この記事はここがポイント
- ダスキン株主優待、2027年3月末適用で500株・3年以上保有が3.6倍拡充
- 2027年3月期Q1営業利益79%増、ミスド「もっちゅりん」再販が貢献
- 株価は権利付き最終日上昇、権利落ち日下落傾向。9月28日も注視
個人投資家の間では、9月末を基準日とする株主優待・配当の権利確定銘柄への関心が高まる時期になりました。
3月決算企業の多くは中間配当や株主優待の基準日を9月末に設定しており、この時期は年に一度の「優待・配当シーズン」とも呼べる状況です。
今回は、そうした9月末権利確定銘柄の1つであるダスキン<4665>を取り上げ、最新の決算から稼ぎ頭となっているセクター・事業をひも解いていきます。
2027年3月期1Q決算:営業利益は79%増に
8月10日発表の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結決算は、売上高499億2,600万円(前年同期比5.6%増)、営業利益37億7,600万円(同79.0%増)、経常利益47億7,600万円(同55.6%増)、純利益28億9,000万円(同53.8%増)となりました。
営業利益・経常利益・純利益がいずれも大幅な増益となっており、この勢いを受けて通期の業績予想・配当予想も併せて上方修正されています。
稼ぎ頭はフードグループ、訪販を上回るペースで成長
セグメント別に見ると、そうじ用品のレンタル・販売を中心とする訪販グループは売上高283億5,000万円(同2.4%増)、営業利益19億7,900万円(同146.8%増)でした。
一方、ミスタードーナツを中心とするフードグループは売上高179億4,400万円(同11.3%増)、営業利益34億7,300万円(同22.2%増)と、増収率では訪販グループを上回るペースで伸びています。その他セグメントは売上高42億5,100万円(同1.0%増)、営業利益2億1,300万円(同1.8%減)にとどまりました。
主役は「もっちゅりん」再販
フードグループの伸びを支えたのは、主力のミスタードーナツです。
全店合計のお客様売上が増加し、1店舗あたりの客単価・客数がいずれも前年同期を上回りました。4〜5月には「宇治抹茶ドーナツシリーズ」や「サクぽふん」を投入したのに続き、6月には創業55周年記念として2025年に発売し反響を呼んだ「もっちゅりん」を再び発売。
同社は「想定を遥かに上回る反響」があったとしており、根強い人気商品を再投入する形で新商品開発コストを抑えつつ収益に貢献したとみられます。
通期予想は増収増益、配当は10円増配へ
同日発表の業績予想の修正では、通期の連結売上高を2,029億円(従前2,015億円から14億円上乗せ)、営業利益を101億円(従前90億円から11億円上乗せ)、経常利益を140億円(従前129億円から11億円上乗せ)、純利益を106億円(従前98億円から8億円上乗せ)にそれぞれ引き上げました。
配当予想も中間60円・期末75円の年135円(従前125円から10円増配)に修正しています。
株主優待は500株・3年以上保有で最大3.6倍に
ダスキンは2月6日の取締役会で、株主優待制度の変更を決議しています。
優待の基準日は毎年3月末・9月末の年2回で、2026年3月末基準日から2027年3月末基準日にかけて段階的に移行し、条件が全面的に切り替わるのは2027年3月末時点の株主名簿からです。
直近の2026年9月末基準(権利付き最終日は9月28日)は、継続保有要件の数え方が一部変わるものの、優待額そのものはまだ現行の内容が適用されます。
優待は、自社サービス(ミスタードーナツ各店舗を含む)やモスバーガー各店舗(資本・業務提携先、一部店舗を除く)などで使える「株主ご優待券」(500円券)の形で贈呈されます。
2027年3月末基準からの新しい優待額は、保有株数と継続保有期間(1年以上/3年以上)に応じて以下のように変わります。
保有株数 : 現行(~2026年9月末基準)→2027年3月末基準から
- 100株以上:1,000円分(3年以上は1,500円分)→1年以上1,000円分/3年以上1,500円分
- 300株以上:2,000円分(3年以上は2,500円分)→1年以上4,000円分/3年以上5,000円分
- 500株以上:300株以上と同額(3年以上は2,500円分)→1年以上7,000円分/3年以上9,000円分
