この記事はここがポイント
- ヒューリックは業績予想の上方修正に伴い2026年12月期の年間配当予想を70円に引き上げ、18期連続増配の予想
- 配当方針として2029年にかけて配当性向45%を目指しており、今期予想の配当性向は42.1%
- 期末配当36.5円予想の基準日は2026年12月31日で、権利付き最終日は12月28日
ヒューリック<3003>が10月28日に発表した2026年12月期の第3四半期決算は、売上高が5,747億円(前年同期比35.4%増)、営業利益が1,205億円(同13.2%増)でした。
同社は同じ日に通期業績予想を引き上げ、売上高9,000億円、営業利益2,170億円を見込んでいます。
配当予想も年間67円から70円に引き上げました。中間配当は33.5円で、期末配当は36.5円の予想です。
同社の年間配当金は、2021年12月期の39円から2025年12月期は62円に増えています。
配当の考え方は、業績動向を踏まえた安定した配当を続けるというもので、2029年にかけて配当性向を段階的に45%まで引き上げることを目標にしています。
次の本決算は、同社のIRカレンダーでは1月末~2月初めに発表される予定です。
本記事では、決算発表を前に、配当方針と直近5期の配当金の推移、株価と利回り、12月の権利付き最終日までを順にみていきます。
※記事中の株価はすべて終値です。
ヒューリックは配当性向を2029年にかけて45%へ引き上げる目標。今期予想の配当性向は42.1%
ヒューリックが株主還元の物差しにしているのは、配当性向です。
配当性向は、1年間の純利益のうち、どれだけを配当に回したかを示す割合です。
同社は、不動産賃貸事業を主たる事業としていることから、事業基盤の強化に必要な内部留保の充実をはかりつつ、「安定した配当を継続すること」を基本方針としています。
あわせて、業績動向を踏まえた配当とすることも同様に重要だとしています。
2026年2月に公表した中長期経営計画(2026~2036年)では、従来40%としてきた配当性向を、2029年にかけて段階的に45%まで引き上げる目標を掲げました。
同社は、利益成長に応じた還元によって上場以来毎期増配を続けてきたとしており、第3四半期の決算説明資料では、2026年12月期を「上場以来、18期連続増配の予想」としています。
2025年12月期の配当性向は41.1%、純資産配当率は5.3%でした。
第3四半期の決算説明資料では、年70円の予想配当をもとにした今期予想の配当性向を42.1%としています。
ただし、配当性向を目安にしている以上、配当の額は利益の水準に左右されます。
同社自身も、業績動向を踏まえた配当とすることを重視するとしており、45%の目標についても2036年に向けては「さらなる検討」としています。
ヒューリックの株価は11月6日終値1,895.5円、予想配当利回りは3.69%
ここからは、株価と参考指標の数字をみておきます。
ヒューリックの11月6日の終値は1,895.5円(前日比▲6.16%)でした。
6日は日経平均株価が終値ベースで3600円超の下げとなるなど、大幅安となった流れに同社株も巻き込まれた格好です。
10月28日引け後の決算発表後に5日続伸していたことから、利益確定の売りが出やすかったことも影響したとみられます。
この株価をもとにした指標は、PER(会社予想)が11.42倍、PBR(実績)が1.51倍、配当利回り(会社予想)が3.69%です。
2026年の年初来高値は2月26日につけた2,094円、年初来安値は6月2日につけた1,620円です(いずれも取引時間中の値)。
11月6日の終値1,895.5円は、年初来安値を275.5円上回り、年初来高値を198.5円下回る水準にあります。
ヒューリックの年間チャート
次に、3.69%という利回りのもとになる配当金が、どう動いてきたかを確かめます。
ヒューリックの配当金の推移。1株あたり年間配当金は2021年12月期の39円から2025年12月期は62円に
同社の1株あたりの年間配当金は次のとおりです。
いずれも中間配当と期末配当を合わせた金額です。
1株あたり年間配当金の推移
決算期:中間配当:期末配当:年間配当
- 2021年12月期:19円:20円:39円
