SBIホールディングス(以下、SBI)が、個人投資家向けの社債(第48回無担保社債)の発行を準備しています。
年2.200~3.200%(税引前)の仮条件を提示して需要を探っており、利率は15日に正式に決定される予定です。
直近では日銀の追加利上げ後に実施された、7月の新発10年国債の入札結果が振るわず、金利は上昇圧力が強まっています。足元は長期金利が2.7%台後半と、高い水準で推移しています。
金利環境が大きく変化するなかで、「債券」は預貯金以外の資産運用のラインナップとして個人投資家からの関心が高くなっています。
本記事では、「SBI債」の仮条件を確認するとともに、今年1月に発行した年限が同じ5年物の自身の前回債との比較も交えながら、投資判断のポイントなどについて解説します。
そもそも「債券投資」とはなにか?
一言で言えば、債券投資とは「国や地方自治体、企業にお金を貸して、定期的に利息をもらう仕組み」です。
私たちが購入する債券(有価証券)は、いわば「借用書」のようなもの。
株式とは異なり、あらかじめ「満期(償還期日)」と「利率(もらえる利息)」がカチッと決められて発行されるのが最大の特徴です。
発行体が破綻しない限り、満期を迎えれば額面金額(元本)がそっくりそのまま戻ってきます。
債券には、発行する相手によっていくつか種類があります。
- 国債(こくさい): 国が発行。最も安全性が高い
- 地方債(ちほうさい): 都道府県や市区町村が発行。地域の身近な事業に役立てられる
- 社債(しゃさい): 民間企業が発行。国債よりもリスクがある分、金利が高めに設定される傾向がある
絶対に知っておくべき「中途換金」ルールの違い
債券投資で最も注意したいのが、「途中で現金化したくなったとき」の動きです。
- 個人向け国債: 発行後1年が経過すれば、国がいつでも額面金額(元本)で買い取ってくれるため、元本割れがありません
- 社債や地方債: 途中で換金したい場合は、国ではなく「市場(時価)」で売却することになります
債券の価値(時価)は世の中の金利の動きで日々変動します。
市場金利が上がっているタイミングで途中で売却すると、購入時の金額を下回り、元本割れするリスクがあります。
「満期まで持てば元本は戻る」のが大原則ですが、途中で使う可能性があるお金なら、このリスクの違いを意識しておく必要があります。
具体的になにから始めたらいい?
債券に投資することを決めたら、まずは以下の3ステップで進めるのがおすすめです。
ステップ①:証券口座を開設する
債券は主に証券会社で購入します。最近はネット証券でも、個人向けの社債や地方債のラインナップが非常に充実してきました。まずは口座を準備しましょう。
ステップ②:まずは「個人向け国債」で肩慣らし
最初からリスクを取る必要はありません。まずは1万円から購入できる「個人向け国債」を買ってみるのがおすすめです。
償還まで金利が一定の固定3年か5年の年限が短いものから始めるのがよいでしょう。
ステップ③:慣れてきたら「個人向けの社債や地方債」へ
国債の仕組みが分かったら、もう少し利回りの高い「地方債」や「個人向け社債」に目を向けてみましょう。
社債は、銀行や保険会社などの「機関投資家」向けに1億円単位で取引されるのが中心ですが、実は個人投資家向けに「10万円単位」などから手軽に購入できる銘柄もあります。
最近は少しずつ個人向けの発行も増えてきています。
どんな情報に注目するべき?
債券を選ぶ際、チラシや目論見書(説明書)のどこを見ればよいのか、重要なポイントを絞って解説します。
「格付け」で発行体の体力をチェックする
債券投資の最大の敵は、お金を貸した相手が倒産すること(デフォルト)です。
それを防ぐために、専門の機関が評価した「格付け」を必ず確認しましょう。
- AA(ダブルA)やA(シングルA)などの記号で表され、BBB(トリプルB)以上であれば「投資適格(比較的安全)」とされています
- 利回りがどんなに魅力的でも、格付けが低い場合は「それだけリスクが高い」という裏返しです
日本の社債市場では、BBB格の社債発行はかなり限られます。
多くはA格やAA格であり、どうしても高いリスクは取りたくないという場合は「AA」を選ぶのがよいかもしれません
世の中の「金利の先行き」と「自分の投資スタンス」
今のように金利に先高感(これからもっと金利が上がるかも)がある局面では、市場のプロ(機関投資家)は債券の購入に慎重になります。
なぜなら、彼らは日々「時価評価」を気にしなければならず、金利が上がると手持ちの債券の価値が下がって(評価損を抱えて)しまうからです。
しかし、個人投資家の多くは「満期までじっくり持つ(満期保有)」が前提のはずです。
途中で売らないのであれば、日々の時価の変動や一時的な評価損は、実質的な損失にはなりません。
プロが買い控えている時こそ、個人投資家にとっては「上昇した高い利回りを、満期まで享受しやすいチャンス」という、win-winの構図が生まれているのです。
SBIホールディングス「第48回無担保社債」の発行要項案
それでは、SBI債の発行要項案をみていきましょう。
現在、発行に向けて準備されている社債の主な条件は以下の通りです。
- 社債の名称:SBIホールディングス株式会社第48回無担保社債(社債間限定同順位特約付)
- 発行総額:1,700億円
- 年限:5年
- 利率(年率):未定(仮条件:2.200~3.200%(税引前))
- 利払日:毎年1月29日、7月29日
- 償還日:2031年7月29日
- 申込期間:2026年7月16日~28日
- 払込期日:2026年7月29日
- 最低投資金額:10万円以上10万円単位
- 予備格付:A-(R&I)
- 引受会社:SMBC日興証券/大和証券/野村証券/SBI証券/みずほ証券/岡三証券
SBI債の発行要項案
SBI債のポイントは?
それでは今回債のポイントを追っていきます。
仮条件
提示されている利率の仮条件は「年2.200~3.200%」となっています。
最終的な利率は需要調査を経て15日に決定されます。
同じ5年債では、今年1月23日に発行した第46回債が2.484%(税引前)でした。
今回の仮条件と比較すると、下限の2.2%は0.284%下回る一方、上限の3.2%は0.716%上回っています。
市場の「金利」自体が上昇
前回の5年債が条件決定した1月上旬は、ベースとなる5年物金利が1.5%半ば近辺で推移していました。
これが、7月上旬の現在は1.9%台前半へと跳ね上がっています。
仮条件のレンジ上限は、こうした金利の変動を加味して設定されています。
まとめ
金利上昇に伴い債券への関心が高まるなか、SBIホールディングスが年2.200〜3.200%(税引前・仮条件)の個人向け社債の発行を準備しています。
債券投資は、国や企業にお金を貸して定期的に利息を受け取り、満期には元本が戻る堅実な仕組みです。
まずは証券口座を開設し、元本割れのない「個人向け国債」から始めるのがおすすめです。
仕組みが分かったら、企業の財務体力を示す「格付け」を確認しつつ、今回のような「個人向け社債」へステップアップしてみましょう。
社債や地方債は途中で売却すると元本割れのリスクがありますが、満期まで持つなら日々の価格変動は関係ありません。
プロが買い控える金利上昇局面こそ、満期保有が前提の個人投資家にとっては、高い利回りをじっくり享受できる絶好のチャンスです。
預貯金の一歩先の運用先として、一つの選択肢に加えてみるのもいいでしょう。
参考
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で行ってください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
