この記事はここがポイント
- キオクシアは1株3株、三井住友FGは1株2株に株式分割し、9月29日より分割後の取引開始
- キオクシアは7~9月期に純利益1兆2,700億円を計画し、三井住友FGの第1四半期純利益は33.0%増
- 三井住友FGは9月30日基準日で初の株主優待を導入、Oliveアカウント契約が条件
生成AI向けの半導体需要が続くなか、2026年10月1日を効力発生日として株式分割を行う銘柄が相次いでいます。
なかでも注目を集めているのが、NAND型フラッシュメモリ大手のキオクシアホールディングス<285A>と、メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループ<8316>です。
キオクシアは1株を3株に、三井住友FGは1株を2株に分割します。
2社とも基準日は9月30日で、権利付き最終日の9月28日を過ぎ、29日の権利落ち日からは分割後の株数に見合った株価水準で取引が始まりました。
三井住友FGは中間配当に加え、今回が初めての株主優待の基準日でもありました。
分割と配当・優待の権利落ちが同じ9月29日に重なっています。
それでは、2社の分割後の株価水準と、それぞれの注目点を見ていきましょう。
10月1日効力発生の株式分割、9月29日から分割後の株価で取引
まず、今回の株式分割の日程を確認しておきます。
- 権利付き最終日:9月28日(月)
- 権利落ち日:9月29日(火)
- 基準日:9月30日(水)
- 効力発生日:10月1日(木)
国内株式の受け渡しは約定日から2営業日後(T+2)です。
そのため、9月30日の株主名簿に載って分割・配当・優待の対象になったのは、9月28日までに買い付けた株です。
29日以降に買った株は、いずれも今回の対象外です。
株式分割では、1株の価値が分割の比率に応じて小さくなるだけで、保有する資産の価値そのものは変わりません。
9月28日終値を分割比率で割った水準が、分割後の株価の目安(理論株価)になります。
銘柄: 分割比率:9月28日終値/分割後の理論株価:9月29日終値
※9月29日終値の騰落率は、分割後の理論株価と比べたもの。
キオクシア、1株→3株の分割後も最低投資額は178万8,000円
キオクシアの9月29日の終値は17,880円で、理論株価の17,780円を100円上回りました。
最低投資額(100株)は178万8,000円です。9月28日終値で計算した533万4,000円から、3分の1になりました。
ただ、同社は7月31日の分割発表資料で、東京証券取引所が望ましいとする投資単位「50万円未満」について、株価水準や株主構成の変化などを見ながら引き続き検討するとしています。
分割後も50万円を大きく上回っており、個人投資家にとって気軽に買える水準とまではいえない点は押さえておきたいところです。
分割と同じ7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の決算は以下の通りです。
- 売上収益:1兆7,671億1,700万円(前年同期比415.5%増)
- 営業利益:1兆2,700億1,700万円(前年同期は448億9,900万円)
- 四半期利益:8,421億6,500万円(前年同期は182億8,400万円)
四半期利益は前年同期の46倍を超えました。決算短信では、生成AI用途を中心にデータセンター向け顧客の需要が旺盛に推移し、平均販売単価が大幅に上がったことを増収の理由に挙げています。用途別では、データセンター向けSSDなどを含む「SSD & ストレージ」が売上収益の6割超を占めています。
メモリ業界は事業環境が短期間で大きく変わるため、同社は通期の計画を出さず、次の四半期までの業績予想を示しています。
第2四半期累計(2026年4~9月)の予想は、売上収益4兆1,571億1,700万円(前年同期比425.5%増)、中間利益2兆1,121億6,500万円です。
第1四半期の実績を差し引くと、7〜9月期だけで売上収益2兆3,900億円、純利益1兆2,700億円を見込む計算になります。
株主還元では、7月31日に上限8,000億円・3,000万株の自社株買いを決めました。
取得期間は10月30日までとしていましたが、8月3日から10日までの6営業日で1,613万3,500株、総額7,999億9,768万9,000円を取得し、上限金額に達して終了しています。
なお、同社は配当を実施しておらず、中間配当の予想は0円です。
三井住友FG、1株→2株の分割で最低投資額は33万5,700円に
三井住友FGの9月29日の終値は3,357円でした。
最低投資額(100株)は33万5,700円で、9月28日終値で計算した69万9,000円から半分になり、50万円を下回りました。
同社は2024年10月にも1株を3株に分割しており、今回は2年ぶりの分割です。
7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算は以下の通りです。
- 経常収益:2兆8,504億2,600万円(前年同期比16.6%増)
- 経常利益:6,931億3,600万円(同43.4%増)
- 四半期純利益:5,013億7,200万円(同33.0%増)
通期の純利益予想1兆7,000億円(前期比7.4%増)に対し、第1四半期で約3割まで進んでいます。
