この記事はここがポイント
- チムニー株は直近2回の権利確定後、約4.7%下落し優待額を上回る着地。
- 9月末優待は100株で3千円、500株以上で1万5千円相当デジタルクーポン等。
- 2027年3月期1Q決算は増収営業増益も、投資損失で経常利益は16.2%減。
9月30日の権利確定日が近づくなか、個人投資家の関心は9月末が権利確定日の銘柄に集まっています。
3月期決算の会社にとって9月末は中間期末にあたり、この時期に配当や株主優待の権利が確定する銘柄は少なくありません。
居酒屋「はなの舞」「さかなや道場」を展開するチムニー<3178>もそのひとつです。
100株以上を持つ株主には、グループ店舗で使える3,000円相当のお食事券などが贈られます。
同社は8月12日に2027年3月期第1四半期の決算を発表しました。
本記事では、稼ぎ頭の飲食事業がいまどうなっているのかを最新の決算からひも解き、あわせて優待の中身と、過去2回の権利付き最終日前後の株価の動きも振り返っていきます。
主力2ブランドと「魚星」で読み解くチムニーの飲食事業
チムニーはセグメント別の売上高を開示していません。ただ、2026年3月31日現在の連結従業員659人のうち467人(約71%)が飲食事業の所属です。人員の配置から見ても、収益の中心は飲食事業にあるとみられます。
飲食事業で主力の業態に位置づけられているのが次の2ブランドです。店舗数はいずれも有価証券報告書ベースで、2026年3月31日時点の数字です。
- 「さかなや道場」:95店(直営68店・FC27店)
- 「はなの舞」:88店(直営36店・FC52店)
「さかなや道場」は鮮度にこだわった魚料理が軸の業態です。
「はなの舞」は職場の宴会から家族での食事まで、幅広い場面で使われる居酒屋業態です。どちらも、豊洲市場の買参権を生かした自前の鮮魚調達網を強みにしています。
主力2ブランドに次いで同社が「成長ドライバー」と位置づけるのが「さかな酒場 魚星」です。
2022年1月に1号店を開いた比較的新しい業態で、市場で仕入れた厳選素材を売りにしています。
2026年3月31日時点の店舗数は36店(直営34店・FC2店)で、2026年4月にも潮見駅前店(東京都江東区)を出店しました。
居酒屋以外では「コントラクト事業」も手がけています。防衛省・法務省所管の厚生施設で食堂の運営を受託する事業で、全国90施設を運営しており、居酒屋とは性格の異なる収益源になっています。
1Qは増収・営業増益、経常利益は持分法投資損失で16.2%減
それでは、8月12日に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算を見ていきましょう。
- 売上高:66億4,700万円(前年同期比4.4%増)
- 営業利益:9,600万円(同5.0%増)
- 経常利益:9,500万円(同16.2%減)
- 四半期純利益:6,700万円(同5.8%増)
原価と経費の抑制が効いて、営業段階では増益を確保しました。一方で経常利益が減ったのは、持分法による投資損失800万円を計上したことが主因です(前年同期は投資利益1,100万円)。なお、直営店の既存店売上高は前年同期比0.6%減でした。
通期の会社計画は5月14日の公表から変わっていません。
- 売上高:280億円(前期比6.2%増)
- 営業利益:5億円(同1.8%増)
- 経常利益:5億5,000万円(同2.3%増)
- 純利益:2億5,000万円(同50.5%減)
売上高から経常利益までは増収増益の計画ですが、純利益は前期のほぼ半分を見込んでいます。
2027年3月期の年間配当予想は1株5円(中間2円・期末3円)です。前期の年間10円(中間5円・期末5円)から半減する計画で、5月14日の本決算発表時に示され、8月12日の第1四半期決算でも修正はありませんでした。
9月28日が権利付き最終日、翌29日から権利落ち
チムニーの株主優待は年2回で、毎年3月末日と9月末日の株主名簿に記載された株主が対象です。今回の基準日は9月30日です。
国内株式は約定日から2営業日後に受け渡しが完了します。そのため、今回の株主優待と中間配当を受け取るには、2営業日前の9月28日までに株式を買い付ける必要があります。これが「権利付き最終日」です。
- 権利付き最終日:2026年9月28日