- 2022年12月期:20円:22円:42円
- 2023年12月期:23円:27円:50円
- 2024年12月期:26円:28円:54円
- 2025年12月期:28.5円:33.5円:62円
- 2026年12月期(予想):33.5円:36.5円(予想):70円(予想)
5期の間、年間配当金は毎期前の期を上回り、39円から62円へと23円増えました。
中間配当と期末配当も、どちらも毎期前の期より多くなっています。
なかでも2023年12月期は、前の期から8円増えて50円になりました。
今期にあたる2026年12月期は、年間70円の予想です。
中間配当は33.5円で、期末配当は36.5円の予想とされています。
期末配当の予想は、期初の33.5円から、10月28日に3円引き上げられました。
同社は、純利益の見通しを上方修正したことから、普通配当として増額するとしています。
第3四半期決算を発表した10月28日時点での2026年12月期の通期業績予想は、1月29日に示した期初の予想から引き上げられ、売上高9,000億円(前期比23.7%増)、営業利益2,170億円(同16.1%増)、経常利益1,900億円(同9.8%増)、純利益1,260億円(同10.2%増)です。
売上高は、期初は予想を示しておらず、今回初めて公表しました。
業績予想を引き上げた理由について、同社は、保有方針に合致しない物件の売却を進めた結果としています。
次の本決算は、1月末~2月初めに発表される予定です。
ヒューリックの配当は6月30日と12月31日が基準日
配当を受け取れるのは、基準日の株主名簿に記載または記録されている株主です。
中間配当は6月30日、期末配当は12月31日が基準日です。中間配当は取締役会、期末配当は株主総会で決めるとしています。
なお、同社は期末配当による年1回の配当を基本方針としたうえで、各期の業績を考えながら中間配当も実施する場合がある、としています。
基準日に株主名簿に載るには、権利付き最終日までに株式を買い付けておく必要があります。
ヒューリックの期末配当の基準日は12月31日。2026年12月の権利付き最終日は12月28日
期末配当は、支払いが決まった場合に、12月31日の株主名簿に載っている株主に支払われます。
2026年12月の権利付き最終日は12月28日です。
12月31日は取引所の休業日にあたるため、受け渡しを直前の営業日である12月30日までに済ませる必要があり、そこから2営業日さかのぼった日が権利付き最終日になります。
翌営業日の12月29日は権利落ち日です。
権利落ち日には期末配当の権利がなくなる分だけ株価が下がりやすく、権利付き最終日の直前に買った場合、36.5円の配当を受け取っても、値下がりした分で含み損を抱えることがあります。
なお、期末の36.5円は現時点では予想で、受け取れるのは2027年3月の定時株主総会で支払いが決まった場合です。
同社には株主優待もあり、12月31日を基準日とする年1回、グルメカタログギフトとホテル施設の利用券から2点(6,000円相当)を選べます。
対象は300株以上を同じ株主番号で2年以上続けて保有している株主のため、権利付き最終日の直前に買った株は対象になりません。
記者の視点
ヒューリックの配当は、純利益に対する配当性向を物差しにしています。
年間配当金は2021年12月期からの5期で39円から62円に増え、今期はさらに70円の予想です。
今期予想の配当性向は42.1%で、同社が2029年にかけて目指す45%に向けて、前期の41.1%から上がる見込みです。
配当性向を物差しにしている分、期末の配当予想は純利益の着地に連動しやすい形です。
10月の引き上げも、純利益の見通しの上方修正にあわせたものでした。
第3四半期までの純利益は694億円で、通期予想1,260億円に対する進捗率は55.1%でした。
前の期は、第3四半期までの純利益606億円が、通期の実績1,143億円の53.0%にあたっていました。
本決算では、純利益が1,260億円の予想にどこまで届くのかとあわせて、来期の配当予想で配当性向をどの水準に置くのかを確かめたいところです。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
