この記事はここがポイント
- 株安局面の目減りを防ぐため、株式だけでなく国債など異なる資産を組み合わせる分散投資の有効性
- 11月6日に日経平均株価が急落した一方、長期金利が2.635%に低下して国債が買われた
- 1万円から買える個人向け国債や社債はNISA対象外で、利息に20.315%が課税される点に注意
NISAでオルカンやS&P500の投資信託を積み立てている人のなかには、ここ数日の株安で評価額が減っていくのを見て「株だけにしないで、もう少しバランスよく投資しておけばよかった」と感じている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、AI・半導体株を中心とした今回の株安の大きさを数字で確認したうえで、株と組み合わせる先としての債券の役割と、その選び方を見ていきます。
AI・半導体株、S&P500、オルカンはどれだけ下がった?
まず、主な指数と投資信託の動きを確認しておきましょう。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)
11月5日の終値は9,011.14。前日比▲12.2%と急落し、終値ベースで6月22日の高値1万4,634.72から約38%下落
日経平均株価
11月6日の終値は5万7,434.77円。前日比▲3,643.13円(▲5.96%)と急落し、終値ベースで6月25日の高値7万2,366.34円から約21%下落
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカン
11月6日の基準価額は3万6,330円。前日比▲1,399円(▲3.7%)と大きく下がり、8月14日の最高値3万9,019円から約7%下落
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
11月6日の基準価額は4万2,755円。前日比▲2,072円(▲4.6%)と大きく下がり、8月14日の最高値4万5,727円から約7%下落。連動を目指すS&P500は、11月5日に前日比▲4.4%の7,353.73で取引を終えた
半導体株指数の下げが際立つ一方、幅広い銘柄に投資するS&P500やオルカンの下落率はそれより小さくなっています。
それでも、高値で買い増した分は含み損になっている人もいるでしょう。
株価指数と人気の投資信託の下落(終値・基準価額ベース)
なぜ「株だけ」だと後悔しやすいのか
オルカンやS&P500は、数百~数千の銘柄に分散投資する商品です。1社が不振でも影響は限られます。
ただし、投資先はすべて「株式」です。
今回のように株式市場全体が売られる局面では、どれだけ多くの銘柄に分けていても、資産全体が一緒に目減りします。
いわば、同じ船に乗る人数を増やしても、船そのものが揺れれば全員が揺れるのと同じです。
「株だけにしなければよかった」という後悔は、銘柄の分散はできていても、資産の種類の分散ができていなかったところから生まれます。
株安の日に、国債は買われた
株価が大きく下がった6日、国内の債券市場では長期金利(新発10年物国債の利回り)が前日比0.135%低い2.635%に低下しました。
債券は、買われて価格が上がると利回りが下がる関係にあります。
つまり、日米の株価が大きく値下がりした日に、国債は逆に買われていたことになります。
このように、株と債券は同じ方向に動くとは限りません。
株だけを持っている場合に比べ、債券を組み合わせておけば、株が下がった局面での資産全体の目減りを抑えられることがあります。
株と組み合わせる債券の選択肢
個人が買える主な債券には、次のようなものがあります。
個人向け国債
国が個人向けに発行する債券。1万円から買え、発行から1年たてば国が額面で買い取ってくれる(中途換金)。
11月募集分の利率は固定5年が年2.17%、固定3年が年1.94%、変動10年が年1.85%(初回)
社債
企業が発行する債券。国債より利率が高いものが多いが、発行企業の経営状態によっては利息や元本が支払われない可能性がある
債券ファンド(投資信託)
多くの債券にまとめて投資する商品。少額から積み立てられるものもある
債券を組み合わせる前に知っておきたいこと
株と債券が一緒に下がる局面もある
株と債券の値動きが逆になるのは、いつもではありません。株と債券が同時に値下がりすることもあります。
個人向け国債は値上がりもしない
個人向け国債は中途換金しても額面で戻るため、元本割れしません。その代わり、11月6日のように国債が買われても、値上がり益は得られません。役割は「資産の中で値動きしない部分をつくる」ことです。
途中で売るときの価格は市場次第
個人向け国債以外の国債や社債、債券ファンドは、満期前に売ると、そのときの市場価格で値段が決まります。金利が上がれば価格は下がり、買った値段を下回ることもあります。
国債や社債はNISAでは買えない
個人向け国債や社債はNISAの対象外で、利息には20.315%の税金がかかります。債券ファンドには、NISAの成長投資枠で買えるものもあります。
記者の視点
今回の株安で評価額が減ったからといって、慌てて株を売って債券に乗り換える必要はありません。
後悔の原因は株を持っていたことではなく、資産のすべてが株だったことにあるからです。
まずは、自分の資産のうち「株」と「株以外」がそれぞれいくらあるかを書き出してみてはいかがでしょうか。
そのうえで、これから積み立てる分や手元の預金の一部を債券に振り向けるだけでも、次に株安が来たときの揺れ方は変わってきます。
個人向け国債は毎月募集があり、1万円から買えます。12月募集分の利率は12月4日に発表される予定です。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
