この記事はここがポイント
- ユニチカ株価は8月3日838円から1,800円台へ急伸、1Q決算が契機
- 1Qは営業利益46%増と大幅増益、事業再編と製品拡販が貢献
- 好調1Qも通期予想は据え置き、前期特別利益反動が理由
繊維大手のユニチカ(3103)の株価が、短期間で大きく値を上げています。
同社株は2026年8月3日の終値838円から短期間で大きく値を上げており、8月17日の取引時間中には一時1,847円まで買われる場面もありました。
結局、引けにかけては伸び悩み、前日比4.45%高(+71円)の1,665円で3営業日続伸して取引を終えています。8月3日終値と比べると、2週間で値幅はほぼ2倍に達しました。
このきっかけとなったのが、8月6日の取引時間中(11時)に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4-6月期)決算です。発表当日の8月6日、株価は前日比24.68%高の1,258円まで買われ、その後も一進一退を繰り返しながら8月14日には前日比18.07%高の1,594円まで上昇、8月17日の続伸につながっています。
2027年3月期1Q決算:営業利益46.4%増・経常利益135.7%増・純利益211.3%増
8月6日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4月-6月期)の決算では、売上高が241億800万円(前年同期比22.0%減)、営業利益が41億6,200万円(同46.4%増)、経常利益が43億2,200万円(同135.7%増)、純利益が40億5,600万円(同211.3%増)となりました。
売上高が減少しているのは、不採算だった不織布事業・産業繊維事業(モノフィラメント事業を除く)などからの撤退が2026年3月期第3四半期までに完了した影響によるもので、事業規模の縮小に伴う減収です。
一方で、高付加価値・高機能製品の拡販や価格改定、コストダウン施策の効果に加え、円安進行に伴う為替差益や、構造改革による有利子負債圧縮に伴う支払利息の減少などが重なり、利益は大きく伸びました。
この改善の土台になっているのが、5月14日発表の2026年3月期本決算です。前期は売上高が1,185億6,300万円(前期比6.2%減)、営業利益が105億4,900万円(同80.3%増)、経常利益が103億9,200万円(同121.4%増)となり、純利益は181億5,300万円(前期は242億8,300万円の純損失)と大幅な黒字転換を果たしました。ただしこの純利益には、不採算事業の譲渡に伴う固定資産売却益236億9,700万円や、取引金融機関から総額120億1,500万円の債務免除を受けたことによる特別利益が含まれる一方で、事業構造改善費用148億8,400万円を特別損失として計上するという一過性の要因が重なった結果でした。
事業モデル:不採算事業を切り離し「高分子」「機能資材」の2本柱に集約
同社は事業再生計画に基づき不採算事業からの撤退を進めた結果、2027年3月期第1四半期から報告セグメントを従来の「高分子事業」「機能資材事業」「繊維事業」の3区分から、「高分子事業」「機能資材事業」の2区分に変更しました。
高分子事業(フィルム・樹脂)は、包装材・電子材料向けの高機能フィルム「エンブレムHG」や、自動車・電子部品向けエンジニアリングプラスチックの販売が伸び、売上高170億1,900万円(前年同期比22.0%増)、営業利益30億7,500万円(同31.6%増)と増収増益になりました。機能資材事業(ガラス繊維・活性炭繊維・ガラスビーズ・モノフィラメントなど)は、不織布・産業繊維事業からの撤退の影響で売上高は49億4,700万円(同48.4%減)にとどまったものの、電子材料向けのガラスクロスや浄水器向け活性炭繊維の販売が堅調で、営業利益は10億6,700万円(同136.9%増)と大幅な増益になりました。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
