この記事はここがポイント
- 三菱UFJFG第42回個人向け劣後債は利率3.404%、発行額1,010億円で条件決定。
- 前回債より1.015%高、みずほFG債より0.025%低い水準。
- 劣後債は弁済順位が低く、ベイルイン特約により元本・利息カットのリスクあり。
17日、三菱UFJフィナンシャル・グループの2本立て個人向け劣後債の条件が決定しました。
このうち、年限10年で利率が満期(償還)まで固定されるブレットタイプの「第42回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)」の利率は3.404%となりました。
事前に提示されていた仮条件(3.050~3.650%)のほぼ中央で着地しています。
2日に3.429%で先行した、同タイプのみずほフィナンシャルグループ債の条件からは0.025%下回りました。
昨年7月15日に条件決定した同タイプの前回債(第40回債、利率2.389%)と比較すると、今回の新発債の利率は1.015%上昇しており、国内の金利上昇局面を反映した、投資妙味のある利回り水準となっています。
以下に、今回決定した第42回債の発行要項をまとめました。
今回の募集要項と「格付け」をチェック
それでは、新発債の発行要項を見ていきましょう。
第42回の条件
- 銘柄名:株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ第42回無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)
- 発行額:1,010億円
- 利率:3.404%
- 年限:10年
- 利払日: 毎年1月31日、7月31日
- 償還期限(満期):2036年7月31日
- 申込期間:2026年7月21日~7月30日
- 払込期日: 2026年7月31日
- 最低投資金額:100万円
- 格付: AA-(R&I)/ AA-(JCR)
- 引受会社(引受額):三菱UFJモルガン・スタンレー証券(850億円)/東海東京証券(70億円)/野村証券(50億円)/岡三証券(20億円)/丸三証券(20億円)
三菱UFJFGの個人向け劣後債 発行要項
ベース金利の変動と前回債(2025年7月)との条件比較
仮条件を確認するにあたって、必ず把握しておきたいのがは国内の国債金利(ベース金利)の動向です。
三菱UFJFGが前回(2025年7月)に個人向けとして発行した、同タイプの「第40回債」の実績と、今回の「第42回債」の利率について、指標となるベース金利の動きを交えて比較・解説します。
10年ブレット型(前回の第40回債vs今回の第42回債)
ベース金利(10年国債金利)の比較では、 前回債の発行条件決定時(2025年7月中旬)はおよそ 1.5%台後半で推移していたのに対し、今回の仮条件提示時(2026年7月上旬)には 2.8%台前半まで上昇していました。
足元(7月中旬現在)では 2.7%台前半で推移しています。
劣後債の利率の比較
- 前回(第40回):2.389%
- 今回(第42回):3.404%
新発債は前回債を1.015%上回りました。
【深掘り】先に決まった「みずほFG債」の水準と徹底比較!
直近の個人向け劣後債市場を振り返ると、ライバルであるみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が7月2日に条件決定した劣後債が大きな話題となりました。
みずほFGの決定利率と、今回の三菱UFJFGの仮条件を並べて比較してみましょう。
10年ブレット型
- みずほFG(7月2日決定利率/発行額735億円):3.429%
- 三菱UFJFG(今回の条件/発行額1,010億円):3.404%
みずほFGが条件を決定した7月初め、指標となる10年国債金利は2.7%台前半で推移していました。
その後、三菱UFJFGが仮条件を提示した7月上旬にかけて、10年長期金利は2.7%台後半へとシフト。
なお、足元では2.7%台前半で推移しています。
金利変動の綾もあったとみえ、三菱UFJFG債はみずほFG債を0.025%下回りました。
そもそも「劣後債」とは?普通社債との違い
最後に今回登場した「劣後債(劣後特約付社債)」という仕組みについて簡単におさらいしておきましょう。
劣後債とは、一言で言えば「普通の社債よりも、リスクを引き受ける分、高い利回りが期待できる債券」のことです。
投資家にとっては普通の社債よりもリスクが高い商品となるため、その見返りとして高い金利(利率)が設定されるのが特徴です。
投資する前に必ず押さえる!劣後債のリスクと注意点
高い利回りは魅力的ですが、裏側にある「リスク」を正しく理解しておくことが債券投資では最も大切です。
劣後債を検討する際は、以下の3つの注意点を必ず頭に入れておきましょう。
万が一のときの「弁済順位が低い」
発行体(三菱UFJFG)が破産などの法的倒産手続きを行った場合、元本や利息が投資家に返済される順位(弁済順位)が、普通の社債や一般の借入金よりも後回し(劣後)になります。
つまり、普通の社債を保有している人たちにお金が返ってきた後、それでも資産が残っていれば返してもらえる、という仕組みです。
メガバンクならではの「実質破綻時免除特約(ベイルイン)」
金融機関が発行する劣後債には、非常に重要な特約がついています。
同債では、仮に発行体である三菱UFJFGの自己資本比率が著しく低下し、金融庁などから「このままでは実質破綻する」と認定された場合、この劣後債の元本や利息を支払う義務が永久に免除(カット)されるリスクがあります。
国が税金(公的資金)を投入して銀行を救う前に、まずは劣後債の投資家に身代わり(損失)になってもらうというルールです。
まとめ
国内の金利上昇を背景に、三菱UFJFGの個人向け劣後債が年3.404%という魅力的な利回りで条件決定しました。
前回発行時より1%以上も上昇しており、個人投資家にとって相応に投資妙味のある選択肢といえるかもしれません。
しかし、高利回りの裏には「劣後債」特有のリスクがある点に注意が必要です。
万が一の際の返済順位が普通社債より低く、実質破綻時には元利金が免除される特約(ベイルイン)が付いています。
債券投資を始める際は、国債や地方債のような比較的安全な資産との違いを理解し、提示される「格付け」や「リスク」を必ず確認しましょう。
金利上昇局面だからこそ、リターンだけでなくリスクの質を見極める視点が不可欠です。
投資を検討するにあたっては、必ず証券会社が提供する「目論見書」に目を通してください。
参考
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
