この記事はここがポイント
- トリドールHDの9月末株主優待は100株3,000円相当、200株超の1年継続保有で年間1万4,000円相当
- 2027年3月期1Q決算は過去最高売上も、海外事業再編費用計上等で営業利益34.3%減益
- 全体減益ながら海外事業は売上・事業利益が四半期過去最高、主要ブランドが牽引
9月末の株主優待・配当の権利確定に向け、個人投資家の注目が高まるシーズンを迎えています。
3月決算企業の中間期にあたるこの時期は魅力的な銘柄が揃いますが、なかでも「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングス<3397>は、外食銘柄屈指の手厚い優待内容で高い人気を誇ります。
ただし、単に優待の魅力だけに惹かれて投資判断をするのは不十分です。
納得のいく投資を行うためには、人気の裏にある背景や、業績の動向を示す最新決算までしっかりチェックすることが欠かせません。
トリドールが支持される理由と、投資検討で押さえておきたい最新業績のポイントをひも解きます。
株主優待:100株で3,000円相当、200株超の継続保有でさらに上乗せ
トリドールHDは、毎年3月31日と9月30日を基準日として、年2回、株主優待を実施しています。
対象は1単元(100株)以上を保有する株主で、丸亀製麺やコナズ珈琲、肉のヤマ牛、とりどーる、ラー麺ずんどう屋など国内のグループ店舗(一部店舗を除く)で使えるチャージ式の株主優待カードが贈られます。
カードは初回のみ送付され、2回目以降は同じカードに優待分がチャージされる仕組みです。
保有株式数に応じた優待内容は次の通りです。
保有株式数:優待内容(年2回)
- 100株以上200株未満:3,000円相当
- 200株以上1,000株未満:4,000円相当
- 1,000株以上2,000株未満:10,000円相当
- 2,000株以上:15,000円相当
さらに、200株以上を1年以上継続して保有する株主には、上記に加えて3,000円相当が上乗せされる「継続保有株主優遇制度」があります。
200株を継続保有した場合、年間で合計1万4,000円相当(4,000円×2回+3,000円×2回)の優待を受け取れる計算になります。
次回の基準日は9月30日、権利付き最終日は28日となるため、優待取得を検討しているならこの日の大引け(15:30)までに100株以上を購入する必要があります。
決算のポイント:営業利益はなぜ34.3%も落ち込んだのか
8月14日発表の2027年3月期第1四半期(4〜6月期)は、売上収益723億1,800万円(前年同期比+3.5%)と過去最高を更新した一方、事業利益57億7,600万円(同9.3%減)、営業利益52億9,400万円(同34.3%減)、四半期利益30億3,100万円(同31.0%減)と減益でした。
事業利益より営業利益の落ち込みが大きいのは、海外子会社の事業再建に伴うリース解約益・固定資産除却損・一過性の構造改革費用を計上したためです。
セグメント別では、丸亀製麺(売上収益365億900万円、+3.2%/事業利益56億6,500万円、▲16.0%)と国内その他(同104億6,200万円、+5.0%/9億6,400万円、▲15.0%)が人件費増で減益となる一方、海外事業(同253億4,600万円、+3.4%/18億5,300万円、+62.6%)は事業利益が四半期として過去最高を記録しました。
丸亀製麺の既存店売上高は、6月に前年同期比7.0%減、7月は2.5%減となったあと、8月は0.5%増とプラスに転じています。客数は6月の9.9%減から7月4.9%減、8月2.7%減と減少幅を縮小させており、客単価の伸び(8月は+3.3%)が客数減を補う形です。
通期計画(売上収益2,870億円、営業利益170億円、純利益70億円)への進捗率は売上収益25.2%、営業利益31.1%、純利益43.3%で、通期業績予想・配当予想(年12円)はいずれも5月15日公表時点から据え置かれています。
海外「Tam Jai」とMARUGAME UDONが牽引する海外事業
同社は讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を中核に、国内外で外食事業を展開しています。決算は「丸亀製麺」「国内その他」「海外事業」の3セグメントで開示されており、2026年6月末時点の店舗数は連結2,080店舗(丸亀製麺899店舗、国内その他299店舗、海外事業882店舗)、展開する国・地域数は30に上ります。
1Qの売上収益に占める海外事業の割合は約35%、事業利益に占める割合は約32%です。けん引役となったのは香港などアジア地域で展開する「Tam Jai」ブランドで、既存店・新店ともに好調に推移しました。
アジアや北米で展開する「MARUGAME UDON」も、台湾・米国で増収増益となっています。英国でピザ店「Franco Manca」を運営するFulham Shoreは、不採算店舗の閉店・撤退を含む事業再建を進めた影響で売上収益こそ減少したものの、継続事業(既存店ベース)では増収増益だったとしています。
株価とバリュエーション:外食2社と比べると
9月8日終値の4,322円をもとにしたPERは54.24倍(会社予想)、PBRは3.98倍(実績)、配当利回りは0.28%(会社予想)です。
売上高規模が近い外食2社と株価指標を並べると、次の通りです(いずれもPERは会社予想、PBRは実績、配当利回りは会社予想の基準で統一)。
外食3社の株価指標比較表
3社ともPER・配当利回りの水準にはばらつきがあり、トリドールHDのPERは3社の中間、PBR・配当利回りも中間の水準にあります。
記者コメント
今回の1Q決算は、売上収益が四半期として過去最高を更新した一方、国内の人件費増と海外子会社の事業再建費用が重なり、営業利益・純利益は大幅な減益となりました。
海外事業の事業利益が四半期として過去最高を記録した点は評価できる材料ですが、丸亀製麺の既存店客数は6月の落ち込みから8月にかけて回復傾向にあるとはいえ、依然として前年割れが続いている点は今後の動向を注視したいところです。
通期計画は据え置かれ、進捗率もおおむね順調ですが、国内の人件費上昇圧力がどこまで続くか、次回以降の決算にも注目が集まりそうです。
決算発表からおよそ3週間が経過した9月8日には、東京市場全体が日経平均株価で1,000円を超える下落となるなか、同社株はこれに逆行して4,322円まで買われました。直近の株価水準は年初来高値4,660円(7月30日)と年初来安値3,492円(6月23日)の範囲で推移しています。
一方で優待人気の高い銘柄には、権利確定の前後では値動きが荒くなる傾向があるため、慎重に動向を見極めたいところです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