配当は、累進的配当(原則として減配しない方針)と配当性向40%を掲げています。
2027年3月期の年間配当予想は分割前の株数ベースで180円(中間90円・期末90円)で、前期の157円から増える計画です。
分割後の株数ベースでは期末配当が45円になります。
2社の分割のポイントまとめ
キオクシアは生成AI向けの需要を背景に、第1四半期の純利益が8,421億円まで拡大し、7~9月期も純利益1兆2,700億円を計画しています。
8,000億円の自社株買いを約1週間で終えたのに続き、1株→3株の分割で投資単位を下げました。
三井住友FGは第1四半期の純利益が33.0%増となり、分割と同時に株主優待制度を新たに始めています。
三井住友FGの初回株主優待、9月28日までに買った株主はこれから手続き
三井住友FGは5月13日に株主優待制度の導入を発表しており、9月30日が初回の基準日でした。
権利付き最終日の9月28日までに100株以上を買っていた株主が、今回の対象です。
特典は3種類で、いずれも三井住友銀行の総合金融サービス「Olive(オリーブ)」のアカウント契約が条件になります。
三井住友FGの株主優待一覧
※特典1・特典3は、2027年2月末日23時59分時点でOliveアカウントの契約口座(円普通預金または残高別金利型普通預金)の残高が15万円以上あることも条件です。
ただし、100株以上を持っていても、全員が3つの特典すべてを受け取れるわけではありません。
特典1のVポイントには継続保有期間の条件があり、初回で「1年以上」を満たすには、2025年9月30日以降、同じ株主番号で9月末と3月末の株主名簿に続けて記録されている必要があります。
この1年の間に株を買った株主が今回受け取れるのは、期間の条件がない特典2・特典3です。
対象の株主には、12月上旬に中間配当の関係書類と一緒に案内が届きます。
専用サイトでのエントリー期間は2027年2月末日までです。特典は2027年3月以降に順次届き、Vポイントの付与は3月末頃の予定です。
Oliveアカウントの契約には2週間以上かかることもあるため、まだ口座がない株主は、エントリーの期限から逆算して早めに準備しておくとよいでしょう。
特典1・特典3は2027年2月末日時点の残高15万円以上も条件なので、その時点の残高にも気を配っておきたいところです。
9月29日以降に買う場合、次の優待は2027年9月・200株から
9月29日以降に買った株は、今回の優待の対象外です。
次の基準日は2027年9月30日で、分割に伴い株数条件は次のように読み替えられます。
区分:2026年9月基準日(初回)→2027年9月基準日以降
- 特典1の下位区分・特典2・特典3:100株以上→200株以上
- 特典1の上位区分:1,000株以上→2,000株以上
分割で株数が2倍になるのに合わせた読み替えなので、分割前から100株を持っていた株主は、分割後の200株のままで引き続き条件を満たします。
分割後の株価で200株を買う場合、9月29日終値ベースでは67万1,400円です。
これから新たに買う場合、2027年9月の基準日で受け取れるのは、継続保有期間の条件がない特典2・特典3です。
継続保有期間は9月末と3月末の株主名簿で判定されます。
9月29日以降に買った株が最初に株主名簿に載るのは、2027年3月末の期末配当の基準日です。
そこから2027年9月末までは半年にとどまり、Vポイントの「1年以上」には届きません。
Vポイントの対象になるのは、2028年9月の基準日以降です。
このほかの詳細は公式サイトを確認してください。
中間配当90円は権利落ち、次は2027年3月末の期末配当
9月30日を基準日とする中間配当は、分割前の株数ベースで1株あたり90円です。
受け取れるのは9月28日までに買っていた株主で、分割後の株数に換算すると1株あたり45円相当です。
分割後の理論株価3,495円から、この45円相当を差し引いた目安は3,450円です。
9月29日の終値3,357円は、これを93円下回りました。
29日以降に買う場合、次に配当を受け取れるのは2027年3月末が基準日の期末配当です。
予想は分割後の株数ベースで1株あたり45円です。
中間・期末を分割後の株数ベースに揃えると、年間で90円相当になります。
記者コメント
同じ10月1日の株式分割でも、2社の意味合いはやや異なります。
キオクシアは業績の急拡大で株価が上がり、分割後も最低投資額が178万8,000円と高い水準にあるため、分割は投資単位を下げる第一歩という位置づけといえます。
メモリ業界は販売単価の変動で業績が大きく振れやすく、同社が次の四半期までの予想しか出していないことも踏まえると、株価の値動きにも注意が必要です。
三井住友FGは、分割と初めての株主優待を組み合わせて、個人投資家の裾野を広げようとしています。
9月28日までに買っていた株主は、12月の案内を待ちつつOliveアカウントを準備しておきたいところです。
一方、29日以降に株主になる人は、次の優待が2027年9月で200株以上が必要なこと、Vポイントには継続保有期間の条件があることを踏まえて考える必要があります。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