- 権利落ち日:2026年9月29日
- 基準日(権利確定日):2026年9月30日
29日以降に買い付けた場合、今回の優待と中間配当は受け取れません。
株主優待は100株で3,000円相当、500株以上は3つから選択
チムニーの優待は、2025年3月31日時点の株主から紙のお食事券をやめ、デジタルクーポンでの提供に切り替わりました(優待の内容は変わっていません)。
保有株数:優待内容(いずれか1つを選択)
- 100株以上499株まで:お食事券(デジタルクーポン)3,000円相当/チムニーオリジナル「角力(すもう)カレー」4パック
- 500株以上:お食事券(デジタルクーポン)15,000円相当/「角力(すもう)カレー」20パック/チムニーグループ厳選ステーキセット(1セット)
9月末基準日の分は例年12月中旬に案内が発送され、デジタルクーポンは翌年5月31日まで使えます。
案内に記載されたURLやQRコードをスマートフォンなどで読み取って利用します。
使えるのはチムニーグループの店舗での飲食代金です。
持分法適用関連会社の「つぼ八」では使えず、ほかの割引券との併用もできません。
100株を持ち続ければ年2回で合計6,000円相当、500株以上なら年間30,000円相当になります。
仕事帰りの一杯や家族での外食が多い人には使いやすい優待といえるでしょう。
優待の内容は今後変更・廃止される可能性があるため、最新の情報は同社の公式サイトを確認してください。
権利付き最終日から3営業日で、2025年9月は▲4.70%、2026年3月は▲4.78%
権利確定日の前後は、株価が普段より動きやすくなります。直近2回について、
権利付き最終日をはさんだ3営業日ずつの値動きを振り返っていきます。
2025年9月:直前は横ばい、権利落ち後にじり安
2025年9月の権利付き最終日は26日でした。3営業日前にあたる22日の終値は1,296円で、26日の終値は1,299円です。間に祝日を挟んだこの期間、株価はほぼ横ばいでした。
権利落ち日の29日は、前日比▲45円(▲3.46%)の1,254円まで下げました。権利付き最終日から3営業日後にあたる10月1日の終値は1,238円で、権利付き最終日と比べて▲61円(▲4.70%)の下落となりました。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)
2026年3月:直前から下げ始め、権利落ち日に大きく下落
2026年3月の権利付き最終日は27日でした。3月19日にはザラ場で年初来高値の1,380円をつけていましたが、その後は下落基調でした。3営業日前にあたる24日の終値1,311円から、27日には1,275円(▲2.75%)まで下げています。
権利落ち日の30日には▲72円(▲5.65%)の1,203円まで下落しました。その後はやや戻し、権利付き最終日から3営業日後にあたる4月1日の終値は1,214円です。権利付き最終日と比べると▲61円(▲4.78%)、3営業日前の24日と比べると▲7.40%の下げになりました。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
2回の値動きを比べると直前の動きには違いがありました。2025年9月は横ばい、2026年3月はすでに下げ始めていました。
一方、権利付き最終日から3営業日後の終値で見ると、どちらも権利付き最終日から▲4.7%台の下落で着地しています。
直近2回は、権利付き最終日に買った場合、優待を受け取れても、その後の数日で株価が優待・配当の受取額を上回って下がった計算になります。
記者コメント
チムニーの第1四半期は営業増益を確保しており、原価と経費の抑制が数字に表れています。
一方で経常利益は持分法投資損益の悪化で減少しました。通期でも純利益と配当は前期の半分前後を見込んでいます。
9月末の中間配当も前期の5円から2円に下がる計画のため、優待の手厚さだけでなく、配当の水準とあわせて見ておきたいところです。
主力の「さかなや道場」「はなの舞」を安定して運営しながら、「魚星」の出店をどこまで収益に結びつけられるかが、今後の注目点になりそうです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
