この記事はここがポイント
- 2026年11月6日の日経平均株価は前日比3,643円13銭安の5万7,434円77銭と急落し東証全33業種が値下がりした全面安の展開
- 好決算や増配を発表した大東建託など5銘柄も下落し予想配当利回りが3.59%から5.07%へ上昇
- 利回り5.07%の大東建託や下限配当200円の日本郵船など業績連動を含め各社で異なる還元方針
6日の東京市場は、AI・半導体関連株を中心に全面安となりました。
前日5日の米国市場では、米中間選挙で民主党が大勝したことで、AIやデータセンターへの規制が強まるとの懸念が広がり、ナスダック総合指数は5.52%安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は12.25%安となりました。
この流れを受けた6日の日経平均株価は、前日比▲3,643円13銭(▲5.96%)の5万7,434円77銭で取引を終えました。
5日続落で、下げ幅は史上3番目です。5月20日以来、約半年ぶりに6万円を割り込みました。
売りはAI・半導体関連株にとどまりませんでした。東証プライム市場で上昇した銘柄は全体の1%程度で、東証33業種はすべて下落。
下落率が最も大きかったのは食料品で、一般にディフェンシブとされる業種まで値を下げました。
こうしたなかで、直前に業績予想の上方修正や増配、増益決算を発表していた銘柄も売られています。
株価が下がった分、予想配当利回りは上がりました。
ここでは、好材料を発表していながら11月6日に下落し、予想配当利回りが3.5%を超えた5銘柄を取り上げます。配当利回りは各社の今期の年間配当予想と11月6日の終値をもとに記者が算出しています。
大東建託<1878>:10月30日に業績予想と配当予想を上方修正
- 11月6日終値:3,257円(前日比▲301円、▲8.46%)
- 年間配当予想(2027年3月期):165円
- 予想配当利回り:5.07%(11月5日終値ベースでは4.64%)
大東建託は10月30日、2027年3月期の業績予想と配当予想を引き上げました。
修正後の通期予想は次の通りです。
- 売上高:2兆800億円(前回予想比1.5%増)
- 営業利益:1,500億円(同5.6%増)
- 経常利益:1,480億円(同5.7%増)
- 純利益:1,090億円(同0.9%増)
修正の理由について同社は、主に不動産賃貸事業で入居率が堅調に推移しているためとしています。
配当は、期末配当予想を82円から84円に2円引き上げ、年間165円(中間81円、期末84円)としました。
同社は連結業績に応じた利益還元分を含めて配当性向50%を目標としています。
11月6日の終値は前日比8.46%安で、5銘柄のなかで予想配当利回りは最も高い5.07%になりました。
日本郵船<9101>:11月5日に年間配当予想を90円引き上げ
- 11月6日終値:6,635円(前日比▲403円、▲5.73%)
- 年間配当予想(2027年3月期):330円
- 予想配当利回り:4.97%(11月5日終値ベースでは4.69%)
日本郵船は11月5日、2027年3月期の中間決算とあわせて配当予想を引き上げました。
中間配当を前回予想の120円から45円増やして165円とし、期末配当予想も120円から165円に引き上げたため、年間配当予想は240円から330円になります。
前期の年間配当は230円でした。
中間期の実績は次の通りです。
- 売上高:1兆5,050億2,500万円(前年同期比27.3%増)
- 営業利益:1,148億7,600万円(同91.9%増)
- 経常利益:2,132億6,200万円(同79.8%増)
- 中間純利益:2,034億8,100万円(同106.9%増)
通期の業績予想は、売上高3兆円(前期比23.8%増)、営業利益2,100億円(同51.5%増)、経常利益3,350億円(同58.7%増)、純利益3,300億円(同55.8%増)で、変更はありません。
同社は、連結配当性向40%を目安に、1株当たりの配当の下限を年間200円としています。
今回の増配は、中間期の実績と最新の業績予想を踏まえたものです。
5銘柄のなかで、予想配当利回りは大東建託に次ぐ4.97%になりました。
双日<2768>:中間期の純利益は40.4%増
- 11月6日終値:4,769円(前日比▲376円、▲7.31%)
- 年間配当予想(2027年3月期):180円
- 予想配当利回り:3.77%(11月5日終値ベースでは3.50%)
双日が10月30日に発表した2027年3月期の中間決算は、次の通りでした。
- 収益:1兆6,721億3,000万円(前年同期比34.8%増)
- 税引前中間利益:860億8,800万円(同60.0%増)
- 中間利益:635億8,800万円(同40.4%増)
通期利益の予想は1,300億円(前期比25.5%増)で、変更はありません。
