投資家が注目すべきポイント:相場の最終局面をどう戦うか
ここまで、JPモルガンCEOの警告を裏付けるように、信用買い残の膨張、再逆転リスクを孕む長短金利差、そして高水準にある30年金利という、過去の暴落前兆と類似するデータが揃いつつあることを見てきました。
しかし、泉田氏はこれらの条件が揃ったからといって「明日すぐに必ず暴落する」と断定しているわけではありません。実際、今年のS&P500は約+10%の上昇を見せており、AI相場や底堅い消費に支えられてこのまま好調を維持する可能性も十分にあります。過去の指標が常に未来を正確に予測するわけではなく、必ず当たるわけではないという点には注意が必要です。
相場の世界には「音楽が鳴っているうちは踊り続けなければならない」という有名な格言があります。泉田氏はバブル局面における市場の熱狂について次のように語ります。
「バブルでよくある現象なんですけど、最後が一番上がるんですよ。なのでガンガン上がるから、みんなやっぱり買わなきゃ買わなきゃってなるんですよ」
相場の最終局面(ロケット花火のように急上昇するタイミング)は、最も利益が出やすい反面、いつ音楽が止まって暴落が始まるか誰にも分からないチキンレースでもあります。リスクを承知で最後まで利益を取りに行くのか、それとも安全な債券などに資金を移して早めに降りるのか。それは投資家自身のリスク許容度次第です。
泉田氏は、相場の転換点が近づいている可能性を認識した上で、自分なりの備えを持つことの重要性を強調します。
「そういう風なことが近い将来あるかもしれないねと思って投資に臨むっていうのがいいんじゃないかなと思います」
まとめ
米国株式市場は表面上は好調を維持していますが、水面下では様々なリスク要因が蓄積されつつあります。JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏が発した「市場はリスクを過小評価している」という警告は、決して根拠のない悲観論ではありません。
過去最高水準に膨張した1.502兆ドルの信用買い残、+0.39%の浅い順イールドにとどまり再逆転リスクを孕む長短金利差、そしてリーマンショック前の水準に再接近する5.11%の30年国債利回り。これらのデータは、株式市場を取り巻く環境が大きな転換点を迎えている可能性を示唆しています。
もちろん、これらの前兆データが揃ったからといって必ず暴落が起きるわけではありません。AI相場の熱狂がさらに続くシナリオも考えられます。重要なのは、プロの投資家が見ている客観的なデータを知り、相場が反転した際に慌てないための「備え」をしておくことだと言えるでしょう。
参考資料
- FINRA「Margin Statistics」
- セントルイス連邦準備銀行(FRED)「T10Y2Y」
- 米国財務省「Daily Par Yield」
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
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「イズミダイズム」はモニクルグループが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命出身の元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点から経済ニュースの裏側や資産形成のトピックを論理的に解説します。
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。元機関投資家。フィデリティ投信や日本生命で日本株式や米国株式の証券アナリストやファンドマネージャーとして勤務。東京科学大学大学院非常勤講師。