最も増加率が大きいのは500株を3年以上継続保有する株主で、現行の2,500円分から9,000円分へと3.6倍に拡充される計算です。
300株保有・3年以上のケースでは2,500円分から5,000円分へと2倍、100株保有の株主は現行の水準からほぼ変わりません。
継続保有期間は3月末・9月末の株主名簿に連続して記載されているかで判定され、株式を追加取得しても継続保有期間はリセットされない仕組みです。
ミスタードーナツやモスバーガーをふだんから利用している家庭にとっては、実質的な生活コストの節約につながりそうです。
なぜ「もっちゅりん」はここまで話題になったのか
「もっちゅりん」は2025年、ミスタードーナツの創業55周年記念商品として発売され、独特の食感が反響を呼んだ商品です。
今期(2026年6月)に同じ商品を再び販売したところ、一部店舗で品薄・混雑が生じるほどの反応があったといいます。
一度火がついた人気商品を再投入することで、新たな商品開発コストをかけずに客数・客単価を押し上げられた形となり、フードグループの増収要因の中でも特に効果が大きかったとみられます。
権利付き最終日を挟んだ株価はどう動いたか、直近2回を振り返る
ダスキンの株主優待・配当の基準日は3月末と9月末の年2回です。
実際に株を保有しておくべき期限となる「権利付き最終日」は、株式の受け渡しが約定日から2営業日後に完了する国内の決済ルール(T+2)から基準日の2営業日前と計算できます。
過去2回の権利付き最終日をはさんだ値動きを振り返ると、次のような傾向が見えてきます。
2025年9月末のケース
2025年9月末を基準日とする回では、権利付き最終日は9月26日でした。
この日にかけて株価は22日の3,907円から9月26日の3,985円まで、3営業日でじわじわと値を上げています。
ところが権利落ち日となった29日には3,919円まで下落し、その後も9月30日3,851円、10月1日3,835円と続落。
権利付き最終日にかけて上昇した分が、権利落ち後の数営業日でほぼ吐き出される展開となりました。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)
2026年3月末のケース
2026年3月末を基準日とする回でも、似た値動きが確認できます。
権利付き最終日となった3月27日にかけて、株価は23日の4,187円から4,329円まで一段高となりましたが、権利落ち日の30日には4,187円まで下落。
権利付き最終日にかけての値上がり分をほぼそのまま失う形になった一方、その後は3月31日4,208円、4月1日4,235円と、9月の回に比べるとやや早いペースで値を戻しています。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
いずれの回も、権利付き最終日にかけて株価が値を上げ、権利落ち日に下落するという値動き自体は共通していますが、その後の戻りの速さには差がありました。
次回、9月28日の権利付き最終日が近づく中でも、こうした値動きのクセを踏まえておくと参考になりそうです。
記者コメント
決算の数字そのものは、訪販グループの増益とフードグループの新商品効果が両輪になっていますが、話題性という点では「もっちゅりん」の再販が際立ちます。
同社の売上構成は、2025年3月期実績でミスタードーナツを含むフードグループが全体の約35%を占めており、今回の通期業績予想の上方修正もこのフードグループの上振れが主因でした。
新商品の発売やコラボといった話題は単なる商品ニュースにとどまらず、業績そのものを左右しかねない規模感を持っている点は、この銘柄を追ううえで見落とせないポイントです。
一方、株主優待の拡充は500株以上を長期保有する株主への手厚さが際立つ内容で、少額保有層よりも中規模以上の個人株主に向けた「長期保有インセンティブ」としての性格が強い制度変更といえそうです。
全面適用は2027年3月末からとまだ先ですが、過去2回の値動きを見る限り権利付き最終日にかけて株価が上昇し、権利落ち後に反落する傾向がうかがえるため、優待の獲得を考えるなら一度にまとめて取得するのではなく、値動きのタイミングを見ながら段階的に買い増していくという発想も選択肢になりそうです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
