産業用ロボットの世界大手。安川電機(6506)と聞けば、多くの人がまずロボットを思い浮かべるだろう。
だが直近の株価は、その落ち着いたイメージとは裏腹に、半年で水準が倍近くまで跳ね上がり、その後は大きく吐き出すという荒い値動きをたどってきた。
瞬発力のある株価と、事業ごとに温度差のある業績。二つを重ねると、いま何が起きているのかが見えてくる。 ※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
半年で倍近く、その後に反落した株価
安川電機の株価は、2025年9月末の3,100円台から、2026年5月末には7,200円台まで水準を切り上げた。半年ほどで倍近い上昇だ。
しかし、そこが目先のピークとなった。その後は反落に転じ、2026年7月末には4,800円台まで上げ幅を吐き出している。2026年8月時点では5,400円台へやや戻した。
月ごとの振れも大きい。2026年3月末に4,000円台まで下げた後、翌4月末には5,500円台、5月末には7,200円台へと一気に切り上がる場面もあった。
値動きの荒さ、いわゆるボラティリティ(株価の値動きの激しさ)の高さが、この銘柄の直近の特徴だ。半導体関連の物色に乗って買われやすく、地合いが傾けば反対に売られやすい、という両面がうかがえる。
全社では減益、中身は割れている2027年2月期1Q
足元の決算を見ると、株価の荒さの一因が透けて見える。2027年2月期1Q(2026年3月〜5月)の売上収益は1,389億円(前年同期比10.6%増)と伸びた一方、営業利益は84億円(同19.2%減)、当期利益は54億円(同21.7%減)と減益になった。増収減益である。
会社の説明によると、AI関連投資にけん引された半導体・データセンタ向けの需要が好調で、売上収益を押し上げた。一方の減益は、基幹システムの移行に伴う生産への影響に加え、間接費の増加や欧州での事業構造改革費用の計上が響いたとしている。
増収なのに利益が落ちる構図は、一過性の費用がかさんだ面が大きいと読める。会社は通期の営業利益を600億円(前期比26.8%増)と増益で据え置いており、1Qの減益スタートは計画の範囲内という位置づけだろう。
1Qの営業利益は通期予想の1割強にとどまるが、同社の利益はもともと下期に偏りやすい。数字の絶対水準よりも、増益計画の前提が崩れていないかどうかが論点になる。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
