LIMO&ファイナンス編集部 編集長

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