公的年金の受給額はいくら?「月額15万円以上」は半分以下
では、毎月の生活のベースとなる「年金」の受給額の現実はどうでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は15万289円(老齢基礎年金を含む)です。しかし、受給額ごとの分布を見ると、月額15万円以上を受給している人は全体の49.8%と、半分に満たないのが実態です。厚生年金を受給していない人を含めると、この割合はさらに下がります。
そのため、毎月の年金収入だけで日々の生活費をすべて賄うのは、決して容易ではないことが分かります。だからこそ、多くの世帯において、先ほど確認した手元の貯蓄を上手に切り崩しながら生活を補填していく必要性が生じてくるのです。
資産寿命シミュレーションのメリット:「使いながら増やす」意識
相談に来られるお客様の中には、「貯蓄が減っていくのを見るのが精神的に辛い」と不安を吐露される方もなかにはいらっしゃいます。そこで提案するもののひとつに、今ある資産で「あと何年生活できるか」を可視化する「資産寿命シミュレーション」があります。
資産寿命シミュレーションのイメージ図
銀行の公式サイトなどで無料でシミュレーションできるものもあります。
例えば、以下の条件で毎年の赤字を補填する場合を考えてみましょう。
- 手元の資産:1000万円
- 年金などの年間収入:180万円
- 生活費などの年間支出:230万円
- 毎年の赤字:50万円
この赤字分をただ預金から取り崩すだけ(運用なし)の場合、資産は約20年で底をついてしまいます。しかし、預金の一部を年利3%でゆるやかに「使いながら運用」した場合、資産の寿命は約30年へと、約10年も長持ちさせることができるのです。
年利3%という水準は、NISAなどを活用し、バランス型の投資信託などで十分に目指せる可能性がある現実的な利回りです。70歳代は教育費や住居費などの大きな出費が落ち着き、家計の見直しに最適な時期。「守る」だけでなく、インフレに備えて「ゆるやかに増やす」視点を持つことで、お金の不安を安心へと変えることができます。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてLIMO&ファイナンス編集部にてわかりやすく信頼できる記事をお届けします。
