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【仮条件は2.400~3.200%】三井住友トラストグループが個人向け10NC5劣後債を準備、“実質5年”でついに「3%台」が射程圏内に

みずほFGや三菱UFJFGでは提示されなかった「3%台」がついに仮条件のレンジ上方に、金利環境や格付けの差踏まえ

執筆者高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者
11:41

先行した三菱UFJFG・みずほFGとの仮条件+金利水準を徹底比較

先行する2社の同タイプの社債(10年債・5年後コールの10NC5型、劣後特約・実質破綻時債務免除特約付き)について、仮条件から決定利率までの経緯を並べると、今回の三井住友トラストグループの水準がより立体的に見えてきます。

  • 三菱UFJFG(第43回、2026年7月31日発行)
    • 仮条件:年2.250%~2.850%
    • 決定利率:年2.548%(当初5年間)
    • スプレッド(5年経過後の適用利率):5年国債金利+0.600%(60bp)
    • 格付け:R&I:AA-/JCR:AA-
  • みずほFG(第35回、2026年7月17日発行)
    • 仮条件:年2.300%~2.900%
    • 決定利率:年2.607%(当初5年間)
    • スプレッド(同):5年国債金利+0.650%(65bp)
    • 格付け:R&I:AA-/JCR:AA-
  • 三井住友トラストグループ(第25回、今回・仮条件提示段階)
    • 仮条件:年2.400%~3.200%
    • 仮条件スプレッド(同):5年国債金利+0.250%~1.050%(25bp~105bp)
    • 予備格付け:R&I:A+/JCR:AA-

なお、0.250%~1.050%というスプレッドは、発行要項上は2031年9月11日以降(コールされなかった場合)の利率算定式として明記されているものですが、当初5年間(第1期間)の仮条件2.400%~3.200%も、仮条件提示時点の5年国債金利(2.1%台半ば前後)に照らすとほぼ同じ上乗せ幅に相当します。実質的に同一のスプレッド水準が当初期間・コール後期間の両方でベースになっていると考えられます。

まず目を引くのは、三井住友トラストグループの仮条件のワイドサイド(上限)が3.200%と、3%台を示している点です。三菱UFJFG・みずほFGはいずれも仮条件の上限が2%台にとどまっており、この時点で三井住友トラストグループの水準の高さが際立ちます。

この差には、大きく2つの要因が影響していると考えられます。

1つ目は、ベースとなる5年国債金利そのものが上昇していることです。三菱UFJFGが条件決定した7月時点では1.9%台半ば、みずほFGも1.9%台前半~半ばだったのに対し、三井住友トラストグループが仮条件を提示した8月時点では2.1%台半ば前後まで上昇しています。同じスプレッド水準であっても、ベース金利が上がれば表面利率はそのまま高くなる関係にあります。

2つ目は、格付けの差です。三菱UFJFG・みずほFGはともにR&I・JCRの両社からAA-の格付け(取得予定)を得ているのに対し、三井住友トラストグループはJCRこそ同じAA-ですが、R&Iでは1ノッチ低いA+にとどまっています。信用力に対する評価が相対的に低い分、投資家に求められる上乗せ幅(スプレッド)もやや広めに設定されやすくなると考えられ、仮条件のスプレッドレンジ(25bp~105bp)が三菱UFJFG・みずほFGの決定水準(60bp・65bp)を上回るレンジまで含んでいることは、この格付け差とも整合的です。

ただし仮条件はあくまで需要状況を踏まえて絞り込まれる前の広めのレンジであり、実際の決定利率が上限の3.200%(スプレッド換算で105bp)になると決まったわけではありません。三菱UFJFG・みずほFGのケースでも、決定利率は仮条件のほぼ中央値に着地しています。三井住友トラストグループについても、8月28日の条件決定を待つ必要があります。

自身の前回債(第21回)からはどれくらい上がった?

