執筆者石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ
20:30

モーションコントロールが牽引し、ロボットが足を引っ張る

1Qのセグメント別を見ると、事業間の二極化が鮮明だ。

主力のモーションコントロール(ACサーボモータやインバータ)は、売上収益676億円(前年同期比21.5%増)、営業利益75億円(同50.1%増)と大幅増益となった。半導体・データセンタ関連の需要拡大が効いた形だ。

これに対しロボットは、売上収益567億円(同2.0%増)とほぼ横ばいで、営業利益は8億円(同82.3%減)と大きく落ち込んだ。会社によれば、日本や欧州の低迷に加え、基幹システム移行の影響と欧州の事業構造改革費用が利益を圧迫した。システムエンジニアリングは営業利益19億円(同86.9%増)と伸び、上下水道用電気システムなどの好採算案件が寄与している。

安川といえばロボットというイメージが強いが、足元で利益を支えているのはむしろモーションコントロールで、ロボットは全社の減益要因になっている。看板事業と収益の柱が、いまは必ずしも一致していない。

時間軸を広げると、その姿はさらにはっきりする。モーションコントロールの営業利益率は2022年2月期には16%台だったが、直近では1割前後の水準にある。かつての分厚い稼ぐ力と、足元の回復途上という二つの顔が同居している局面といえる。

筆者コメント

事業の主役が入れ替わろうとしているのが、いまの安川の姿ではないだろうか。

かつて利益の柱はモーションコントロールで、ロボットが成長の顔だった。だが直近は、半導体・データセンタというAI関連の追い風がモーションコントロールに集中する一方、ロボットは自動車市場の停滞と構造改革の負担を抱えている。同じ会社の中で、追い風と向かい風が同時に吹いている。

株価の乱高下も、この二極化と無縁ではないだろう。半導体関連の物色が強まればモーション経由で買われ、景気や自動車の弱さが意識されればロボット経由で売られる。材料次第で振れやすい構図だ。

私が見ておきたいのは、通期で会社が描く増益が、モーションの伸びだけで達成されるのか、それともロボットの立ち直りを伴うのかだ。前者なら一本足、後者なら二本足の回復になる。

短期の株価の派手さより、この足の本数を数える方が、安川の中長期の姿には近いと考えている。

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石津 大希アナリスト 株式会社モニクルリサーチ

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