この記事はここがポイント
- 埼玉県個人向けサステナビリティボンドの利率は年2.182%に決定、8月10日より募集開始
- 地方債より2bp低い利率で、これはサステナビリティ・プレミアムが影響
- 資金は環境・社会分野のプロジェクトに充当
埼玉県は7日、個人向け「埼玉県第2回公募公債(サステナビリティボンド・5年・個人向け)」の利率を年2.182%に決定しました。
都道府県として初めてサステナビリティボンドを発行した埼玉県が、2026年度も個人向けESG債を発行する形です。
埼玉県第2回公募公債(サステナビリティボンド・5年・個人向け)の発行要項
銘柄名:埼玉県第2回公募公債(サステナビリティボンド・5年・個人向け)
発行予定額:40億円
年限:5年
利率(年率):2.182%
募集期間:2026年8月10日(月)~8月28日(金)
発行日:2026年8月31日(月)
償還日:2031年8月29日(金)
利払日:毎年2月末日・8月31日の年2回(初回2027年2月末日、最終回はショート・ラスト・クーポン)
購入単位:1万円以上1万円単位
購入限度額:上限なし(法人・団体は1,000万円まで)
募集価格・償還金額:額面100円につき100円
取扱金融機関:SMBC日興証券、大和証券、野村証券、SBI証券、楽天証券
申し込み金融機関の詳細は埼玉県の公式ホームページで必ず確認してください。
そもそも「サステナビリティボンド」とは?
調達資金の使い道をあらかじめ環境(グリーン)・社会(ソーシャル)の両分野に特定した債券で、埼玉県は50%をグリーンプロジェクト(治水・治山など)、50%をソーシャルプロジェクト(防災まちづくりなど)に充当します。
今回債は日本格付研究所(JCR)からICMAの「サステナビリティボンドガイドライン2021」への適合性で最上位の「SU1(F)」評価を得ている、いわば国際的なお墨付き付きの県債です。
同時期の地方債と比べて低めなのはなぜ?「サステナビリティ・プレミアム」という考え方
2日前の8月5日には、神奈川県(400億円・利率2.214%)、川崎市(50億円・利率2.214%)、大阪市(200億円・利率2.234%)、神戸市(300億円・利率2.234%)の5年債が条件決定しており、4銘柄とも国債カーブ+15.0bp(国債に0.15%の上乗せ)で一致していました。利率が2種類に分かれているのは償還日の違いで基準となる国債金利が異なるためで、信用力の差ではありません。
対して、この埼玉県のサステナビリティボンドは国債カーブ+13bpと、2bpタイト(下回る)に決まりました。
この差をサステナビリティ・プレミアムといいます。
ESG投資を運用方針に組み込んだ金融機関や年金基金などがESGラベル付き債券を優先的に組み入れる動きがあり、この需要の厚さが利回りをわずかに押し下げる効果を指します。
信用力が同等でも、認証付きのESG債は通常債よりやや低い利率で発行が成立しやすい、というわけです。ただし、スプレッドの差以外にも条件決定日が8月5日と8月7日で2日ずれているため、その間の国債金利の変動分も差に混ざり込む点には留意が必要です。
同様の差は、グリーンボンドなどもで生じます。グリーンボンドのプレミアムはグリーニアム(Greenium)と言います。
同じく8月7日には、5年物の静岡県債(グリーンボンド、2.162%)、高知県債(同、2.182%)、千葉市債(サステナビリティボンド、2.162%)が国債カーブ+13bpで条件決定しています。
7月の実績を見ると、通常の5年物地方債が国債カーブ+15bpで条件決定したのに対して、グリーンボンドとして起債された群馬県債(50億円)や兵庫県債(130億円)はこれを2bp下回る+13bpに決まっていました。
岩手県債(50億円)はグリーンボンドかつブルーボンドで同じく+13bp、宮城県債(95億円)はサステナビリティボンドでやはり+13bpでした。
購入前の注意点をチェック
- 満期前に売却する場合は市場価格での取引となり、元本割れの可能性があります
- 利子には20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+地方税5%)の税金がかかり、NISA対象外です
- 購入対象は埼玉県在住・在勤の個人、県内法人・団体、または埼玉県を応援する個人・法人等に限られます
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
