この記事はここがポイント
- ヤマダHDの9月末株主優待は100株保有で1,000円分と3月末の2倍お得
- 2027年3月期1Qは増収増益で、エアコン買い替え特需のデンキ事業が牽引
- 住建セグメントは資材高・販促費増で営業減益、通期予想は据え置き
3月期決算の企業にとって9月末は中間期の節目にあたり、この時期を基準日として配当や株主優待を用意する銘柄が数多く並びます。
個人投資家の関心は権利付きの最終売買日が迫る9月末銘柄へと移りつつあります。
こうしたなかで存在感を放っているのが、家電量販店最大手のヤマダホールディングス<9831>です。
最新の2027年3月期第1四半期決算をひもとくと、稼ぎ頭であるデンキ事業がエアコンの買い替え特需を捉え、全体の増収増益をけん引したことがわかります。
同社は9月末を基準日とする株主優待も実施しており、100株以上を保有する株主には自社店舗で使える買物優待券が進呈されますが、1,000株未満の場合は3月末より9月末の優待の方が手厚く設定されている点も見逃せません。
2027年3月期1Q決算は増収増益、進捗率も期割りを上回るペース
同社が8月6日に開示した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結業績は、次の通りです(カッコ内は前年同期比)。
- 売上高:4,202億1,800万円(+11.3%)
- 営業利益:156億4,200万円(+16.8%)
- 経常利益:167億7,400万円(+14.5%)
- 純利益:99億8,400万円(+12.8%)
通期の会社予想に対する進捗率は、売上高23.6%、営業利益30.4%、経常利益31.9%、純利益35.9%となっており、利益項目は単純な期割り(1Qなら25%)を上回るペースで推移しています。
なお、通期の業績予想・配当予想はいずれも5月8日の公表時点から修正されておらず、据え置かれたままです。
売上の8割超を稼ぐデンキ事業、エアコン特需はなぜ業績を押し上げたのか
ヤマダHDはデンキ・住建・環境・金融の4事業を展開していますが、売上高の8割超を占めるのがデンキ事業です。
1Qの同事業は売上高3,394億6,600万円(+10.5%)、営業利益147億4,500万円(+20.3%)と増収増益になりました。
背景にあるのが、省エネ基準の引き上げを控えた「エアコン2027年問題」による早期買い替え需要です。
もともと夏場に需要が高まる季節商材ですが、今回は4~5月を中心にこの動きが一段と強まったと同社は説明しています。
気象庁のデータによれば2026年4月は全国的に記録的な高温となり、春(3~5月)の平均気温も西日本を中心に統計開始以来1位タイの高さを記録しており、こうした早めの気温上昇も需要を後押しした一因とみられます。
来店客数の増加はテレビや冷蔵庫、洗濯機といった大型家電に加え、リフォームや家具・インテリアなど非家電分野の売上も押し上げました。
なお、LABI仙台・LABI名古屋を含む一部大型店の退店により、ヤマダデンキ全店の売上高には約1.4%の減収影響が生じていますが、新店・既存店の伸びがこれを上回り、増収増益を確保しています。
一方、住建セグメントは売上高728億2,600万円(+13.1%)と増収でしたが、営業利益は4,600万円(-87.8%)と大幅な減益でした。
主力のヤマダホームズで法改正前の駆け込み受注案件の減少に加え、資材価格の上昇や広告宣伝費の増加により売上総利益率が低下し、営業損失は7億5,900万円(前年同期比6億3,300万円の悪化)となっています。
ただし住宅受注実績は前年比110%超と好調で、第2・第3四半期にかけて通期計画の達成を図るとしています。
100株の保有から対象に、9月末の優待は3月末より手厚い設定
ヤマダHDは3月末・9月末を基準日とする株主優待制度を設けており、100株以上を保有する株主に「株主様お買物優待券」を贈呈しています。
優待券はヤマダデンキの国内各店舗(一部FC店舗を除く)およびIDC OTSUKA(ブランドショップを除く)で利用でき、税込1,000円以上の買物につき1,000円ごとに1枚(500円分)を使用できます。
9月末を基準日とする優待内容は、保有株数別に次の通りです(発送は12月中旬、有効期限は翌年6月末まで)。
保有株数:優待券の金額(枚数)
- 100株~499株:1,000円分(2枚)
- 500株~999株:3,000円分(6枚)
- 1,000株~9,999株:5,000円分(10枚)
- 10,000株以上:25,000円分(50枚)
3月末基準の優待は100~499株で500円分(1枚)、500~999株で2,000円分(4枚)などとなっており、1,000株未満の場合は9月末の優待の方が手厚く設定されています。
権利付き最終日は9月28日
優待を受け取るには、基準日の9月30日から2営業日前までに株式を買い付けている必要があります。
今回の権利付き最終日は9月28日、この日を過ぎて売却しても権利が確定する権利落ち日は9月29日です。
優待券は通信販売や修理代金、レストラン、テナント店舗などでは利用できないといった制限がありますが、家電量販店を日常的に利用する層にとっては、白物家電や季節家電を購入する際の実質的な割引として使える優待といえます。
株主優待の内容や条件は将来変更・廃止される可能性があるため、利用の際は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
権利付き最終日をはさんだ株価はどう動いたか、直近2回を振り返る
9月末・3月末を基準日とする権利付き最終日は、国内株式の受け渡しルール(基準日の2営業日前)から算出すると、直近の2026年3月期末では3月27日、その前の2025年9月中間期では9月26日でした。
それぞれ前後の3営業日の値動きを見ていきます。
2026年3月(直近前回の権利付き最終日)
3月26日:546.6円
3月27日(権利付き最終日):547.1円
3月30日(権利落ち日):526.4円
権利付き最終日の547.1円から権利落ち日の526.4円まで、▲20.7円(▲3.78%)下落しており、この3営業日を通じてやや軟調な値動きとなりました。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2026年3月)
2025年9月(前々回の権利付き最終日)
9月25日:488.9円
9月26日(権利付き最終日):497.2円
9月29日(権利落ち日):489.8円
こちらは権利付き最終日の497.2円から権利落ち日には489.8円へ▲7.4円(▲1.49%)反落したものの、9月25日時点の488.9円とほぼ同水準で、大きく崩れたわけではありません。
権利付き最終日と前後3営業日の株価推移(2025年9月)
大局で見ると、権利落ち前後の値動きは回によって差があり、必ずしも毎回大きく下落するとは限らないことが過去2回の実績からうかがえます。
記者コメント
ヤマダHDの1Q決算は、主力のデンキ事業がエアコンの早期買い替え需要を捉えて増収増益を確保した一方、住建セグメントは資材高・広告宣伝費の増加でコスト面が重荷となる、明暗の分かれる内容でした。
通期の会社予想・配当予想はいずれも据え置かれており、今後の四半期でこのペースを維持できるかが焦点になりそうです。
9月末の株主優待は権利付き最終日が9月28日に迫っており、家電量販店を日常的に利用する株主にとって使いやすい優待だけに、取得を検討している場合はスケジュールに注意しておきたいところです。
過去2回の権利落ち前後の値動きを踏まえると、権利落ち後の株価がどう推移するかもあわせて確認しておきたいポイントといえるでしょう。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
