この記事はここがポイント
- INPEXは2025~27年の3年間で株主還元に7,000億円以上を配分し、年90円起点の累進配当や総還元性向50%以上を目指す方針
- 2026年12月期の年間配当予想は前期から増配となる112円で、10月22日時点の予想配当利回りは2.86%
- 12月31日を基準日とする期末配当や株主優待の権利を獲得するための権利付き最終日は2026年12月28日
INPEX<1605>は21日、投資家向けの説明会「Investor Day 2026」を開き、株主還元と成長投資にどれだけ資金を振り向けるかを示しました。
2025~27年の3年間で株主還元に7,000億円~を充てる計画に加え、2028年以降、大型案件のアバディLNGプロジェクトへの投資が増える時期にも還元を続ける考えを説明しています。
配当金で見ると、2026年12月期は年112円の予想です。
2月の期初時点では年108円としていましたが、8月7日の中間決算で中間・期末とも2円ずつ上乗せしていました。
11月12日には第3四半期決算の発表を控えており、その先には12月31日を基準日とする期末配当の権利取りがあります。
本記事では、Investor Dayで示された還元と資金配分の見通しを中心に、配当方針、直近5期の配当金の推移、株価と利回り、そして12月の権利付き最終日までを整理します。
事業年度は1月1日から12月31日までで、配当は6月30日と12月31日を基準日とする年2回。
株主優待は、12月31日時点で400株以上を1年以上継続して保有する株主が対象で、保有株数と継続保有年数に応じて同社オリジナルデザインのQUOカードが贈られます。
なお、株価は日々変動し、配当予想も同社の判断で変わることがあります。
※記事中の株価はすべて終値です。
INPEXはInvestor Dayで、2025~27年の株主還元に「7,000億円~」を配分する計画を提示
2025~27年の中期経営計画の3年間で、同社は営業キャッシュ・フロー3兆円と借入3,500億円の計3兆3,500億円程度を資金の源泉とし、その使い道を次のように示しています。
- 成長投資:1兆9,500億円
- 株主還元:7,000億円~(90円/株を起点とする累進配当、総還元性向50%以上)
- アバディ開発準備資金:7,000億円~(2027年末の残高9,000億円~)
2026年については、営業キャッシュ・フロー1兆550億円のうち、還元に2,730億円、投資(アバディ開発準備資金の積み立てを含む)に8,590億円を充てる姿を示しています。
2026年の1株あたり配当金と自己株式の取得は過去最高額で、過去10年間で総還元額は約10倍に増えたとしています。
その先の見通しも、3年ごとの年平均で示しました。
2025~27年は「還元拡充及びアバディへの準備期間」とし、年平均で還元に2,300億円~を充てながら、アバディ開発準備資金を積み立てます。
2028~30年は「アバディへの投資実行と還元の両立」の期間で、投資額は増えるものの、準備資金の取り崩しと営業キャッシュ・フローで「十分な還元の元手を確保」するとしています。
2031~33年はアバディへの投資がピークを越え、借入の返済による財務健全性の向上と還元を両立させる期間と位置づけています。
なお、アバディLNGプロジェクトは投資の最終決定(FID)前で、生産開始は2030年代初頭と示されています。
借入の水準の目安も示されています。
純有利子負債を自己資本で割ったNet D/Eレシオは、2025年0.33倍、2026年0.37倍、2027年0.38倍の見通しで、同社が財務規律とする0.3~0.5倍の範囲に収める計画です。
さらに株価収益率(PER)から逆算した「市場期待成長率」を▲0.59%、同社の長期戦略「INPEX Vision」に基づく永久期待成長率を+3.1%と同社自身が試算し、IRの目的はこの「“4%”のギャップ」を埋めることだと述べています。
INPEXの配当方針は「年90円起点の累進配当」と「総還元性向50%以上」
累進配当とは、配当を減らさず、維持または増やしていくことを基本とする考え方です。
同社は2025年2月に公表した「2025-2027 中期経営計画」で、計画期間中は1株あたり年間90円を起点とする累進配当で安定的に還元しつつ、自己株式の取得も機動的に行い、総還元性向50%以上を目指すとしています。
総還元性向は、配当と自己株式取得の合計額が利益に占める割合のことです。
今期予想の配当性向は25.5%
今期は8月7日に、8月10日から12月31日までを期間とし、上限5,000万株・1,400億円の自己株式取得を決めています。
