クラボウ(3106)、2027年3月期1Qは営業利益+32%も純利益は減益。政策保有株式が映す資本効率の実像
AlexanderTolstykh/shutterstock.com
執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
05:30
クラボウ(3106)、2027年3月期1Qは営業利益+32%も純利益は減益。政策保有株式が映す資本効率の実像
AlexanderTolstykh/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • クラボウの主要な稼ぎ頭は繊維から化成品、不動産へ転換し、2026年3月期は繊維事業が赤字となった点。
  • 2026年3月期は政策保有株式売却益74億円で純利益42.8%増だが、営業利益は11.0%減と本業と最終利益の質に乖離がある点。
  • 自己資本比率65.5%と高く、総資産の約3分の1を政策保有株式が占め、資本効率改善が中期経営計画の重要課題である点。

社名に「紡績」を掲げる会社の決算を見て、繊維の調子で業績が決まると考えるのは自然だ。だが倉敷紡績、いまはクラボウ(3106)と名乗るこの会社の中身は、その名前から受ける印象とかなり違う。昨秋からの株価上昇とあわせて、稼ぎ方と資本の使い方を整理してみたい。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

7,000円台から1万円台へ、切り上がった株価

出所:各種資料をもとに筆者作成1/1

クラボウの株価は、2025年9月末に7,000円台にあった。

昨秋以降、株価は大きく水準を切り上げた。2025年10月末には7,000円台の安値をつけたが、その後は上昇基調に転じ、2026年2月末には1万円台に乗せている。

3月末にいったん8,000円台まで押し戻される場面もあったが、春以降は再び1万円台を回復し、2026年8月時点では10,500円前後で推移している。この間、株価は7,000円台から1万円台へと、5割ほど水準を切り上げた。

株価がここまで戻った背景を一つに絞ることはできない。ただ、この間に進んだ稼ぐ力と資本政策の変化は、押さえておく価値がある。

「紡績会社」の稼ぎ頭は、もう繊維ではない

紡績会社という響きから、繊維が事業の中心だと考えたくなる。だが2026年3月期のセグメントを見ると、その印象は実態と食い違う。

売上構成の柱は、全体の4割強を占める化成品事業だ。半導体製造装置向けの高機能樹脂や機能フィルム、自動車向けの不織布などを手がけ、2026年3月期は売上高626億円、営業利益41億円を稼いだ。

一方、社名の由来である繊維事業は、売上こそ3割を占めるものの、8億円の営業損失と赤字だった。

利益率でむしろ光るのは、規模の小さい事業だ。環境メカトロニクス事業は営業利益率が17%、不動産事業に至っては売上39億円で営業利益22億円、営業利益率58%に達する。資産を活かした賃貸収入が、細い売上から厚い利益を生んでいる。

繊維の名を掲げながら、利益は化成品と、環境・不動産という別の柱から生まれている。看板と中身のこのずれは、同社を見るうえで最初に押さえておきたい点だ。

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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