日本の営業利益+120.7%、9か月で前期通期を超えた
2026年8月期3Q累計のセグメントを見ると、構図が動き始めている。日本は売上高1,498億円で+19.6%、セグメント利益は55億円で+120.7%。アジアは売上高715億円で+13.4%、セグメント利益は73億円で▲6.3%となった。豪州も売上高97億円で+19.5%、利益4億円と伸びている。
注目したいのは、日本の55億円という数字だ。前期通期の日本セグメント利益は50億円だった。9か月で前期の1年分を超えたことになる。
日本とアジアの利益差も縮んだ。前年同期は日本25億円に対しアジア77億円で、52億円の開きがあった。それが今期は17億円まで詰まっている。
アジアは店舗数の増加で売上を伸ばしながら、利益は前年を下回った。会社は増収の理由を新規出店の継続と店舗数の増加に置いている。減益の側については、出店に伴う先行費用や償却の重さが効いている可能性が高い。
数字の裏づけもある。3Q累計の減価償却費は139億円で、前年同期の118億円から増えた。有形固定資産も前期末の684億円から855億円へ膨らんでいる。投じた資本が売上に変わるまでには、どうしても時間がかかる。
貸借対照表の側も同じ方向を向いている。3Q末の総資産は2,077億円で、前期末から283億円増えた。会社によれば、主な要因は有形固定資産の増加170億円と現金及び預金の増加47億円だ。
負債も膨らんでいる。負債合計は763億円で前期末から140億円増え、内訳としては買掛金の増加25億円、リース債務の増加41億円が挙げられている。リース債務の伸びは、店舗を増やしている会社の姿がそのまま出た項目と言っていい。
純資産は1,313億円で142億円増え、自己資本比率は62.9%になった。前期末の65.0%からはわずかに下がっている。資産を厚くしながら利益を積むと、比率の側は一時的に下がる。数字が悪化したというより、投資が先に進んだ結果と読むほうが素直だろう。
5期で売上はほぼ2倍、増えたのは店舗だけではない
時間軸を広げると、この変化の意味がもう少しはっきりする。
2021年8月期の売上高は1,265億円で、営業損益は▲22億円の赤字だった。日本セグメントは2023年8月期まで営業赤字が続き、2024年8月期に27億円で黒字へ戻っている。2025年8月期は売上高2,567億円、営業利益154億円、純利益111億円。ROEは2.2%から9.8%まで戻った。
この4年で増えたのは店舗だけではない。連結の従業員数は4,134名から4,868名へ、臨時従業員は6,915名から11,853名へ増えている。
賃金も上がった。有価証券報告書に記載された平均年間給与は、2021年8月期の551万円から2025年8月期は699万円になっている。外食の費用構造の中心は人件費であり、ここが上がれば営業段階の利益は圧縮されやすい。
その圧力を受けながら営業利益率が6.0%まで戻ったのだから、単価と客数の両方が動いたと考えるのが自然だ。値上げだけでも、来店増だけでも、この形にはなりにくい。
資本の使い方も変わった。2025年8月期の営業キャッシュフローは262億円、設備投資は165億円。2021年8月期はそれぞれ121億円と76億円だった。稼いだ現金の使い道そのものが広がっている。
国内の立て直しが、最後に残っていたピースだったと読み取れる。
筆者コメント
なぜ、国内の利益がこのタイミングで戻ったのか。
値上げが通る局面だったから、という説明は分かりやすい。だが値上げは、どのチェーンにも等しく開かれていた選択肢だ。同じ環境で差がついたのなら、効いたのは値段ではなく、店の回し方の側だろう。
注文の仕組みを入れ替えるような手は、一度やり切れば効果が毎日の営業の中で積み上がっていく。派手さはないが、王道にして効く手だと思う。
ただし、この種の改善には天井がある。仕組みの入れ替えが一巡したあと、次に何を積むのか。そこが見えたときに、国内の利益がどこまで伸びる話なのかが決まる。
海外の店を数える視点と、国内の店を回す視点。この二つを別々に持って観察していくことをおすすめしたい。
免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
- 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
オリックスなどの国内金融機関出身。日本株アナリストおよび財務アドバイザーとして決算分析や資金調達を主導。「日経CNBC」出演などメディアを通じた相場解説の実績も豊富。企業財務に精通し、現在はモニクルリサーチで金融ニュースの深掘り記事を発信。