年間配当予想は180円(中間90円、期末90円)で、前期の165円から増える計画です。
大手商社株も6日は軒並み下げましたが、6日終値ベースの予想配当利回りは、三井物産<8031>が3.03%、三菱商事<8058>や伊藤忠商事<8001>、丸紅<8002>、住友商事<8053>、豊田通商<8015>は1~2%台です。
双日を含む大手7社のうち、利回りが3.5%を超えたのは双日だけでした。
ヤマハ発動機<7272>:11月6日の取引時間中に増配を発表
- 11月6日終値:1,668円(前日比▲172円、▲9.35%)
- 年間配当予想(2026年12月期):60円
- 予想配当利回り:3.60%(11月5日終値ベースでは3.26%)
ヤマハ発動機は11月6日13時、2026年12月期の第3四半期決算とあわせて、期末配当予想の引き上げを発表しました。
期末配当予想を25円から10円増やして35円とし、年間配当予想は60円(前期は35円)になります。
同社は株主還元について、中期経営計画期間の累計で総還元性向40%以上を目安としています。
増配の理由としては、8月に修正した通期業績予想の達成に向けて着実に進捗していることに加え、今後の成長の見通しやキャッシュ・フローの状況などを踏まえたとしています。
第3四半期累計(1~9月)の実績は次の通りです。
- 売上収益:2兆2,152億円(前年同期比16.0%増)
- 営業利益:2,352億1,900万円(同109.6%増)
- 税引前四半期利益:2,371億3,400万円(同109.8%増)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:1,733億9,500万円(同301.0%増)
6日の株価は、発表時刻の13時に高値1,793円をつけた後、13時18分に安値1,627円まで下げ、終値は1,668円でした。
住友化学<4005>:11月2日に上方修正と1円の増配
- 11月6日終値:473.3円(前日比▲45.8円、▲8.82%)
- 年間配当予想(2027年3月期):17円
- 予想配当利回り:3.59%(11月5日終値ベースでは3.27%)
住友化学は11月2日、2027年3月期の通期業績予想と配当予想を引き上げました。
修正後の通期予想は次の通りです。
- 売上収益:2兆4,900億円(前回予想比5.5%増)
- コア営業利益:2,700億円(同25.6%増)
- 営業利益:2,150億円(同21.5%増)
- 当期利益:900億円(同28.6%増)
コア営業利益とは、営業損益から非経常的な要因による損益を除いた、同社が経常的な収益力を示すものとして使う利益です。
修正の理由として同社は、ICT&モビリティソリューションで半導体プロセス材料の出荷が増える見込みであること、エッセンシャル&グリーンマテリアルズで事業活動が順調に進んでいること、住友ファーマで米国の売上が「ジェムテサ」を中心に好調に推移していることを挙げています。
配当は、期末配当予想を8円から9円に引き上げ、年間17円(前期は13円50銭)としました。
5銘柄のまとめ
11月6日の東京市場は、米国発のAI・半導体株安をきっかけに、業種を問わない全面安になりました。
大東建託、日本郵船、双日、ヤマハ発動機、住友化学の5銘柄は、いずれも直前に上方修正や増配、増益決算を発表していましたが、5~9%台の下落となり、予想配当利回りは3.59%~5.07%に上がっています。
好材料にもかかわらず下落した高配当5銘柄
配当の決め方は5社で異なる
同じ「高配当」でも、配当の決め方は会社ごとに違います。
大東建託は配当性向50%を目標とし、ヤマハ発動機は中期経営計画期間の累計で総還元性向40%以上を目安にしています。
利益に連動する部分があるため、業績が変われば配当額も変わる可能性があります。
日本郵船は連結配当性向40%を目安としつつ、年間200円を配当の下限に定めています。
今期予想の1株当たり当期純利益817円36銭に対する配当性向は40.4%(記者算出)です。
記者コメント
11月6日は、米国発のAI・半導体株安が業種を問わず広がった1日でした。今回の5銘柄は、いずれも直前の発表で業績予想や配当予想を引き下げてはいません。
ただ、配当利回りの上昇は株価の下落と表裏一体です。相場全体の振れ幅が大きい局面では、利回りが高くなった後も株価がさらに下がり、配当で受け取る金額以上の値下がりになることもあります。
各社の配当予想は、あくまで現時点の業績予想を前提にしています。
大東建託、日本郵船、双日、住友化学は2027年3月期、ヤマハ発動機は2026年12月期の本決算で、配当予想が最終的にどう着地するかを確かめたいところです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
