そもそも「権利落ち」で株価が下がるのはなぜ?
配当や株主優待を受け取る権利は、権利付き最終日の取引終了時点で株式を保有している株主に発生します。
翌営業日の権利落ち日以降に株式を購入しても、その回の優待は受け取れません。そのため、権利落ち日には理論上、配当の価値に相当する分だけ株価が調整されるとされています。
ただし実際の値動きは、この理論値どおりに収まるとは限らず、その日の需給や相場全体の動向によって振れ幅が大きくなることがあります。
2025年8月のケース:権利付き最終日にかけて3営業日で3.08%下落、権利落ち後も軟調
権利付き最終日にあたる8月27日(水)の3営業日前、8月22日(金)の終値は3,479.0円でした。そこから8月25日(月)3,386.0円、8月26日(火)3,396.5円、8月27日(水)3,372.0円と、この間の下落幅は107.0円(3.08%)でした。
翌8月28日(木)の権利落ち日には、終値が3,290円となり、前日比82円(2.43%)の下落となりました。
権利落ち日以降の3営業日は、8月29日(金)3,188円(▲102円、▲3.10%)とさらに下げ、9月1日(月)は3,196円(+8円、+0.25%)とわずかに値を戻しましたが、権利付き最終日(8月27日)の終値3,372.0円を基準にすると、3営業日後の9月1日終値3,196円までの下落幅は176円(5.22%)に達しています。
優待を目的に権利付き最終日ぎりぎりで株式を取得していた場合、この時点で相応の含み損を抱えていた計算になります。
良品計画株の権利付き最終日前後の値動きチャート(2025年8月)
2026年2月のケース:権利落ち後は3営業日で1.08%高まで回復
2026年2月の権利確定日前後も確認してみましょう。
権利付き最終日にあたる2月25日(水)の3営業日前、2月19日(木)の終値は3,650円でした。そこから2月20日(金)3,620円、2月24日(火)3,532円(間に祝日を挟んでいます)、2月25日(水)3,596円と、この間の下落幅は54円(1.48%)でした。
翌2月26日(木)の権利落ち日には、終値が3,522円まで下げ、前日比74円(2.06%)安となりました。
権利落ち日以降の3営業日は、2月27日(金)3,597円(+75円、+2.13%)、3月2日(月)3,635円(+38円、+1.06%)と値を戻す展開が続きました。
権利付き最終日(2月25日)の終値3,596円を基準にすると、3営業日後の3月2日終値3,635円は39円(1.08%)高となっており、この回は権利落ち後の下げを取り戻す形になりました。
良品計画株の権利付き最終日前後の値動きチャート(2026年2月)
権利確定前後の値動きから見えること
2回の事例を比べると、権利付き最終日にかけての3営業日はいずれも株価が下落基調で推移した一方、権利落ち後の展開は対照的でした。
2025年8月は下げが続き3営業日後には5.22%安まで下落幅が拡大したのに対し、2026年2月は権利落ち日にいったん下げたものの3営業日後には1.08%高まで値を戻しています。
この2つの事例が示す通り、権利確定日の前後に株価がどう動くかは一様ではありません。
優待は保有しているだけで得られる魅力的な制度ですが、権利付き最終日の直前に「駆け込み」で株式を取得する場合、優待の還元額以上に株価が下落してしまう可能性がある一方で、比較的早く値を戻すケースもあることを踏まえたうえで、取得タイミングを判断することが大切です。
記者コメント
良品計画の株主優待は、100株という単元株数から一律7%の割引が受けられる、わかりやすさが魅力の制度です。
2025年9月の株式分割によって単元株の投資額もおよそ半分になり、優待取得のハードルは以前より下がりました。
一方で、今回確認した2回の事例が示す通り、権利確定日の前後は株価の値動きが普段より大きくなりやすく、その後の展開も回によって異なります。
次回の権利付き最終日(2026年8月27日)を控え、優待の魅力だけでなく、値動きが読みにくいリスクも踏まえたうえで投資判断を行いたいところです。
参考
- 株式会社良品計画 IR「決算短信」
- 株式会社良品計画 IR「株主優待」
- 無印良品「無印良品週間(よくあるご質問)」
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
