この記事はここがポイント
- 50年ローンは月々返済軽減も、総返済額約1062万円増の老後リスク
- 住宅金融支援機構調査で23.4%が35年超の超長期ローンを選択
- 2026年1月調査、金利「年1.0%超~年1.5%以下」の利用者が増加傾向
2026年も7月中旬を迎え、夏のボーナスなどを機にマイホームの購入を具体的に考え始める方もいらっしゃるかもしれません。筆者はファイナンシャルプランナーとして、これまで多くのお客様の住宅購入に関するご相談を承ってきました。その中で、月々の返済負担を軽くするために35年を超える長期ローンを検討される方が増えていると実感しています。
今回は、住宅金融支援機構の調査結果などを参考に、50年ローンのメリットと老後に潜むリスクについて詳しく解説します。
住宅ローンの借入金利はどう変化した?「年1.0%超~年1.5%以下」の利用者が増加傾向に
住宅金融支援機構が公表した『住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)』によれば、変動金利を含む全体の借入金利で最も多かったのは「年0.5%超~年1.0%以下」で、全体の53.4%を占めています。
借入金利
しかし、前回の2025年4月調査と比較すると、「年1.0%超~年1.5%以下」の割合が13.0%から19.2%へと増加している点が注目されます。逆に「年0.5%以下」は26.6%から13.1%へと減少しており、住宅ローン金利が上昇傾向にあることが、実際の借入条件にも影響を与えているようです。
返済期間35年超の「超長期ローン」利用者は23.4%、住宅購入の新たな選択肢か
返済期間
返済期間については、「30年超~35年以内」が38.9%と最も多い割合を占めています。一方で、「35年超~40年以内」が17.9%、「40年超」が5.5%となっており、これらを合計すると23.4%の方が35年を超えるローンを選択しています。この結果から、35年を超える超長期ローンが、住宅購入における有力な選択肢として定着しつつあることがわかります。
4000万円の住宅ローン、35年と50年返済を比較。総返済額には約1000万円の差が
それでは、国土交通省が公開している『住宅ローンの常識が変わる!?』のリーフレットを参考に、30歳の方が4000万円を固定金利で借り入れた場合のシミュレーションを見ていきましょう。
35年返済と50年返済の比較
比較シミュレーションの前提条件
- 借入額:4000万円
- 借入時の年齢:30歳
- 返済方法:元利均等返済
- 金利タイプ:全期間固定金利
ケース1:35年返済
- 借入金利:年2.25%
- 毎月返済額:約13万8000円
- 総返済額:約5783万円
- 60歳時点のローン残高:約781万円
ケース2:50年返済
- 借入金利:年2.38%
- 毎月返済額:約11万4000円
- 総返済額:約6845万円
- 60歳時点のローン残高:約2178万円
50年返済を選ぶと、35年返済に比べて月々の返済額を約2万4000円軽減できるメリットがあります。その反面、総返済額は約1062万円も多くなり、60歳時点でのローン残高も約1397万円多くなるというデメリットも存在します。
50年ローンは老後リスクも考慮。将来を見据えた無理のない返済計画の重要性
ここまで、住宅金融支援機構の調査データなどを基に、50年ローンの利点と注意すべき点を見てきました。50年ローンは月々の返済額を抑えられるため、現在の家計にとっては魅力的な選択肢といえるでしょう。しかし、返済期間が長期化する分、総返済額が増加し、定年退職後も多額のローンを抱えるリスクがあることを忘れてはいけません。
返済期間と収入の変化のイメージ
例えば、老後に住み替えを検討した際に、ローン残高が物件の売却価格を上回る「担保割れ」の状態だと、完済が困難になることも考えられます。そうなると、将来のライフプランの選択肢が狭まってしまうかもしれません。住宅ローンを契約する際は、現在の返済能力だけでなく、将来の教育費や老後資金といったライフイベント全体とのバランスを考慮することが重要です。
退職後の生活設計に無理が生じないか、ご自身の家計状況に合わせて具体的なシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。長期的な視点に立った計画的な返済プランを立てることが、安心してマイホームに住み続けるための鍵となります。
参考資料
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