今期予想の1株あたり当期利益438円82銭をもとに計算すると、年112円の予想配当の配当性向は25.5%です。
2025年12月期の配当性向(実績)は30.2%でした。
INPEXの株価は10月22日終値3,917円。予想配当利回りは2.86%
INPEXの10月22日の終値は3,917円でした。この株価をもとにした指標は、PER(会社予想)が8.93倍、PBR(実績)が0.89倍、配当利回り(会社予想)が2.86%です。
2026年の年初来高値は3月30日につけた4,955円、年初来安値は1月7日につけた3,020円です(いずれも取引時間中の値)。
10月22日の終値3,917円は、年初来安値を897円上回り、年初来高値を1,038円下回る水準にあります。
INPEXの年間チャート
INPEXの配当金の推移を振り返る
同社の1株あたりの年間配当金は次のように推移してきました。いずれも中間配当と期末配当を合わせた金額です。
1株あたり年間配当金は2021年12月期の48円から2025年12月期は100円に
- 2021年12月期:中間20円、期末28円、年間48円
- 2022年12月期:中間30円、期末32円、年間62円
- 2023年12月期:中間37円、期末37円、年間74円
- 2024年12月期:中間43円、期末43円、年間86円
- 2025年12月期:中間50円、期末50円、年間100円
- 2026年12月期(予想):中間56円、期末56円(予想)、年間112円(予想)
5期で48円から100円へ52円増え、2倍を超えました。1年ごとの増え方は14円、12円、12円、14円で、この5期の間に年間配当金が前の期を下回った年はありません。
今期の年112円は、8月7日の第2四半期(中間期)決算発表と同時に修正された予想です。
中間配当は2月時点の予想54円から56円に決まり、期末配当の予想も54円から56円に引き上げられました。
同社は理由として、通期の業績予想における好調な見通しを挙げています。前の期も、8月の中間決算で年90円の予想を年100円に引き上げていました。
業績のほうは、同じ8月7日に通期の予想を修正し、売上収益1兆9,730億円(前期比1.9%減)、営業利益1兆2,230億円(同7.7%増)、税引前利益1兆2,780億円(同8.9%増)、当期利益5,100億円(同29.5%増)としました。
5月の第1四半期決算時点の予想(当期利益3,500億~4,500億円)の上限を上回る水準です。
次の第3四半期決算は、11月12日に発表される予定です。
INPEXの配当は6月30日と12月31日が基準日
配当を受け取れるのは、基準日の株主名簿に記載または記録されている株主です。
剰余金の配当の基準日は6月30日と12月31日です。中間配当は取締役会、期末配当は株主総会で決まります。
今期の中間配当56円は2026年9月1日から支払いが始まり、期末の56円は2027年3月の定時株主総会で決まる予定です。
なお、実際には権利付き最終日までに株式を買い付ける必要がある点に注意が必要です。
INPEXの期末配当の基準日は12月31日。2026年12月の権利付き最終日は12月28日
期末配当は、支払いが決まった場合に、12月31日の株主名簿に載っている株主に支払われます。
基準日の名簿に載るために、いつまでに株式を買っておく必要があるのか(権利付き最終日)は、取引している証券会社の案内で、その年の日付を確認してください。日付は年によって変わります。
2026年12月の権利付き最終日は12月28日です。
12月31日は取引所の休業日のため、受け渡しを12月30日までに済ませる必要があり、そこから2営業日さかのぼった日が権利付き最終日になります。
期末配当を受け取れるのは、同社が期末配当の支払いを決めた場合です。
今期の期末56円は予想の段階で、決まった金額は決算の発表で確かめられます。
記者コメント
INPEXはInvestor Day 2026で、2025~27年の3年間に株主還元へ7,000億円~を配分する計画を示し、アバディLNGプロジェクトへの投資が増える2028年以降も還元を続ける道筋を、資金の源泉と使い道の形で説明しました。
直近5期の年間配当金は前の期を下回ることなく48円から100円まで増え、今期も年112円の予想です。
もっとも、アバディはまだ投資の最終決定前で、年90円起点の累進配当も、いまの中期経営計画の期間中の方針です。
まずは11月12日の第3四半期決算で、年112円の配当予想と当期利益5,100億円の予想がどうなっているか、12月31日まで続く自己株式取得がどこまで進んでいるかも確かめておきたいところです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