同じ「10年債・5年後コール」のスキームの社債は、三井住友トラストグループ自身も過去に発行しています。旧社名の三井住友トラスト・ホールディングス時代である2024年9月17日に発行した「第21回期限前償還条項付無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)」です。

  • 銘柄名: 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社第21回期限前償還条項付無担保社債(劣後特約及び実質破綻時債務免除特約付)
  • 発行額: 400億円
  • 利率: 年1.475%(当初5年間)
  • スプレッド(5年経過後の利率): 5年国債金利+0.960%(96bp)
  • 発行日: 2024年9月17日

今回の第25回債と発行額(400億円)は同じですが、利率は前回債の1.475%から、仮条件の下限(2.400%)でも0.925%、上限(3.200%)では1.725%も高い水準です。三菱UFJFG・みずほFGとの比較以上に、2年間での長期金利上昇の大きさが表れているといえるでしょう。

一方でスプレッドを見ると、前回債は国債+0.960%(96bp)で決定しており、今回の仮条件レンジ(25bp~105bp)の上限(105bp)に近い水準にあります。今回の利率仮条件が前回債より大きく切り上がっている主な要因は、スプレッドの拡大というより、ベースとなる5年国債金利そのものの上昇によるところが大きいと考えられます。

リスクや注意点を再点検

新発債に投資する際は、以下の点に注意が必要です。

特に今回は「劣後債」であり、プレーンな社債に比べてぐんとリスクが上がるため、すみずみまでポイントをチェックすることが求められます。

信用リスク

発行体である三井住友トラストグループの財務状況が悪化した場合、利払い・償還が予定通り行われない可能性があります。

想定格付けはR&IでA+、JCRでAA-と、投資適格の範囲内ではあるものの、普通社債よりリスクが高い点に留意が必要です。

弁済順位が低い点(劣後特約)

万一の破綻時には、普通社債や一般債権者への弁済が優先され、劣後債の投資家への弁済は後回しになります。

実質破綻時債務免除特約(ベイルイン)のリスク

発行体が実質破綻と認定された場合、元利金の支払い義務そのものが免除される、つまり投資家が元本を回収できなくなる可能性がある点に注意が必要です。

期限前償還条項(コール)に伴うリスク

発行体の判断でコールされる可能性があり、コールされた場合は当初想定していた運用期間より早く資金が返還されます。再投資する際の金利環境によっては、同等の利回りで運用先を見つけられない可能性がある点も意識しておきましょう。

価格変動・流動性リスク

満期(またはコール日)まで保有すれば額面での償還が期待できますが、途中売却の場合は市場価格次第で元本割れとなるリスクがあります。機関投資家は時価評価を気にしますが、満期保有を前提とする個人投資家であれば、この点はそれほど神経質にならなくてよいでしょう。

税金・NISAの扱い

利息・償還差益には20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかり、NISAの非課税対象にはなりません。

記者コメント

三井住友トラストGの新発劣後債は、先行する三菱UFJFG・みずほFGよりベース金利が高い環境で仮条件が提示され、格付けも1ノッチ低いことから、スプレッドの上振れ余地を含んだレンジで提示されています。

自身の前回債(第21回、1.475%)と比べても大幅な上昇であり、この2年間の長期金利上昇の大きさがうかがえます。

先行2銘柄が仮条件レンジのほぼ中央に着地していることを踏まえると、三井住友トラストG債でもレンジ中央の2.800%近辺が意識、

最終的な利率は28日の条件決定を待つ必要がありますが、劣後特約や実質破綻時債務免除特約が付いた商品性、期限前償還条項によって運用期間が変わりうる点は、普通社債とは異なるリスクとして理解しておく必要があります。

申込を検討する際は、必ず目論見書に目を通し、自身のリスク許容度に照らして判断することが第一歩といえるでしょう。

参考資料

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
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高原 祥子LIMO&ファイナンス編集部記者

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