お中元やお歳暮の定番ギフトとして広く親しまれ、贈答品としてもらうと誰もがうれしくなるブランドといえば、神戸発祥の老舗洋菓子メーカー「モロゾフ(2217)」です。
実は7月は、年間を通しても株主優待の権利確定銘柄が極端に少なく、選択肢が限られる「個人投資家泣かせのシビアな月」です。
そんな難しい月だからこそ、誰もが知るブランド力を持つモロゾフは、毎年ひときわ高い注目を集める存在となっています。
しかし、モロゾフの優待を狙うなら絶対に知っておくべき注意点があります。
それは、2025年に実施された「株主優待制度の一部変更(オンラインショップ割引の廃止)」 と、「半年以上の継続保有条件」 です。
さらに、2026年6月に開示された最新の第1四半期決算では、カカオの仕入価格上昇や新工場の減価償却費が響き、営業利益が前年同期比35.3%減と大幅な減益 となっています。
今回は、7月末の権利付き最終日を前に、以下のポイントを解説します。
- モロゾフの株主優待内容と2025年の変更点:失敗しない!優待をもらうための「保有条件」
- 【企業分析】原材料高の影:2026年6月発表の最新決算を読み解く
投資初心者の方にも分かりやすく、ナビゲートしていきます。
モロゾフの株主優待は2025年に一部変更、「オンラインショップ優待」の廃止
はじめに、2025年3月21日に発表された「株主優待制度の変更に関するお知らせ」を確認します。
具体的には、株主優待制度のうち「モロゾフオンラインショップにて20%割引で商品が購入できる株主優待制度」を廃止する、というものでした。
この優待は、オンラインショップで年4回、割引前本体価格10,000円を上限に20%割引で購入できる制度でしたが、利用率が低いことなどを理由に取りやめとなりました。
すでに2025年7月31日現在の株主名簿に記載・記録された株主への優待から変更済みとなっています。
ただし、自社商品または株主優待券を選択できる株主優待制度は、引き続き利用できます。
つまり、廃止されるのはあくまで「オンラインショップでの割引」部分であり、株主優待そのものが終了するわけではありません。
失敗しない!優待をもらうための「保有条件」
続いて、変更後の株主優待の中身を見ていきます。
モロゾフの決算期は1月期で、株主優待の基準日は7月末です。
対象と「半年以上」の継続保有条件
優待は、毎年7月末日時点で100株以上を半年以上保有する株主が対象です。
単元株は100株です。
ここでいう「半年以上保有」とは、7月31日現在と1月31日現在の年2回発行される株主名簿に、同一の株主番号で2回以上連続して記録されることを指します(3年以上保有は7回以上連続記録)。
単に7月末に100株を持っているだけでは対象にならない点に注意が必要です。
保有株数・保有年数ごとの内容
優待品は「自社商品」または「株主優待券」で、保有株数と保有年数によって次のように異なります。
100株~299株 を保有
- 半年以上3年未満:1,000円相当の自社商品
- 3年以上:2,000円相当の自社商品
300株 〜 2,999株 を保有
- 半年以上 3年未満 (いずれか1つ選択): 優待券5冊(20枚綴)/ 2,000円相当の自社商品
- 3年以上(いずれか2つ選択):優待券5冊(20枚綴)/2,000円相当の自社商品A/2,000円相当の自社商品B
3,000株以上を保有
- 半年以上3年未満(いずれか1つ選択):優待券10冊(20枚綴)/3,000円相当の自社商品
- 3年以上(いずれか2つ選択):優待券 0冊(20枚綴)/ 3,000円相当の自社商品A/3,000円相当の自社商品B
300株以上になると、保有年数が3年をクリアした時点で「選べる数が2つに増える」のが特徴です。
同じ自社商品でも「A」と「B」で内容が変わるため、選ぶ楽しみが広がりますね。
株主優待券は、モロゾフの指定店および通信販売(専用カタログ(注文用紙)での電話・FAX・郵送注文)で、優待券1枚につき割引前本体価格1,000円までの現金での買い物・飲食に対して20%割引が受けられます。
モロゾフの株主優待一覧
【2026年版】モロゾフ(2217)株主優待時系列スケジュール
7月29日(水):権利付き最終日【最も重要な日です】
- この日の大引け(15:30)時点で株を保有していると、7月末の株主としての権利(名簿への記録)を得られます
- 新規で優待を狙う場合: 最低でもこの日までに購入し、保有を開始する必要があります
7月30日(木):権利落ち日
- 権利付き最終日の翌日です
- この日に株を売却しても、前日(29日)時点で保有していれば7月末の株主名簿には記録されます
7月31日(金):権利確定日(基準日)
- 帳簿上で株主名簿が確定する日です
【権利確定後の流れ】※半年以上の保有条件を満たした株主のみ
9月中旬ごろ:株主優待品選択のご案内(300株以上の株主のみ)
- 300株以上を保有する対象株主へ、優待品の選択案内が郵送で届きます
- 「自社商品」か「店舗等で使える株主優待券」のどちらが良いかを選んで期限までに回答します
11月下旬ごろ:優待品・優待券の発送
- 選択した優待品、または株主優待券が順次自宅に届きます
- 100株〜299株の株主(選択なしで自動的に自社商品となる層)にも、この時期に発送されます
2028年(翌々年)5月31日:株主優待券の有効期限
- 到着した株主優待券の有効期限です。約1年半の猶予があるため、ゆっくり店舗やカタログ通信販売(※オンラインショップは廃止)で利用できます
落とし穴に注意!
