この記事はここがポイント
- JCR、S&P、ムーディーズなど5つの格付会社が発行体の信用力を評価し、AAAとAaaのように異なる記号体系を採用する仕組み
- 格付けは「投資適格」(BBB-、Baa3以上)と「投機的格付け」に分かれ、後者は「ジャンク級」とも呼ばれる高リスクな区分
- 格付けは固定されず、発行体の変化に応じて「ポジティブ」「ネガティブ」といった見通し変更を経て見直される流れ
金利の上昇(価格の下落)トレンドが長期化するリスクに身構えるなか、社債や地方债への関心を強めている個人投資家の方も増えているのではないでしょうか。
その際に必ず目にするのが「格付け」という情報です。
「AAA」「BBB」といったアルファベットの並びだけでも、S&Pなのかムーディーズなのか、あるいは日本の会社なのかで意味合いが微妙に異なります。
この記事では、債券投資でよく登場する5つの格付会社と、その記号の読み方、そして格付けがどのように見直されていくのかを解説していきます。
そもそも「格付け」とは?
格付けとは、格付会社が発行体(国や企業、自治体など)の財務状況や事業環境を分析し、「借りたお金をきちんと返せる力(信用力)」をアルファベットなどの記号で評価したものです。
いわば発行体の「通信簿」のようなもので、投資家が個別に財務諸表を読み込まなくても、信用力の目安を一目で把握できるようにする仕組みといえるでしょう。
格付けには、コマーシャルペーパーなど1年以内の借り入れを対象にした「短期格付け」と、社債や地方債のように1年を超える借り入れを対象にした「長期格付け」があり、本記事で扱うのは後者の長期格付けです。
また長期格付けにも、発行体そのものの総合的な信用力を示す「発行体格付け」と、個別の債券に付与される「個別債券格付け」の2種類があり、劣後債のように弁済順位が低い債券は発行体格付けより低くなることがある、という点だけ押さえておけば十分です。
代表的な5つの格付会社
- JCR(日本格付研究所):国内の格付会社。金融庁長官(格付)第1号の指定を受けた信用格付業者
- R&I(格付投資情報センター):国内の格付会社。国内公募債の多くをカバー
- S&P(S&Pグローバル・レーティング):米系の大手格付会社。グローバルな発行体を幅広くカバー
- ムーディーズ(Moody's):米系の大手格付会社
- フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings):米系の大手格付会社
私たちが普段目にする日本企業の社債(円建て債)は、そのほとんどがJCRかR&I(国内)から評価を受けています。
では、S&Pやムーディーズといったアメリカの格付機関はどんな時に使われるのでしょうか?
主な出番は、グローバル企業が海外市場でドルやユーロを調達するために「外債」を発行する場面です。
記号の見方:文字だけの4社と、数字が混ざるムーディーズ
JCR・R&I・S&P・フィッチの4社は、AAAを頂点に、AA、A、BBB、BB、B、CCCと続くアルファベット表記を使い、AAからB(会社によってはCCCまで)の等級には上位寄りを示す「+」、下位寄りを示す「-」が付きます。
一方でムーディーズだけは体系が異なり、Aaa、Aa1・Aa2・Aa3、A1・A2・A3、Baa1・Baa2・Baa3というように、アルファベットと数字(1〜3)の組み合わせで細分化します。数字が小さいほど同じ等級内で上位という意味になります。
「投資適格」と「投機的格付け」の境界線
会社ごとに記号の見た目は違っても、投資適格と投機的格付けの境界線はどこも共通しています。
- JCR・R&I・S&P・フィッチ:BBB-以上が「投資適格」、BB+以下が「投機的格付け」
- ムーディーズ:Baa3以上が「投資適格」、Ba1以下が「投機的格付け」
投機的格付けは、いわば「ハイリスク・ハイリターン」の代名詞ともいえる区分で、俗に「ジャンク(くず)級」と呼ばれることもあります。
フィスコなどの金融専門誌出身。10年以上にわたり日経QUICKやブルームバーグ等で機関投資家向けの債券市場記事を執筆。企業調査レポートや決算などIR情報の発信に精通し、現在は経済メディア『LIMO』編集部で記事を執筆。