「半年以上保有」の数え方 モロゾフのルールでは、「1月31日」と「7月31日」の株主名簿に、同じ株主番号で2回連続で記録されることが条件です 。
2026年7月29日(権利付き最終日)に初めて100株買った場合、2026年7月31日の名簿には載りますが、まだ「1回目」なので2026年11月には優待はもらえません。
そのまま株を売らずに持ち続け、2027年1月31日の名簿に連続で載ることで、初めて条件クリアとなり、次のサイクルから優待対象になります 。
モロゾフ(2217)の最新決算|2027年1月期第1四半期と前期実績
株主優待とあわせて、会社の業績も確認しておきましょう。
2026年6月9日に開示された2027年1月期第1四半期(2〜4月)の決算は、次のとおりです。
- 売上高:91億5,200万円(前年同期比+1.7%)
- 営業利益:2億7,200万円(同▲35.3%)
- 経常利益:2億8,000万円(同▲35.0%)
- 純利益:1億8,300万円(同▲30.7%)
売上高は前年同期を上回った一方、利益面では減益となりました。
もっとも、会社側が公表している2027年1月期の通期予想は、売上高368億2,000万円(前期比+1.5%)、営業利益13億1,000万円(同+3.6%)、純利益7億7,000万円(同+19.8%)で、1株当たり配当は年間16円とされています。
通期では増収増益を見込んでおり、四半期ごとの数字はこうした通期の見通しと照らして確認しておきたいところです。
前期にあたる2026年1月期通期の実績は、売上高362億7,300万円(前期比0.7%)、営業利益12億6,400万円(同▲38.6%)、純利益6億4,200万円(同▲54.6%)で、EPS(1株当たり利益)は31.85円、ROE(自己資本利益率)は3.3%、自己資本比率は70.6%でした。1株当たりの年間配当は16円。
データから見ると、モロゾフは自己資本比率が約70%と財務の安定感がある一方、足元では利益がやや伸び悩んでいる局面といえます。
会社側は通期では増収増益への持ち直しを見込んでおり、四半期ごとの数字だけで判断せず、通期の着地や次の四半期開示を確認していくことが大切です。
なお、モロゾフは洋菓子を主力とし、とりわけバレンタイン時期の需要が業績に影響しやすい企業です。
決算期が1月期であることから、2月のバレンタイン商戦はその後の四半期に反映される形になり、四半期ごとの業績には季節性が出やすい点も、数字を読むうえでの参考になります。
株価・バリュエーションの見方
株価水準についても触れておきます。
2026年7月10日取引終了時点では、PER(株価収益率)は40.66倍、PBR(株価純資産倍率)は1.57倍、配当利回りは1.03%です。
これらの指標は株価の変動によって日々変わります。
最新の株価・前日比・利回りは、日本取引所グループ(JPX)や証券会社が提供する公式情報、モロゾフのIR情報で、確認する日付とあわせてチェックしてください。
優待や配当の利回りは購入時の株価によって変わるため、利回りで比較する際は取得価格を踏まえて考える必要があります。
まとめ
7月の注目銘柄であるモロゾフ(2217)の株主優待は、2025年にオンラインショップ割引が廃止されたものの、人気の「自社商品」や「株主優待券」を選択できる制度は継続しています。
ただし、優待を獲得するには1月31日と7月31日の株主名簿に連続で記載される「半年以上の継続保有」が必須条件です。そのため、2026年7月29日の権利付き最終日に初めて購入しても、今年の11月には優待を受け取れない点に注意が必要です。
足元の業績(2027年1月期第1四半期)は、原材料高や設備投資に伴う減価償却費が響き前年同期比で減益となっていますが、通期では増収増益の回復を見込んでいます。約70%という高い自己資本比率を誇る財務の安定性を強みに、今後の着実な成長が期待されます。
投資を検討する際は、これらの優待条件と通期業績の進捗をしっかりと見極めることが大切です。
参考
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
